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他人の自由を受け入れる

オランダでの生活にも慣れ、アムステルダムの街並みも日常風景となりつつある。

唐突だがオランダ人は自由だ。
これは私の主観だが、彼らは自分と他者の意思決定を尊重することに重きを置いているように思う。
「わたしはわたし、あなたはあなた」が常に前提としてある。

オランダでは大麻は合法で、街を歩けばどこからともなく大麻の臭いがする。歩きタバコも多くの人が平然としている。道路には捨てられた吸い殻が至る所に落ちている。

初めてその光景を見た私は、汚い街だなと思った。みんなが暮らす街をどうして平然と汚すのかと。

そんなことを考えていると、清掃車が前を通り過ぎあっという間に道路を綺麗にして去って行った。街には定期的に清掃車が走り、何もなかったかのようにゴミを片付ける。

"合理的"

それは私が聞いていたオランダ人の気質だ。この瞬間、確かにと思った。
彼らはよほどのことがない限り他人の行動を否定しない。他人の自由をそのまま受け入れている。
もし問題が起きたらその後の措置について話し合うが、起きた事を反省したり咎めたりもしない。どんなに問題が起きたことを責めても過去は変えられないからだ。

この合理的な考えは至極当然のことではあるが、起きた事象に対しどうしても感情が伴うのが人間ではないか、とも思ったりもする。
主語を日本人とすることは適切ではないかもしれないが、日本人はやはり相手の思いを汲み取る文化なのだと思う。
そして感情に従って相手に謝罪をし、気を遣いお互いの関係性を大切にする。

オランダでは起きた事に対して対処すれば、事象を通じて相手を嫌いになったり評価することもない。謝罪や気遣いではなく、ただ問題が解決すれば良いのだ。
もちろん彼らもSorryと言う。故意に誰かを傷つけたいわけでも問題を起こしたいわけでもないのだ。ただ人間社会においてお互いにリスクを負いながら生活していることを知っている。

リスクを共有しつつも互いに干渉はしない。

他人の自由を受け入れること、つまりそれは自分の自由を受け入れてもらうことなのだ。

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