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フィレンツェの薬局と手袋屋さん

またまた昔の話ですけれども。

フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会の薬局に初めて行ったのはいつだったかなと思い出してみると、友人と一緒だったから88年のことでした。まだ今ほど日本人観光客はいなくて、ツアー客も少ない頃です。

教会とは離れたところにあり、ガイドブックには、「入り口が小さくてわかりにくいので初めて行く時は迷う」と載っていました。その目立たない入り口を入って奥に進んでいくと、聖堂のような内装のお店で感動(実際に修道院内部の教会として使われていたそう)。

買ったのはローズウォーターと、母に頼まれたザクロの石鹸、「サンタ・マリア・ノヴェッラの水」、そして量り売りのハーブティー。

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当時描いたイラストを参考にまた描いてみました。
が、実は今、スペルをミスってたことに気づきました。Novellaの間違いです。なんと Instagramに昨日載せて、薬局のマドリード店さんから拍手いただいてました(すみません!)。

ローズウォーターは蓋の形状などが今と違うようです。Santa Maria Novellaのロゴも当時と今とでは違っていて、これは自分流に書いてしまいました。

「サンタ・マリア・ノヴェッラの水」はリラックス用のものらしく、水に数滴垂らして飲むようです。って、飲んだはずですが、もうまったく覚えていません。歯磨きのような味だったらしい。ミント水のようなものなのかな? マーブルチョコのような外側の紙の入れ物が可愛いかった。教会が所属しているドミニコ会の1614年のレシピだそうです。

店の奥にはハーブの部屋があり、症状に合わせてハーブティーを量り売りしてくれます。なにか飲んでみたくてリラックス用を詰めてもらいましたが、すごく草っぽい味で、不味くてまったくリラックスできませんでした。

その後、日本に支店が出来始めて、正直に言えばがっかりしました。イタリアに行かなくても買えるのは魅力と思う人もいると思いますが、私はイタリアでしか買えないから、買いたいと思ったのでした。

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もう一つ、フィレンツェで思い出のある買い物は、手袋です。
ヴェッキオ橋の近くにある小さな手袋屋さん、MADOVA(マドヴァ)。

素敵な手袋がお手頃な値段でショーウィンドーに飾られていて、入ってみました。壁にいっぱいの手袋の棚。いったいどうやって選んだのかな。自分で勝手に出せるような作りではないので、お店の人に出してきてもらったのだと思いますが、当時はまだイタリア語を勉強していなかった頃です。
試着の時、クッションに肘を乗せて、お店の人がはめてくれたのが印象的でした。

自分のために買ったのは、青紫色のスエードの手袋。内側がグレーのシルクでした。とても美しい色で気に入ってずいぶん使ったので、内側が破けてしまいました。
ショーウィンドーには、3万リラ台くらいが多い価格だったようですが、買ったものは4万9千リラでした。少しお高めだったけど、日本円にしたら4900円。とてもいいものだったのでお買い得だったと思います。

次に行ったときは母の手袋を。ブラウン系の柔らかい革で、端にステッチの模様が入っています。これを描く時に亡き母の引き出しを開けてみたら、綺麗にしまわれてありました。何度かはめてくれたはずだけど、まだ綺麗なので形見として使おうと思いました。

あれからだいぶ経って、MADOVAもいつの間にか日本に入って来ていましたが、値段を見たら高くてびっくりでした。
今度フィレンツェに行ったら、またMADOVAで手袋を買おうと思います。


書くこと、描くこと、撮ることで表現し続けたいと思います。サポートいただけましたなら、自分を豊かにしてさらに循環させていけるよう、大切に使わせていただきます。