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FUJIFILM SUPER CUP 2023 横浜F・マリノスvsヴァンフォーレ甲府 プレビュー

未知なるシーズンの開幕。
昨シーズン、天皇杯優勝を勝ち取ったことで得たACL出場権。
ヴァンフォーレ甲府にとって、未知なるシーズンはFUJIFILM SUPER CUPからスタートすることとなる。
その相手は横浜F・マリノス。
昨シーズンのJ1チャンピオン。
横浜の地で獲得した初タイトル。
横浜F・マリノス相手にもう一度、日本サッカー界に驚きを与えようじゃないか!

昨シーズン、天皇杯決勝のプレビューで引退を決意していましたが、未知なるシーズンに自分ももう一度挑戦したいと決意して今回書かせて貰いました。
毎試合は現実的に厳しいですが、ACL限定で書いたりとか自分なりに無理のない範囲で考えながら書ければと思っています。
今後もよろしくお願いします。

1.FUJIFILM SUPER CUPとは

FUJIFILM SUPER CUPは前年のJ1チャンピオン対天皇杯チャンピオンによって行われる大会である。
Jリーグが開幕した翌年の1994年から始まった本大会。
今大会が記念すべき、30回目の開催となる。
2021年まではFUJI XEROX SUPER CUPの名称で行われてきた。
2021年には「同一企業の協賛で最も長く開催されたサッカースーパーカップの大会」としてギネス世界記録としても認められてもいる。

当然ながらヴァンフォーレ甲府にとっては初めての参加となる。
一方の横浜F・マリノスは今回が6度目。
だが、過去5度の結果はいずれも敗戦。
この大会での優勝が無いことは驚きである。
これは天皇杯でも聞いたことがあるかと思う。
サンフレッチェ広島もカップ戦で、7度の決勝進出を果たしながら優勝を逃してきたのと同様である。
歴史も伝統もある横浜F・マリノスでもまだ勝つことが出来ていない大会に参加できるだけでも価値があると言える。
過去の結果は以下の通りとなる。

青色がマリノス参加時

J1優勝チーム17勝、天皇杯優勝チーム12勝という結果となっている。
30回目の記念大会、ヴァンフォーレが歴史に名を刻みたい。

2.NEXT GENERATION MATCH

FUJIFILM SUPER CUPにはJ1チャンピオンと天皇杯チャンピオンの一戦以外にもイベントはいくつかある。
有名なのはマスコット総選挙ではないかと思う。
昨年は横浜F・マリノスのマリノスケが1位に輝いている。
一方、我らがヴァンくんは15位となっていた。
今年で最後となるマスコット総選挙だが、今年はどのチームのマスコットが1位となるか楽しみだ。
本記事を投稿する段階で31〜56位までは発表されており、ヴァンくんもマリンもまだ残っている。
中間発表ではマリンが1位、ヴァンくんは15位であったが共に国立競技場で発表されるベスト3に入れたら理想だ。
また、マスコット大運動会やJリーグクラブのスタジアムグルメを販売するイベント「スタグルフェス」、全クラブの2023シーズンユニフォーム展示等イベント盛りだくさんとなっている。

もう一つ注目していただきたいのが、今回触れるNEXT GENERATION MATCH。

2-1.歴史

2010年の大会より前座試合として行われている高校生年代による試合で、全国高校サッカー選手権の優秀選手を中心に集められた「日本高校サッカー選抜」とJ1優勝クラブのアカデミーチームが対戦する。
2019年大会までは各クラブのユースチーム(高校1,2年生)から集められた「U-18・Jリーグ選抜」が対戦していたが、2020年大会からは「前年度のJ1リーグチャンピオンのアカデミーチーム」が出場することとなった。

過去にはヴァンフォーレのアカデミーから出場した選手もいる。
2010年に堀米勇輝(現サガン鳥栖)、2011年に渡辺雅樹、2019年には井上樹(現明治大学)がJリーグ選抜の一員として出場。
2021年には高校選抜の一員として、2025年から加入が内定している一瀬大寿が出場している。
現所属選手では、2017年に高校選抜の一員として鳥海芳樹と飯島陸、2018年にも飯島が2019年には宮崎純真が出場。
また、2017年に鳥海が、2018年には飯島が得点を挙げている。
Jリーグ選抜の一員としては2019年に松本凪生と土肥航大が出場している。
このように、将来のヴァンフォーレの選手となる可能性を持った選手はいる。
過去の結果は以下の通りとなっている。

現行のレギュレーションとなってからは日本高校選抜はまだ、勝利を挙げていない。
キックオフは10時15分。
少し早く国立競技場に足を運んで、NEXT GENERATION MATCHも見てみてはいかがでしょうか。

