☆143:コーヒー(カフェイン)は1日何杯まで?<要約・出典>

【コーヒーは1日何杯まで?】
ハーバード医学教授が教える 健康の正解」という本の中では、
コーヒーの推奨摂取量についてのベストアンサーは「ベストアンサーなどない」であると言及している。

というのも、「コーヒー」と一口にいっても豆による違いも大きい上、種類も入れ方も千差万別だからである。もちろん「1杯」が指す量によっても異なるからである。

また、過剰摂取で懸念される成分は基本的にカフェインですが、
カフェインの感受性には個人差があり、コーヒー以外にも紅茶、緑茶、エナジードリンクなどの飲料やチョコレート等の食品にも含まれるため、
健康的な摂取量を推奨することは難しいようだ。

では、一般的にはカフェインはどのくらいまで摂っても問題ないのだろうか?
先述の通りカフェインの感受性には個人差があり一概にはいえないが、
食品安全委員会が公表している「ファクトシート・食品中のカフェイン」によると、
欧州食品安全機関(EFSA)・カナダ保険省などの機関が、健康な成人の「カフェインの悪影響のない最大摂取量」として、400㎎/日と定めている。

400㎎/日と言われてもピンと来ないが、
一般的には100mlあたりで、コーヒー60mg、紅茶 30 mg、ウーロン茶 20 mg程度のカフェインが含まれているとされている。
このカフェイン1日400mlという基準は1つの参考になるかもしれない。

ではコーヒー(カフェイン)の過剰摂取でどのような問題があるのか。
一般的によく言われるのは、コーヒー(カフェイン)中毒である。コーヒーに神経系が慣れてしまうと、摂取を止めた際に頭痛や吐き気、異様な疲れやメンタルの落ち込みを経験することがある。

またカフェイン含有飲料が心臓に及ぼす影響が懸念され、コーヒーの摂取と関連する高血圧リスクが高くなる可能性があるという指摘もみられる。

しかしこの点「ハーバード医学教授が教える 健康の正解」の本では、
確かにコーヒーを飲んだ直後は一時的に血圧が上昇するものの、長期的にみればむしろ健康に良い効果があることが複数の研究で示されており、コーヒーを1日4杯以上飲む場合には相反するエビデンスがあるものの、1日2杯の摂取で悪影響を及ぼすというエビデンスはなく、むしろ心臓によいかもしれないと言及している。

また218の統合解析研究を集約したアンブレラレビューでは、通常摂取の範囲内では健康面へのメリットの方が大きく、コーヒーを飲むリスクは、早産・流産および女性の骨折リスク以外に認められなかったと指摘している。
Review BMJ. 2017 Nov 22;359:j5024. doi: 10.1136/bmj.j5024.
Coffee consumption and health: umbrella review of meta-analyses of multiple health outcomes
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29167102/

女性の骨折リスクについては、
特にカルシウム摂取量が少ない人がカフェインを摂取した場合、カルシウムの体内からの排出率を増やすので、骨粗しょう症の発症の原因となる可能性があるとも言われる。
この点については相反するエビデンスが存在するものの、
カフェイン摂取はカルシウム吸収のわずかな低下をもたらす一方、小さじ2~3杯の加えることで簡単に取り返せるとする研究もある。(「健康の正解」より)

妊婦さん・授乳中の女性については、海外の機関でも「悪影響のない最大摂取量」として1日200~300mgと定められている。
カフェインによって早産・流産のリスクに違いが認められなかったとする研究も複数ある一方で、カフェインはアルコールと同様に胎盤を通過し、胎児はカフェインを代謝することも出来ない。
そのため赤ちゃんの心拍数や出生体重に与える影響も考慮し、1日200~300mgと定められているようである。
<参考文献>科学的に正しい子育て~東大医学部卒ママ医師が伝える~
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日本人のための科学的に正しい食事術」という書籍では、
・1日4〜5杯のコーヒーを飲んだときにがんや糖尿病など各種疾患のリスクが最も低くなる傾向が見られた
・1日3〜4杯で各種疾患のリスクが最も低下し、全体の死亡リスクは 17%減り、がんの発症リスクは 18%減る
としたアンブレラレビューの結果やカフェインの許容量などを判断し、
「1日約3〜5杯コーヒーを飲むことで、いろいろな病気のリスクが下がる。このくらいの量まではカフェインもあまり問題がない。でも、気になる人は、ほぼ同じような効果が得られるのでデカフェコーヒーを」とまとめている。

但し、飲む量もさることながら、遅い時間にカフェインを摂らないことの方がむしろ重要かもしれない。
感覚や体調も考慮し、コーヒーのベネフィットも最大限に享受できるようにコーヒーの摂り方を模索すると良さそうである。

<参考書籍>
ハーバード医学教授が教える 健康の正解
サンジブ・チョプラ (著), デビッド・フィッシャー (著), 櫻井 祐子 (翻訳) 
日本人のための科学的に正しい食事術」 西沢 邦浩 (著)
科学的に正しい子育て~東大医学部卒ママ医師が伝える~」森田 麻里子 (著)

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