J2第10節 FC琉球戦 レビュー
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J2第10節 FC琉球戦 レビュー

前節相模原に勝ち、勝ちなしを4試合で止めた。
今節の相手は2位琉球となるが、勝ち点差は7と大きな差を付けられている。
勝って差を縮めなくてはいけない一戦となる。

1.スタメン

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甲府
前節から5人の変更。
2節前の松本戦と同じスタメンとなった。
今シーズン初めて同じメンバーが先発に並ぶ試合となる。

琉球
前節から2人の変更。
富所、清武に代えて風間宏希、清水をスタメンに起用。
今シーズン初めての先発メンバーとなった。
ベンチには清武、上原、赤嶺と切り札となる選手を揃える。

2.風

コイントスに勝った琉球の上里が風下を選択。
前半は我慢し、後半勝負を掛けていくことを選択する。

試合後の樋口靖洋監督のコメントより。

『ここ数試合の甲府を分析すると非常にアグレッシブでボールも握れるし、守備の強度も高い。難しいゲームになるのは間違いないという覚悟で臨みました。』

樋口監督のコメントにあるように立ち上がりは甲府のペースで進む。

最初のチャンスは甲府。

CKからデザインされた形を作るもDFに阻まれる。
前節に続き、変化を付けゴールに迫る。

前節はDFラインが右にズレることで関口を押し出す形の可変を取ったが、今節は山本を起用しているため山本を中盤に上げる形を取る。

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この際、これまでと違うのは長谷川がスタートポジションとしてサイドに張らないまでもサイドにポジションを取る。
これまではハーフスペースと呼ばれる中間ポジションを取っていたため、右の高い位置には関口の上がり待ちという状態が多くあった。
ボールを保持し、押し込むと関口の上がりに対し、長谷川が中間ポジションに入っていくことで中央にも人数を掛ける形となる。

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7分には鳥海が中央を単独で突破し、シュートを放つ。

ゼロトップでは中盤付近でボールを引き出すことが多くなるが、引き出すだけでなく仕掛けてシュートまで行けると相手には脅威となるだけにこのような場面は増やしたい。

10分には中央を崩し、甲府に決定機。

甲府のポゼッションに対し、琉球はブロックを構え引いて守ることを選ぶ。
12分には山本が琉球守備陣を引き出す狙いを持つミドルを放つ。

立ち上がりは甲府が圧倒する展開となる。

琉球はミスが多いこともあるが、甲府の前線からハメこんでいく守備が機能し琉球が前進できず甲府に押し込まれる形となる。

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1トップの鳥海とシャドーの一人が琉球のCBを牽制する。
琉球はサイドを経由して前進したいが外へのパスコースを消しながらプレスに行くことで中央を通そうとするが、中盤は残ったシャドーとボランチで数的優位となっており琉球はボールを失う展開が続く。
サイドは甲府のWBを琉球の両サイドがロックしているため、SBが浮く形となるが上手く利用できない。

16分に琉球に初シュート。

左サイドから右へ大きく展開し、田中がダイレクトで折り返すと清水がヘディングで合わせる。
このシュートを境に一方的な甲府ペースではなくなっていく。

徐々に442でコンパクトに構える琉球の守備の前に攻め手を作れなくなっていく甲府。
縦、横共に圧縮して守る琉球に対し、サイドから崩したい甲府だが泉澤と関口という甲府の強みである両サイドが機能しない。
荒木が絡むとチャンスは作れるものの、泉澤、関口、長谷川は連戦の影響もあり足が重くなっていた。
サイドで相手を剥がせないことで、中央を堅く守る琉球に対し攻め手がなくなっていく。
松本戦で機能した鳥海のゼロトップだが、序盤に中央からドリブル突破を仕掛けた場面以外は見せ場が作れない。
数的優位を活かし、ポゼッションしていこうにも琉球が中央を堅めているため効果を発揮しない。
そうなると高さや相手を背負ってのポストプレーが得意ではない、鳥海の良さが出にくくなる。

相変わらず琉球はミスが多くチャンスは作れないが、甲府もその流れに付き合う形となり共にミスが増えだす展開となっていく中、飲水タイムを迎える。

試合後の樋口靖洋監督のコメントより。

『なかなかウチが、特に前半の飲水タイムの前までボールの奪いどころであるとか、あるいはボールの動かしどころであるとか、そこでなかなかつかめない中でかなり押し込まれた。ただ、その中をよく耐えたと思います。そしてその後少し守備のところでボールに行けるようになってからだいぶゲームは安定したと思います。』