2-2.メンバー

横浜F・マリノスユース

https://www.jleague.jp/news/article/24561/

日本高校選抜

https://www.jleague.jp/news/article/24561/

2-3.注目選手

横浜F・マリノスユース
舩木大輔
高校1年生ながら、U18日本代表に選ばれた逸材。
昨シーズンは高校2年生ながら名門横浜F・マリノスユースで1年間を通してレギュラーポジションを掴んでいた右SB。
スピードを活かした駆け上がりからのクロスは正確であり、マリノスのSBらしくインナーラップも見せる現代的なSBだ。
ビルドアップにも貢献でき、起点となるプレーもこなせる。
トップチームには小池龍太、松原健と日本代表クラスの右SBがいるがトップチーム昇格は充分狙える力を備えている。
1学年上の高校選抜相手に実力を示したい。

日本高校選抜
小林俊瑛
福田師王(ボルシアMG)、森重陽介(日大藤沢)、オウイエ・ウィリアム(日体大柏)とプロ入りを決めたストライカーに注目が集まった第101回全国高校サッカー選手権大会。
その中でも、プロ入りしたストライカーにも負けない実力者が大津高校の小林である。
191cmの長身ストライカーは大柄ながら、柔らかさを兼ね備えている。
足元の技術の高さを活かしたポストプレーと高いだけでなく、当て感の良いヘディングが持ち味となる。
卒業後は筑波大学に進学するが、筑波大学では元日本代表の平山相太氏がコーチを務めている。
平山氏を超えるストライカーとなることを楽しみにしたい。

3.クラブの歴史

3-1.ヴァンフォーレ甲府

天皇杯のプレビューで書いた物を引用している。
この記事を読まれている方の中でヴァンフォーレ甲府というクラブを知らない方もいるだろう。
また、ヴァンフォーレは好きだけどこれまでの歩みについては知らない方もいるかと思う。
そこで軽くではありますが、ヴァンフォーレ甲府というクラブについて紹介したいと思う。
ヴァンフォーレ甲府の設立は1965年。
県立甲府第一高等学校のOBにより結成された鶴城クラブが日本サッカーリーグへの昇格を目指し、規模を拡大したのが始まり。
その際、名称を甲府サッカークラブとしたことがクラブの起源となる。
1995年にJリーグ参入を目指し、クラブ名をヴァンフォーレ甲府へと変更。
1999年よりJリーグへと加盟し、J2リーグ発足に伴いJリーグ参入を果たす。
J2初年度は最下位に終わると翌年にはリーグ戦19連敗という未だに破られていない不名誉な記録を達成し、2年連続の最下位に沈むと同時にクラブ最大の危機となる経営危機問題に直面する。

2001年も最下位に終わり、3年連続の最下位と成績は振るわなかったがJ参入3年目にして初めての単年黒字を達成。
課せられた存続条件もクリアし、チームの存続が決定する。
翌2002年に就任した大木武監督がクラブを成績面で高めていくこととなる。
初めて最下位を脱出し、シーズンを7位(12チーム中)で終える。
大木監督は1年で退任となるも翌年からは松永英機監督の元で5位、7位と万年最下位を脱出。
2005年に大木監督が復帰すると3位となり、入れ替え戦の末に初のJ1昇格を達成。
だが、最初のJ1は2年で降格となってしまう。
2008年に次の転機が訪れる。
1年でのJ1復帰は叶わなかったものの佐久間悟GM(現社長)が甲府初のGMとしてクラブにやってくる。
佐久間GMの元、戦力を整えた甲府は2010年に二度目のJ1昇格を果たすこととなる。
翌2011年は16位に終わり、一年での降格となるもハーフナー・マイクがクラブ初の日本代表に選出されたシーズンでもあった。
2012年には城福浩監督を招聘し、当時Jリーグ最長記録となる26戦無敗を達成し、J2優勝で1年でのJ1復帰を果たす。
2013年から2016年まで堅守を武器にJ1残留を続けると2017年に現在監督を務めている吉田達磨監督を招聘。
しかし、サンフレッチェ広島にわずか勝ち点1及ばずJ2降格となる。
翌年も指揮を取った吉田監督だが、成績は振るわず契約解除となる。
新監督に就任した上野展裕監督の元、ルヴァンカップと天皇杯でベスト8に入るもリーグ戦の成績は振るわず。
翌年からはコーチを務めていた伊藤彰監督が指揮を取り、5位、4位、3位と徐々に成績を上げていくも惜しくもJ1昇格を逃し退任。
2022年は再び、吉田監督が復帰するとリーグ戦では、18位と過去最も低い順位と低迷するが、クラブ初の天皇杯優勝を果たした。

経営危機から20年あまり。
潰れかけたクラブが日本の頂点を掴んだことは奇跡に他ならない。
大きなスポンサーが付いての結果は起こりうることだが、コツコツと積み上げて来た努力や苦しみの末のチャンス。
我がクラブながら誇りに思う。
今シーズン、新たな景色を見せてくれるクラブが楽しみでならない。
苦労する一年になるはずだが、クラブ全体で天皇杯の時のように一丸となり、乗り切ろう!

