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第45回日本クラブユース選手権 名古屋グランパスU-18戦 レビュー

世間がオリンピック一色で、Jリーグも中断中だがアカデミーの選手にとっての晴れ舞台が始まる。
開幕戦の相手は名古屋グランパスU-18。
昨年の大会では優勝したサガン鳥栖U-18に敗れ、敗退となったが今大会は3試合は約束されている。
優勝を目指し、まずは1つでも勝ち点を重ねノックアウトステージに進出したい。

1.スタメン

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甲府
システムは433。
3年生が9人、2年生が2人という構成。
キャプテンの花輪がアンカー、注目タレントの内藤は最前線に構える。
田中優音と田中優也は双子となる。

名古屋
3年生が10人、2年生が1人という構成。
ACLに帯同した吉田と豊田はベンチスタートとなった。
トップチームに二種登録されている甲田がスタメンに入った。

2.拮抗

立ち上がりはリスク回避のため、共にシンプルに前線へとボールを入れていく展開となる。

最初のシュートは3分に名古屋。

佐藤がミドルシュートを放つが、和泉が防ぐ。

試合が落ち着き始めると共にピッチを広く使いボールを動かしていくことを狙う。
甲府はボールを持てる時間はあるが、名古屋の強度の高い守備の前に思うようにボールを運べない。
両CBからのロングフィードでサイドの深い位置を狙うも単発に終わってしまう。
繋ぐことを恐れず、ボールを保持していくが日頃のリーグ戦との強度の違いに苦しむ。
名古屋も甲府陣でボールを奪い、ショートカウンターの局面を作るが決定的な場面は作れないが、技術は高く、簡単にはボールを失わないことから甲府にカウンターはほとんど許さない。

名古屋がボールを持つ際に甲府は中盤の選手が一人前線に出ていき、2トップ気味に構えてブロックを形成する。

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主に井上が内藤と並ぶ形となり、442の形でブロックを敷く。

徐々に甲府がボールを持ち、名古屋がブロックを敷き構える時間が増えていく。

16分に名古屋は選手交代を行う。
遠山に代えて貴田を投入する。
接触によるアクシデントか。
投入された貴田は一年生。
昨年のクラブユース選手権U-15で得点王に輝いた期待のストライカーである。

名古屋の強度にも慣れ始め中盤でボールを失う回数が減っていくと徐々に名古屋陣内へとボールを運べるようになっていく。
ビルドアップ時にはトップチームのように可変は行わないが、押し込んでいくと前線に5人が並ぶような形でトップチームに近い形を取る。

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サイドではトップチームでも見られるローテションを行い、高い位置で幅を取っていく。
ボール保持だけでなく、立ち位置を大切にするのはトップチーム同様である。

ボールを持つ甲府、カウンターに活路を見出す名古屋という構図の中、30分には名古屋にチャンス。

CKからニアで逸らすも詰められず。
フリーの選手がいたが、こぼれ球への反応で甲府が上回った。

直後に甲府に決定機。

名古屋の2トップは甲府のビルドアップに対し、アンカーの花輪を消しながらプレスを掛けていく。
スイッチが入ると縦関係となり花輪を消しながらプレスを掛けていき、リトリートしてブロックを敷く場合は花輪へのパスコースを2人で消しブロックの1列目となる。
田中一之介からのパスを受けた花輪は2トップの間で反転することで2トップのラインを超え前進に成功する。
苦し紛れに繋げたが、ビルドアップして前進していく上では必要な技術である。
田中優也、内藤と繋ぎ田中優也が決定機を迎えたが、宮本が立ちはだかった。
立ち位置の良さとゴールに向かっていく姿勢が噛み合った見事な崩しであったが、得点にはならなかった。

共に前半の終わりに決定機を作るも決めきれず、スコアレスで前半を終える。
カテゴリーの差はプレーの強度に表れてはいたが、徐々に名古屋の強度にも慣れ、ボールを持てる時間を増やし拮抗した展開の前半となった。