36分に初めて琉球が厚みのある攻めを見せる。
最後は阿部のシュートが外れたが、サイドから立て続けにクロスが入る迫力のある攻撃を初めて見せた。

風上を利用し、押し込めた立ち上がりであったが徐々に風に苦しみだす甲府に対し、琉球は向かい風を上手く利用しチャンスの一歩手前まで迫る。
結果的に前半は風に苦しみ、風上ながらも失速する形となってしまった。

3.疑惑

後半の立ち上がりは共にCKを獲得する展開となるが、お互いに活かせず。

後半に入り、前半ほど風が吹かなくなったこともあり風の影響を受けなくなった甲府が押し込む展開となる。
だが、共に決定的な場面はなく時間だけが過ぎていく。

試合後の伊藤彰監督のコメントより。

『後半オーガナイズを少し変えて右からチャンスができていたがチャンスを決められず。ただ、風下の中でいいプレーをしてくれた。』

後半はあまり可変を行わず、泉澤が中でプレーする時間が増える。

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風間、田中とのマッチアップに苦戦し、守備での負担も多くなることから中央に立ち位置を変えたが起点となり効果を発揮する。

56分には泉澤がホールで起点になる形からチャンスを作る。

61分にはホールで受けた長谷川が前を向き、シュートを放つ。

先程の関口のシュートの場面での野津田のプレーや前半の鳥海のシュート場面、この場面の長谷川のプレーとブロックを構える相手の守備陣の間でボールを引き出し、ドリブルで運ぶことで相手を押し下げる。
これにより守備者としては、下がりながら守るしかなく攻撃側が主導権を握る形となる。

泉澤含め、後半はホールを上手く活用できる回数が増えていく。
62分に甲府は鳥海、野津田に代えて宮崎、山田を投入する。
共に同じポジションに入った。

64分には琉球が阿部、風間宏矢に代えて清武、赤嶺を投入する。
これにより前線の立ち位置を変更。
最前線に赤嶺、2列目は右から池田、清水、清武という並びとなる。

73分には甲府は中村に代えて野澤を投入する。

77分に琉球は風間宏希に代えて富所を投入する。

81分に甲府は泉澤に代えて金井を投入する。
泉澤は連戦の疲れか持ち前のドリブル突破を見せる場面は限られていた。
泉澤が機能しないと甲府としては攻め手が限られてしまう。

試合はオープンな展開となっていく。

89分に琉球は上里がロングシュートを放ちゴールに迫る。

直後に琉球は選手交代を行う。
上里、清水に代えて市丸、上原を投入する。

上里が放ったロングシュートから得たCKで琉球が先制する。

試合後の池田廉選手のコメントより。

『シュートというよりかはとにかく当てようという感じでいて、そのこぼれ球を誰かが押し込んでくれたらという感覚でした。でも結果的に入って良かったです。前節の町田戦は自分のミスでチームに迷惑をかけてしまったので、甲府戦は絶対にチームのために何か結果を出したいと思っていました。』

岡崎のファールではないか、あるいはオフサイドではないか。
結果的にこの得点が決勝点になり、この得点が試合の中において最大で唯一のポイントとなった。
判定に納得がいかない人は多くいたかと思う。

試合後の新井涼平選手のコメントより。

『意見は言うが、判定に対してどうこうはない。』

納得していないことは伝わってくるが、新井のコメントのように判定に対してどうこう言ってもしょうがない。
納得できなくても判定が下されれば覆せない。
判定に抗議をする時間はあったが、その後切り替えて同点に追いつく姿勢を見せてくれたことに意味がある。
結果的には追いつけなかったが、この悔しさを成長に繋げて欲しい。

甲府として改善できる点もある。
まずは上里にロングシュートを打たれたきっかけは自分たちのパスミスからであった。
相手のミスを奪ったにも関わらず、直後に失っている。
その後、上里にプレスに行けず自由にシュートを打たせてしまった。
また、CKの場面で池田のシュートの直前に岡西のパンチングが短くなっていなければ池田にシュートは許していなかった。
この場面も相手に抑えられていたとはいえ、パンチングが正面に短くなってしまえば失点のリスクは上がってしまう。
サイドあるいは距離が出せていれば、疑惑の場面はそもそも生まれていなかった。
厳しい要求かもしれないが、自分たちで防げることも不可能ではなかった。
2つないしは3つチームとしてエラーを起こしているから起きたことであることは見逃してはいけない。
自分たちではコントロールできないことに目を向けるより、自分たちで改善できる点に目を向けていくことの方がチームは強くなっていくと思う。