3-2.横浜F・マリノス

リーグ開幕30周年を迎える今シーズン。
オリジナル10と呼ばれる、開幕当初からJリーグに参加している10クラブの内の一つが横浜F・マリノスである。
その中でも、鹿島アントラーズと共に一度も降格したことの無いクラブであり、Jリーグを代表する名門クラブと言える。

横浜F・マリノスの起源をJリーグ開幕前から見ていきたい。
現在でも横浜F・マリノスのトップパートナーとなっている日産自動車のサッカー部が、母体となっている。
発足は1972年。
初年度は神奈川県2部で優勝を果たすと、1973年〜1975年まで3年連続で神奈川県1部で優勝。
1976年に関東サッカーリーグで優勝。
全国社会人サッカー選手権大会でも優勝すると、1977年に日本サッカーリーグ2部に昇格する。
1年目から2位となると、入れ替え戦で富士通サッカー部(現川崎フロンターレ)に敗れ、1部昇格を逃してしまう。
翌年も2位となり、再び富士通サッカー部との入れ替え戦に臨むと今度は勝ち切り1部昇格を決める。
1979年に日本サッカーリーグ1部に昇格すると最下位となる。
東芝堀川町サッカー部(現コンサドーレ札幌)との入れ替え戦で、勝利して残留を決めるも翌年も最下位に終わり、降格となってしまう。
1年で1部復帰を果たすとJリーグが開幕するまで降格をすることは無かった。
1988年、1989年には2年連続で1部リーグ、JSLカップ、天皇杯の3冠を達成。
1990年にもJSLカップ、1991年と1992年には天皇杯優勝と輝かしい実績を引っさげてJリーグに参入することとなる。

1993年に開幕したJリーグ。
横浜マリノスとして迎えたJリーグ開幕。
オープニングマッチとなったのは横浜マリノス対ヴェルディ川崎。
この試合に勝利を収めた横浜マリノスは1st、2ndステージ共に3位となり、年間順位も4位と優勝争いに絡むことが出来なかった。
1995年に1stステージ優勝を果たすとヴェルディ川崎とのJリーグチャンピオンシップで勝利を収め、Jリーグ初優勝を果たした。
しかし、翌1996年は8位に沈むと4シーズン優勝を逃すこととなる。
1999年には、横浜を本拠地とし、同じくJリーグオリジナル10であった横浜フリューゲルスを吸収する形となり、チーム名に「F」が追加されて現在の横浜F・マリノスという名称に変更となった。
2000年には、1stステージで優勝するもJリーグチャンピオンシップでは、2ndステージ優勝の鹿島アントラーズに敗れて年間順位は2位となってしまう。
翌2001年は、年間順位13位とリーグ戦では低迷するもナビスコカップで優勝。
2002年は1stステージで2位となるも1st、2nd共に優勝したジュビロ磐田の前に年間順位2位で終えた。
2003年に岡田武史監督が就任すると1st、2ndステージ共に優勝し年間優勝を達成。
翌2004年の1stステージも優勝、2ndステージでは6位に終わるもサントリー・チャンピオンシップで浦和レッズを倒して2年連続の年間優勝を達成した。
しかし、このシーズンから低迷する時期が訪れる。
6シーズン連続で中位に低迷することとなる。
木村和司監督体制2年目の2011年に5位となると、翌シーズンはコーチから昇格した樋口靖洋監督が就任。
初年度は4位に終わるも翌2013年には第32節終了時点で2位と勝ち点5差で首位に立ち、残り2試合のうち1つでも勝てば優勝という状況まで行くも残り2試合で連敗して最後にサンフレッチェ広島に逆転を許して9年ぶりの優勝を逃すこととなる。
しかし、天皇杯では21年ぶりに優勝を達成。
翌2014年はマリノスにとって転機となるシーズンとなった。
シティ・フットボール・グループとの提携を発表。
2015年からはエリク・モンバエルツ監督をシティグループのコネクションを活かして招聘する。
それまでの堅守をウリとするマリノスのスタイルから攻撃的なスタイルに移行する元年となった。
2015年は7位、2016年は10位とリーグ戦では結果が出なかったものの我慢の甲斐もあり2017年には天皇杯で準優勝。
2016年からはアンジェ・ポステコグルー監督が就任するとルヴァンカップで準優勝。
しかし、リーグ戦では12位と大きく低迷してしまう。
だが、翌年には朴一圭やティーラトン、マルコスジュニオールといった選手を獲得し、15年ぶりの優勝を達成した。
ポステコグルー体制3年目の2020年はACLでクラブ初のグループステージ突破を果たすも、リーグ戦では9位に低迷。
2021年はポステコグルー監督がシーズン途中に引き抜かれながら途中就任したケヴィン・マスカット監督の元、2位でシーズンを終える。
マスカット体制2年目の昨シーズンは川崎フロンターレとの優勝争いを制して3年ぶり5回目の優勝を達成した。

