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教師と児童の共同によるルーブリック作成の意味ー第4学年児童のイメージマップ分析からー

 三宅貴久子・久保田賢一・黒上晴夫・岸磨貴子(2017).「教師と児童の共同によるルーブリック作成の意味-第4 学年児童のイメージマップ分析から-」『日本教育工学会論文誌』41 巻Supple.号,221-224

 この論文ではルーブリックを活用した研究の中でも、児童とルーブリックを共同で作るという点において非常に興味深い研究です。以前紹介したルーブリックの記事では、パフォーマンステストについて触れたと思います。一般的には、パフォーマンテストで使われる例が多いです。また、テスト時にルーブリックを使う場合や、事前に提示しておき、インフォームド・アセスメントを目指すという例も多いです。しかし、この研究では児童と共同で作るわけですから、より深いインフォームド・アセスメントにつながると予想されます。

 さて、本研究ではルーブリックの効果をイメージマップを使って分析を試みるという点においても興味深いです。質問紙に答えるアンケートなどが一般的ですが、あえてイメージマップを使うというところに、児童の思考を大切にする姿勢や、実験者が想像していないような効果についても目を向けようとする研究への前向きな姿勢がうかがえます。もしかすると、想定していない負の側面が現れるかもしれません。

 結果として、ルーブリックは効果があるという結論に至っています。特に、ルーブリックをただの評価指標としてとらえるだけではなく、「教師の提示しためあてを、さらに具体化するものとしてルーブリックを意味づけている」と述べられています。一方で、この研究では、実際に使ったルーブリックが掲載されておらず、どのような評価基準が出来上がったかなどは不透明です。また、児童と共同で作る場合と、教師が一方的に提示した場合において、どのような効果の違いがあるかなどについても言及されていません。その点について、今後自分の研究として深めていきたいと考えています。

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