試合後の樋口靖洋監督のコメントより。

『前節・町田戦で少し緩さが出てしまった守備に関しては最後まで集中力を切らさず、強度を上げて戦うことができたということは評価したいです。』

琉球は前節からの課題に向き合い、改善し勝ちきった。
甲府も北九州戦で決めきれなかった課題と向き合い、松本戦では3得点を決め、相模原戦では2点差を追いつかれた課題をクリアし逃げ切った。
課題をクリアしていくことでチームは成長する。

試合後の上里一将選手のコメントより。

『守備の部分でいえばチームとしてこうやっていきたいというところで、声で解決できる部分がいっぱいあると思うんですが、まだまだ足りない。もっともっとこういう守備がしたいというのをそれぞれがコミュニケーションをとりながらトライしていかなければいけないなと感じました。』
『攻撃に関しては、ボールを後ろの選手が頑張って回収して次につなげようとしたとき、いてほしいところにいない。後ろが頑張って回収したのを攻撃で早い展開でつなげるためにそこにいてほしいとか、ボールが入るけどそのあとのつながりがなかったりだとか、それぞれが無理してボールを保持しようとしている場面が多かったので、そこをちょっと修正しなければいけないなと感じました。』

勝っても兜の尾を締める。
勝って課題と向き合い成長していけるチームとなりたい。

試合後の伊藤監督のコメントより。

『選手はハードワークしてくれた。100%力を出してくれた。そこまでに至る経緯で我々は優位に試合を進めないといけない。下を向いているわけにはいかない。もう一度洗い直していきたい。』

試合後の新井涼平選手のコメントより。

『ロッカールームでもそこまで悲観している選手はいなくて、ゲームの内容としてはやりたいことは表現できている。あのシーンまでゼロで抑えていた。次の対戦に向けて積み上げていきたい。』

試合後の岡西宏祐選手のコメントより。

『連勝したかった試合で勝点を落としたので切り替えないといけない。次の試合に向けて心も体も準備したい。』

すぐに気持ちを切り替えられることはないが、次に目を向けている。
この悔しさを晴らすためには勝って勝って勝ち続け、上位を追いかけていくしかない。

4.MOM

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池田廉
均衡した試合の中で飛び抜けた活躍をした選手はいなかった。
疑惑の判定ではあっても得点が認められれば得点である。
唯一の得点を琉球が取ったからこそ琉球に勝ち点3が入り、甲府には0となった。
勝敗を分ける得点を挙げた池田をMOMに挙げた。

5.あとがき

悔しさ、納得できない気持ちが起きる試合であったかと思う。
判定で勝ち点を落としたという気持ちもわかるが、勝てなかった要因は得点を取れなかったことである。
良い時間も90分の中にはあった。
その時間に点が入っていれば違った試合になっていた。
判定の影響を受けず勝ちきれるだけのチームにならなくては昇格は厳しい。
昨年の徳島や今シーズンの新潟はそのレベルの積み上げができている。
この悔しさを活かし、判定云々関係なく勝てる強いチームになることを期待したい。

人間の目で見て、判定するということは非常に難しいことであると思う。
プロの世界で審判をやったことはないのでわからないが、並大抵のことではないことは想像できる。
ましてや、ほとんどの審判が選手や監督はじめとしたスタッフのようにプロではない。
今節の主審はプロではあるが、競争が薄い世界では成長はしないのではないかと思う。
VARがあればという意見もあるが、それだけでは根本的に審判の技量は上がらないし、J2にはそもそもないわけで嘆いてもしょうがない。
より競争が起きる環境にならなくてはいけないのではないだろうか。
そのためにはJリーグの審判として生活していける状況とならなくてはいけない。
また、判定に対して人格まで否定されるようでは審判になりたいと思う人はいなくなってしまう。
選手に対しての野次はダメだが、審判に対しては言ってもいいことは無い。

琉球の守備は堅かった。
序盤こそチャンスを作れたが、徐々にチャンスは作れなくなっていった。
昇格圏にいるチームは簡単に失点せず、簡単に負けないことを証明した。
今後も簡単には勝ち点は落とさないだろう。
昇格圏にいるのも納得の堅いチームであった。

終わってしまったことは切り替えるしかない。
引きずっていても成長はない。
また、次からは連戦がやってくる。
失った勝ち点を取り戻すためには勝ち続けるしかない。
金沢に勝てるよう一週間チームは頑張ってくれる。
この悔しさを金沢にぶつけましょう!
反撃の5月とするために最初の試合で勢いをつけたい。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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