冒頭で鹿島アントラーズと共にJリーグ開幕以降、降格が無いと述べたが日本サッカーリーグ時代から遡ると横浜F・マリノスが最も長く1部リーグに留まり続けている。
「我がマリノスに優るあらめや」
改めて横浜F・マリノスというクラブは素晴らしいクラブであると感じた。

5.過去の対戦成績

青が甲府勝利、グレーが横浜勝利

過去、20度の対戦を誇る両チーム。
甲府から見て、3勝6分11敗と圧倒されている。
直近の対戦は6年前まで遡るが、甲府が勝利を収めていた。
その時、メンバー入りしていた選手で今も在籍している選手はヴァンフォーレが河田晃兵と山本英臣、マリノスは松原と喜田拓也のみとなっている。

6.補強動向

ヴァンフォーレ甲府

浦上仁騎、石川俊輝、山田陸とセンターラインの主力が抜けてしまったものの、多くの主力が残った印象が強い今シーズン。
焦点は抜けた3選手の穴が埋まるのかどうか。
浦上の抜けたCBには、FC東京から蓮川壮大、川崎フロンターレから神谷凱士、専修大学から井上詩音を獲得した。
また、山梨学院大学の一瀬も特別指定となり多くの選手を獲得しただけに誰が中心となるか楽しみだ。(正式発表はまだだが、背番号発表の際に名前があったため、記載した)
ボランチでは、松本山雅から佐藤和弘が4年ぶりに復帰。
サンフレッチェ広島から土肥、FC東京から品田愛斗、専修大学から遠藤光と松本山雅に期限付き移籍していた中山陸と若手が増えた。
昨シーズンの主力が共に去っただけに誰がステップアップするか注目となる。
最も不確定要素が強いポジションだが、伸びしろも最もあるとも言える。
また、長年チームを支えた岡西宏祐がチームを去ったGK陣。
小泉勇人も抜けたことで、補強が必要となった中で渋谷飛翔を獲得。
名古屋グランパスではオーストラリア代表のランゲラックの前に出場機会は掴めなかったが、力のある選手である。
4人目のGKが獲得出来なかったことは、不安な点か。
今シーズンは4バックがメインとなりそうな中で、SBには日本体育大学から三浦颯太を獲得。
一昨年、大学3年生の頃には内定を出しており昨シーズンの開幕戦でもデビューした三浦だがチームは関東2部に在籍しながら日本大学選抜にも選ばれた大学サッカー界を代表するSB。
左SBは荒木翔、小林岩魚がいる最も層の厚いポジションだが、彼らを差し置いてポジションを取れる実力者だ。
前線では、ウィリアン・リラが退団となったもののピーター・ウタカが4年ぶりに復帰。
京都サンガFCから武富孝介、カマタマーレ讃岐から松本孝平、桐蔭横浜大学から水野颯太と攻撃陣はタイプの違う選手も多く厚みを増した。
若手の成長により、主力が抜けた穴が埋まれば充実したオフシーズンだったと言えるのではないか。

横浜F・マリノス

昨シーズンのJリーグMVP岩田智輝と2019年のMVP仲川輝人が移籍した今オフ。
主力級の選手としては、チーム内得点王でもあったレオセアラも移籍。
また、樺山諒乃介や椿直起と若手の有望株を完全移籍で放出。
そして、突然の高丘陽平の移籍。
まだ、正式発表はされていないためこのリストに載せてはいないが、バンクーバー・ホワイトキャップスへの移籍が濃厚となっている。
昨シーズン、ベスト11の高丘が突然抜けた穴は大きい。

