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自衛官から総合系コンサルファームで活躍するためのマインドセット/元航空自衛官インタビュー〜後半〜(no.10)

前回記事から続き、後半は、自衛隊で培った素質、能力を活かして、再就職した企業でどのように活躍されているのかをお伺いしました。
           ⇩⇩⇩⇩⇩前回記事⇩⇩⇩⇩⇩

ベイカレント・コンサルティングでの働き方と働きがい

ーー株式会社ベイカレント・コンサルティングでは、どのようなお仕事をされていますか。

本田さん:戦略系からIT系まで幅広いプロジェクトに参画し、プロジェクトメンバーとして上位職の方の補佐等(ドキュメンテーション、リサーチ、進捗管理等)を行っております。またプロジェクト間に営業提案の資料作成も行いました。

勤務スタイルは大きく2つに分かれます。

客先常駐するパターンと、本社で対応するパターンです。それぞれ一概にどういうプロジェクトが当てはまるとは言えないですが、私の経験した範囲で説明したいと思います。

常駐するケースとしては、業務やITに関するプロジェクトが多いように思います。私の場合はクライアント社内のシステム構築支援を行うプロジェクトが客先常駐でした。その中では、対外調整を担当し、システム連携先やベンダーとの調整を行います。具体的には、支援しているクライアントが外部とやりとりをする際の調整支援(調整会議の支援、説明資料作成、議事録とってまとめる)やプロジェクト上の課題管理等です。

本社対応のケースとしては、戦略系のコンサルティングに関わる業務が多い印象です。私の知る範囲で業務をご説明すると、週1くらいでクライアントとの打ち合わせを行い、プロジェクこれまでの報告や今後の方向性の決定報告を行います。そして打ち合わせで決まった方向性に従い資料を作成をするためにリサーチしたり、チーム内で認識合わせやこの後のロジックの確認をします。非常に忙しくも良い経験をさせてもらっています。


ーー今の会社に決めた理由と今後の考えているご自身のキャリアをお聞かせください。

本田さん:ベイカレントは、総合系(戦略やIT等の領域を特定しない)かつワンプール制(メンバーが専門を持たない)ファームのため、幅広い分野のプロジェクトを経験できます。なので、自分の経験値を若いうちに大きく伸ばせると考え、入社を決定しました。

実際に入社しましたが、様々なプロジェクトに関われています。今後はシンプルに上位職を目指していこうと考えています。

自衛官が民間企業で通用する能力とは

ーーいろいろな経験を若い内から得られそうですね。本田さんが考える、自衛官だった事で活用できる能力、マインド、スキル等ありましたら教えてください。

本田さん:私の経験に照らし、若手自衛官に特化してお話ししたいと思います。まずはビジネススキルに関しては、活用できるものは正直ほぼありません。基本的ビジネススキルは大半が新卒と変わらないなと感じました。

自衛官は戦略や作戦を考えるから戦略的思考が備わっていると主張する意見も目にしますが、体系的に論理的思考を学ぶ機会がほぼない自衛官の思考力は属人的であると言わざるを得ません。あくまで若手幹部しか経験していない私の個人的偏見ですが、入社後に会った戦略案件に強いコンサルタントの方たちの様な戦略的思考力を備えた自衛官には会ったことがありません。特段能力が高い自衛官はその限りではないですが、一般的に見たときに強みと考えるべきポイントはそこではないと思います。

自衛官だからというより、これまで自主的に養ってきた能力は活用できるのではないかと思います。

しかし補足するなら、民間で私はまだ下位職の勤務経験しかないため、これが部下をもつようになった際に、自衛隊経験が活きるものがあるかもしれないと感じています。自衛官のみなさんは特にリーダーシップや組織マネジメントの手法は自衛隊の各教育課程をはじめ部隊経験を通して習得している事と思います。ただし、ビジネスに関する能力は自分で掴み取る覚悟と努力が必要です。

一方で、マインドセットや人間性については、活かせるものが多々あるのではないかと思います。月並みな言葉に聞こえるかもしれませんが、特に規則正しく、ある程度厳しい環境に身を置いた経験は社会人としての土台になります。私も自分は比較的ストレス耐性があると感じますし、何をするにしても最後は根性や忍耐は必要だと思います。とくに歩合で上を目指しやすい営業など、向いている方は多いのではないかと思いますし、実際営業職に転職した自衛官を何人も知っています。

自衛官の転職にありがちなのですが、今持っている運転資格等にとらわれず、幅広く自分の価値を活かせる業種・職種を考えることが良いと思います。

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辞めるなら覚悟と目的をもって退職をすべき

ーーこれから再就職をする人に向けてのアドバイスをお願いいたします。
本田さん:まず大前提として、自衛隊の勤務条件はよいものであると考えております。特に新型コロナが流行している状況でも公務員は相変わらず安定していると言えます。

そのような中、わざわざその労働条件を捨てるに足るだけの意志や理由が有るか無いか、そこが再就職をするかしないかの第一の判断基準と言えます。将来その選択に後悔するかしないかの大部分はそこにかかっていると思います。

よく、ネガティブな理由だけで仕事を辞めたいという人がいますが、その場合は、転職はやめた方が良いと思います。なぜならそれでは自衛隊をやめたい理由はあっても、転職先の仕事をやりたい理由が説明できないからです。どうしてもやりたいと言う意思がなければ転職先でも大成しないのではないかと思います。

正直一度退職してしまったら戻れないですし、そもそも自衛官はやりがいがあると思うため、悪いところではないです。繰り返しますがそれを手放してでもやりたいことがあるなら転職を考えてみてもいいと思います。

そして転職を行うのであれば、徹底して自分で情報を取りに行く主体性を持ちつつ、信頼できる方にアドバイスを貰いながら、活動していくべきだと思います。大半の自衛官は本格的な就職・転職経験は持っていないと思います。プロや経験者によるアドバイスは非常に参考になると思います。

ここからは余談ですが、私は民間企業へ再就職してから公務員の安定性を疑問視しています。公務員はたしかに国と言う組織(企業)としての安定性はありますが、一方で個人が生きていく力は無いと考えます。たしかに倒産はしないですしクビにもならないと思いますが、ケガや病気、プライベートな都合で仕事を辞めざるをえないケースはあり得ます。自衛官が自衛隊で働けなくなったとき、社会の荒波の中でこれまでと同じような待遇で生きていけるでしょうか。

安定性は、所属している組織だけではなく、個人にも求めることが重要だと思います。そのように考えると、実は民間=不安定とは言い切れません。民間であれば、キャリアと実績次第で他企業や他業界に移ることもできます。このように周囲の環境変化に強い個人は安定性があると言えるのではないでしょうか。

自衛官は実は不安定だから民間に移るべきだと主張しているわけではなく、むしろ組織としてかなりの安定感のある職業だと考えています。しかしながら転職をするしないに関わらず、公務員という安定組織に居ることで思考停止するのではなく、安定性とは何かを認識し、日々自己の能力向上に励むことでより充実した生活を実現できるのではないかと思います。

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