3.ワンチャンス

後半開始から甲府は田中優也に代えて河野を投入する。
そのままのポジションに入ったが守備の形には変化をつける。
前半は井上が内藤の横に並ぶ形を作っていたが、後半からは河野が内藤と並ぶ形でブロックを形成する。

後半も甲府はDFラインからのビルドアップで前進を図り、ゴールに迫っていく。
一方の名古屋はサイドからのクロスに活路を見出していく。
後半最初のチャンスも名古屋。

クロスに対し、ゴール前でフリーとなるが合わせきれず。

ボールを保持していく甲府だが、中盤でのボールロストから46分に名古屋にPKを与えてしまう。

このPKを真鍋が決め、名古屋が先制する。
決定機は無かったが、甲府の隙を突き仕留めた。

直後に名古屋は選手交代を行う。
佐藤と伊藤に代え豊田と吉田を投入する。
ACL組を同時に投入した。

飲水タイムを経て55分に甲府は宮澤に代えて青柳を投入し、同点ゴールを目指していく。

ボールを繋いで前進したい甲府だが、徐々に疲れや焦りからミスが増えていく。
名古屋はリスクを掛けず、ブロックを敷き待ち構えるがスイッチを入れプレスを掛けると全体が連動し甲府のビルドアップを阻害しに掛かる。
甲府がボールを失う回数が増え出し、名古屋がカウンターからゴールに迫る回数が増えていく。

63分には名古屋が甲田に代えて西を投入する。

65分に甲府は手塚に代えて長木を投入し、サイドの活性化を図る。

追いかける甲府だが、上手く時間を使い試合巧者ぶりを見せる名古屋にチャンスを作れず。
また、名古屋の技術の高さの前にボールを奪うことも上手くできず、奪ったボールも失う展開が続く。

敗色が濃厚となったアディショナルタイムに眠っていたストライカーがワンチャンスを沈める。

中央で山口が倒され得たFKを花輪がゴール前に入れると内藤が頭で合わせ、同点に追いつく。
チャンスはほとんど無かったが、少ないチャンスで決め切る決定力は見事である。

このまま試合は終了し、勝ち点1を分け合う試合となった。
共に少ないチャンスの中でワンチャンスを仕留めたが、勝ちきるまでには至らなかった。
どちらも技術が高く、志向するサッカーに自信を持ちお互いの良さが出た好ゲームとなった。

4.MOM

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内藤大和
ボールが入る回数は多くは無かったが、ボールが入ると前線で起点となるプレーは見せた。
遠目から無理にシュートを打つ場面も見られたが、終盤のラストチャンスで決め切る決定力と勝負強さはトップチーム昇格を期待されるのも納得であり、スター性を感じさせた。
グループステージ突破のためにも今後も少ないチャンスで決めきって欲しい。

5.あとがき

強豪名古屋相手に互角渡り合い勝ち点1を得た。
トップチームに近い志向のサッカーを見せ、強豪相手にも恐れずボールを保持していく姿勢を示した。
ミスからカウンターを食らう場面が見られたが、普段のリーグ戦との強度の違いもあっただろう。
それでもボール保持の上手さはプレミアで優勝争いをしているチームに劣ってはいなかった。
反省点は次節以降の修正に期待したいが、次に繋がる戦い方や勝ち点の取り方はできた。

名古屋もトップチームに近いサッカーの中で、高校年代最高峰に位置するだけの強度を示した。
隙を突くしたたかさやブロックを敷いた時の守備の安定感、サイドからの仕掛けは高いレベルにある。
今後トップチームや大学サッカーで活躍する選手は多くいるだろう。
これからの名古屋の選手の動向も楽しみにしたい。

貴重な勝ち点1を次に繋げていきたい。
次節の相手はサンフレッチェ広島F.Cユース。
名古屋以上の強敵であるかもしれない。
だが、積み上げてきたサッカーを武器に強敵に立ち向かいたい。

良いサッカーをしているだけにたくさんの甲府サポーターに見てもらいたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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