一方で、獲得した選手は実力者ではあるもののJ1での経験が少ない選手が多くなった。
岩田の代わりに獲得した上島拓巳はJ1でも実力者ではあるが、マリノスのスタイルにフィットするまで時間が掛かりそうなため、岩田の代わりの即戦力とは考えにくいか。
昨シーズンのエドゥアルドのように徐々に存在感を増していくのではないか。
仲川の代わりには大分トリニータから井上健太、レオセアラの代わりにはV・ファーレン長崎から植中朝日とJ2から補強。
井上は仲川同様、圧倒的なスピードを持ちマリノスにフィットする選手である。
2代目ハマのGTR就任なるか。
植中は昨シーズンこそ、5ゴールと力を発揮しきれなかったが、一昨シーズンは19試合で10ゴールと活躍を見せていた。
まだ21歳と伸びしろは充分あり、ここから日本を代表するストライカーとなっていく可能性を秘めている。
突然の移籍となった高丘の穴埋めは、鹿児島から復帰の白坂楓馬と4年ぶりの電撃復帰となる飯倉大樹に期待が掛かる。
ユース出身で明治大学から加入した木村卓斗、関東学院大学から加入した村上悠緋も早い段階からの活躍が期待される。
マリノスのオフの印象としては選手の意向を大事にしているのかなと感じた。

7.予想スタメン

ヴァンフォーレ甲府
ベースはキャンプ最後のトレーニングマッチとなった、ヴェルパ大分戦のメンバーとした。
GKには河田と予想。
これまでポジション争いを繰り広げてきた岡西が移籍しており、コンディションさえ万全なら河田がゴールマウスを守るだろう。
SBは新キャプテン須貝英大の先発が濃厚だろう。
須貝は左右どちらかでの先発が濃厚であり、荒木と小林が別メニューとのことでもう一枠は関口と三浦の争いではないか。
三浦の調子が良さそうなこともあり、左SBに三浦と予想した。
須貝は右で先発ではないか。
CBにはエドゥアルド・マンシャは濃厚だろう。
相方は山本と予想した。
対抗馬は蓮川と井上か。
徳島ヴォルティス戦では蓮川、ファジアーノ岡山戦では井上がマンシャと組んでいたが立ち上がりに失点をしており、経験豊富な山本に託すことになるのではないか。
ボランチには佐藤と松本と予想。
ここは全員フラットな印象を受けるだけに誰が先発でも驚きは無い。
候補としては品田、土肥、中山、遠藤と多くいる。
トップ下には長谷川元希だろう。
ここは間違い無いのではないか。
サイドは右に鳥海、左に水野と予想した。
対抗馬は武富とジェトゥリオか。
水野は調子が良さそうなことと三浦との「颯太」コンビが成熟度が高そうなため、コンビでの起用が濃厚ではないか。
武富は最後のトレーニングマッチに出ていなかったようなので、スタメンは無いのではと予想した。
ワントップにはウタカと予想。
三平和司、松本と実力者も多いがコンディションさえ良ければ、ウタカで間違い無いだろう。

横浜F・マリノス
GKはオビ・パウエル・オビンナか白坂になるだろう。
スタイル的にマッチする白坂と予想した。
右SBは昨シーズンのベスト11、小池龍太が負傷離脱中。
体調不良で離脱していた松原が間に合うかが焦点となるが、キャンプ終盤から合流しており松原がスタメンに名を連ねるだろう。
本来はFWの選手である村上もキャンプで起用されていたようだが、松原が復帰している状況でスタメンは厳しいか。
だが、今週の練習で松原が途中で切り上げ、CB本職の實藤友紀を試したという情報もあるため實藤あるいは村上の起用の可能性もあるだろう。
CBは昨シーズンのMVP岩田が移籍。
相棒のエドゥアルドもキャンプでは、別メニュー調整の時間も多くあったようだが、松原同様キャンプ終盤に復帰しており畠中槙之輔とコンビを組むのではないか。
左SBには永戸勝也を予想。
小池裕太も離脱中と対応馬はいないため、順当に永戸となるはずだ。
ボランチは喜田と藤田譲瑠チマ、渡辺皓太の三つ巴の争いに山根陸も絡んでくる可能性がある。
先発には喜田と藤田と予想した。
ここは4人の内、誰が出てもおかしくはないはずだ。
トップ下には西村拓真。
今シーズンもマルコスとの熾烈なポジション争いが予想されるが、昨シーズンの実績も含めて最初は西村と予想した。
WGにはエウベルと水沼宏太。
対抗馬と考えていたヤン・マテウスがキャンプの途中で負傷もあり、エウベルと水沼がスタートではないか。
井上は途中出場から出場機会を増やしていきそうな気がしている。
ワントップにアンデルソン・ロペス。
レオセアラの移籍もあり、アンデルソン・ロペスが一歩抜けているか。

8.注目選手

ヴァンフォーレ甲府

長谷川元希
今シーズンから背番号を10に変更した、名実共に甲府の顔となっている選手。
昨シーズンはチームの結果を背負い過ぎて、本来の力をフルに発揮出来ていなかったように感じる。
今シーズンはウタカや武富、佐藤、土肥、品田と長谷川の負担を減らせる選手が増えただけにゴール前で得点に関わる仕事に集中出来るのでは無いだろうか。
2005年、2010年、2012年と過去3度のJ1昇格は日本人選手が10番を背負ったシーズン。
新10番が昇格、未知なるシーズンに向けて幸先の良いスタートを切る活躍に期待したい。

ピーター・ウタカ
「THE KING IS BACK」
4シーズンぶりの甲府復帰となったウタカ。
前回在籍時は、20ゴールを決めて違いを見せていた。
移籍した京都サンガFCでも2020年に21ゴール、2021年には22ゴールを決めて昇格に貢献。
昨シーズンもJ1で9ゴールを決め、J1昇格プレーオフでも試合終了間際に顔面ブロックを見せて京都のJ1残留に貢献した。
昨シーズンはシーズン途中からパフォーマンスを落としたことは懸念ではあるが、コンディションが整えば大きな戦力となることは間違いない。
長谷川とのコンビはJ1王者相手にも通用するのか。
マリノス相手にウタカがいまだにスーパーであることを見せて欲しい。

横浜F・マリノス

畠中槙之輔
誰が昨シーズンJ1MVP岩田の穴を埋めるのか注目される今シーズン。
2019年のJリーグ優勝を支えたCBが控えている。
一昨シーズンに負った怪我から復帰し、7月には日本代表復帰も果たした昨シーズンだが、リーグ戦では岩田がCBに定着したこととエドゥアルドが尻上がりに調子を上げる中、21節を最後にスタメンから外れ、出場機会も26節に終盤起用されるだけとチームが優勝する中で不完全燃焼に終わるシーズンとなってしまった。
畠中の完全復活こそ、最大の補強となるはず。
シーズン開幕となる一戦で、どのようなパフォーマンスを示すか楽しみだ。

エウベル
昨シーズン、J1ベスト11に選ばれたアタッカー。
最大の特徴はそのスピード。
圧倒的な速さで対面する相手DFを置き去りにする。
ただ、速いだけでなくボールを収めることも繋ぎにも参加できる万能さを兼ね備えている。
また、優勝の掛かったラスト2試合で3ゴールと勝負強さも持っている。
今シーズンは二桁ゴールにも期待が掛かるが、いきなり違いを見せられるか注目だ。

9.展望

この試合、最大の注目ポイントは

ヴァンフォーレがどのようなサッカーをするか

ではないだろうか?
私がヴァンフォーレサポーターだから気になるというのは当然あるが、マリノスがどのようなサッカーをするかはJリーグファンの方なら多くの方はご存知かと思う。
ヴァンフォーレがJ2降格以降、積み上げてきたスタイルの継続なのか、篠田新監督の元で新たなスタイルで挑むシーズンとなるかは楽しみなポイントである。
とはいえ、マリノス相手に主導権を握り押し込んでいけるとは考え難い。
この試合でベースとなるのは、昨シーズンの天皇杯優勝を成し遂げたスタイルに近い形になるのではないだろうか。
篠田監督は前線からのプレッシングにも力を入れてきているが、マリノス相手には危険となる。
プレッシングに出て剥がされることで生じるスペースはマリノスにとって格好の獲物となる。
実際、キャンプ中のトレーニングマッチでは徳島や岡山に対して、前掛かりに守備を仕掛けた際に入れ替われる形でピンチを迎える場面がいくつか見られた。
開幕前最後となったヴェルスパ大分とのトレーニングマッチでは、バランスの修正も行ったようであり、プレッシャーに行き過ぎるということは無いはずだ。
山本起用の意図もここにあるかと思う。
相手に押し込まれる時間が多くなる中で、自陣で構えながら守る時間が増えることはヴァンフォーレにとってはありがたい展開と言えるかもしれない。
天皇杯のように自陣に籠ることで、スペースを消しマリノスの速い攻めを減らせるかはポイントとなる。
この時、大事となるのはウタカと長谷川でボランチを消すこと。

CBとボランチで容易に出し入れできる状況を与えてしまうと、活かしたいサイドのエウベルや水沼といったアタッカーにボールを運びやすくさせてしまう。
ここの出し入れをすることでディフェンスを中に絞らせて、サイドのアタッカーに一対一の状況を作ってあげることがビルドアップの狙いでもあるためウタカと長谷川が背後を消せるかはポイントとなる。
理想的な形は以下のような形。

ウタカと長谷川でCBとボランチの出し入れを牽制してショートカウンターへと繋げることが理想的な形となる。

アタッカー陣で特に気を付けたいのがエウベルの存在。

注目のマッチアップ①
須貝vsエウベル

昨シーズンの映像から抜粋したい。

このようにエウベルはスピードに乗せると止めることが出来ないアタッカーで、須貝が一対一でマッチアップする形は極力減らしたい。
昨シーズンの天皇杯を見ても須貝のディフェンスはJ1で通用するレベルにはあるが、エウベルはJ1トップレベルのアタッカーでありJ1のDFでも簡単に止められるような存在ではない。
一対一の場面は作らせたくないが、見てみたい気持ちもある。
須貝なら止められると信じているが、極力エウベルに自由にスペースを与える形は作らせない方が良いだろう。
また、エウベルのスピードを活かし、一発でDFラインの背後を突いてくることもある。
足元に入ってからの一対一だけを押さえれば良い訳では無く、エウベルは多彩なアタッカーであるため、須貝にとっては大変な90分となりそうだが、自身の価値を高めるチャンスでもある。

一方の右サイドはコンビネーションからのクロスという形が多くなる。
特にSBの松原がインサイドでのサポートや水沼が降りてきて組み立てに参加し、前進を図りクロスへと繋げていく。

水野、三浦にとっては対面の選手がコロコロと変わることになりそうで非常に厄介だ。
チームとして上手く整理して試合に入りたいところ。

また、エウベルや水沼を筆頭にWGの選手を活用するイメージの強いマリノスだが、前線の選手も組み立てに加わることがあり、中央に人が密集することもある。
その状況下では、無理に背後を空けずボールを持たせても良いかもしれない。
マリノスの選手の多くはスペースがある状況下で、より力を発揮するタレントが多くいるだけにボールを持たれてもDFの前で持たれている展開はリスクが低いかと思う。
途中からマルコスや吉尾海夏が出てくると状況も変わって来るが、まずはスペースを与えないことが大切となりそうだ。

昨シーズン、リーグ戦ではあまりカウンターで素早く攻め切るという場面は多く無かったが天皇杯ではカウンターからの攻めという回数は多くなっていたヴァンフォーレ。
そこに篠田監督は元々、堅守速攻を武器にするチーム作りを得意としているだけに奪ったら速くという意識は強く出る試合となるのではないか。
マリノスに足元でボールを回させる時間を多くし、奪ったら素早く空いているスペースを突いていく展開を作りたい。

一方のマリノスの最大の狙いは敵陣でのプレー時間を多くすること。
マリノスも今年の甲府が狙いとしているように、失った直後の切り替えの速さは大きな武器となっている。
マリノスのプレッシングで特徴的なのが、ボールに直線的にアタックして行くことにある。

ハイプレスにも大きく分けて2つの特徴がある。
1つ目が、連動してパスコースを消して誘導する方向を決めて取り所を定めるやり方。
2つ目が、ボールに直線的にプレッシャーに行き、ボール付近から順に人を捕まえるように出ていくやり方。
マリノスは後者であり、ボール近辺の圧力は非常に高い。
また、特徴的なのはボール近辺は圧縮している反面、後方は陣形が揃っていない状況も多くなる。
後ろを整えてからプレッシャーでは無く、プレッシャーを掛けながら陣形を作っていくイメージとなる。
このやり方では、相手陣内でボールを奪える可能性も高くなり、一気にショートカウンターに繋げられる。
非常にリスクは高い守り方ではあるが、マリノスにとってはリターンの方が大きいと感じているため採用している戦術となる。
昨シーズンの映像から見てみたい。

このように敵陣で奪って素早く攻めきる、仕留めることはマリノスにとって大きな武器である。
では、甲府としてはどうすれば良いのか。
理想は相手の強烈なプレッシャーを剥がして、空いているスペースを突いていくこと。

このようにマリノスの前線からのプレッシャーを回避出来れば、後方にスペースはあるためチャンスは作れるが、J1のクラブでも出来ないことを望んでも厳しい。
むしろ、チャレンジをすることはマリノスにとって格好のターゲットとされてしまう。
なので、プレッシャーに来た際の後方が整っていないことを活かさない手は無い。
そこで大事になるのが、ウタカがどれだけ前線で収められるか。

注目のマッチアップ②
ウタカvsエドゥアルド

プレッシャーを回避するためには、必然的にロングボールを蹴る展開が多くなってくる。
この際、狙いたいのは空いているスペースに流し込むこと。
だが、マリノスのハイプレスの前に狙った所に流し込むことは容易ではない。
大雑把なロングボールが多くなるが、その中でウタカがどれだけ我慢して収められるかは重要となるだろう。
対峙する両CBは共に日本を代表する選手であり、簡単にはいかない。
特にエドゥアルドは対人の強さもJリーグ屈指であり、エドゥアルド相手にボールを収められる回数が多くなるとヴァンフォーレ優位の展開に持っていけるだろう。

だが、当然余裕があれば空いているスペースを的確に狙ってカウンターを仕掛けたい。

マリノスは前掛かりの状況で、失うこともあるので失った直後の切り替えが甘いとこのように広大なスペースがあるためカウンターに繋げることができる。
長谷川やウタカを起点に水野の速さを活かしたカウンターの機会をどれだけ作れるかもポイントとなりそうだ。

失った直後でなくても、マリノスは積極的にボールにアプローチする守備を見せる。
ただ、セットした際はとにかくボールへという意識から狙い所を定めて強くという意識が高いように感じた。
中でも特徴的なのが、相手SBに対してSBが出ていくこと。
この点は、キャンプ中ヴァンフォーレが上手く行かなかった点でもある。

このようにSBを吊り出し、横幅を3人で守らせる状況を作れれば、チャンスは増えていくだろう。

そしてマリノス攻略のもう一つのポイントはセットプレー。
昨シーズン、リーグ最少失点の35失点であったが、内セットプレーからは14失点と全体の40%とマリノスにとってはウィークポイントとなっていた。
14失点はリーグワースト2位とマリノスを攻略する上では、ポイントとなる。
だが、昨シーズンのヴァンフォーレはリーグトップのCK獲得数を誇りながらセットプレーからの得点数は6とリーグワースト2位。
マリノスのウィークポイントを突きたいが、ヴァンフォーレも苦手というのが昨シーズンのデータから伺える。
しかし、今シーズンのヴァンフォーレはセットプレーが改善する兆しは見える。
佐藤、土肥、品田と優秀なキッカーを獲得し、横山雄次コーチをセットプレーコーチとして招聘。
今シーズンのヴァンフォーレはセットプレーに力も入れており、早速見せ所でもある。
マリノスのセットプレーの守りはゾーンとマンツーマンの併用。
昨シーズンのCKの映像を見ると、直接失点する形よりも折り返しやセカンドボールを拾われてからのクロスでピンチを迎えることが多い印象を受ける。

折り返しやセカンドボールが絡むことで相手をフリーにする場面が、見られるだけにショートコーナーやトリックプレーは有効となるかもしれない。
横山コーチがどのようなセットプレーをデザインしてくるか注目だ。

マリノスの特徴であるハイライン、ハイプレスにいかにハマらないかが最大のポイントとなる。
昨シーズン、マリノスは引いて守るチームとハイプレスをいなせるチームに苦戦した印象がある。
ヴァンフォーレが狙えるのは前者かと思う。
引いて構えることは本望では無いかと思うが、マリノスに勝つには致し方ないかと思う。

マリノスは篠田監督の目指すスタイルに近いチームのように感じる。
また、J2開幕戦で戦うモンテディオ山形戦に向けても良い予行演習となる。
やりたいことが出来る時間は少ないかもしれないが、J2リーグ開幕に向けては最高の相手である。
ただ、先のことを考えてもしょうがない。
マリノスは厳しい相手であることは間違いなく、物凄く強いチームである。
とはいえ、チャンスは必ずある。
幸先の良いシーズンのスタートとなる試合を期待したい。

10.あとがき

さあ!いよいよJリーグの開幕!!
2023年は、最初のゲームをヴァンフォーレからスタートするという最高のシーズン。
ACLという未知なる舞台への挑戦も待っている1年。
苦しい時期も間違いなくやってくる。
それでもあの日の横浜国際総合競技場で見せた総力を発揮すれば乗り切れると思う。
あれだけ一丸となれたチームに不可能は無い。
まずはJリーグチャンピオンを倒して、もう一度日本中を驚かしてやろうじゃないか!!

近年、川崎フロンターレと共に日本の頂点に君臨していると言って間違いない横浜F・マリノス。
今シーズンも優勝争いの中心となっていくはずだ。
ヴァンフォーレとは違う舞台で戦うだけに純粋に応援したいと思う。
そして、共にアジアを席巻しよう!
次はACLの準決勝で対戦するのを楽しみにしてます!!
マリノスサポーターの皆さん、2/11は最高の試合にしましょう!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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