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犬と猫のフードを分けなければいけないのはどうして?肝酵素のおはなし

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自由研究のヒント

猫はエネルギーを作り出すメインの栄養素がタンパク質だから、犬よりも多くのタンパク質をとらないといけないんだよ

なんと1.6倍のタンパク質が必要なんだ!

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犬や猫は私たちと同じようにタンパク質・脂質・炭水化物・ミネラル・ビタミンなどを食べ物から摂取して健康を保っています。人間はなんでも食べる雑食動物ですが、犬や猫では人間よりも肉食よりの動物なのでそれぞれの栄養素を体が必要とする割合は異なります。
犬は雑食に近い食性ですが、それでも人間よりは多くのタンパク質を必要としますし、猫は犬よりももっと肉食性の強い動物です。

栄養学に突っ込んだお話をすると、猫ちゃんは肝臓でアミノ酸からエネルギー(糖、グルコース)を作るための酵素(アラニンアミノ基転移酵素等)が常に活発に動いています。人や犬はタンパク質が少ない時はこうした酵素が少なくなります。
人や犬は無理にタンパク質からエネルギー源である糖を作り出さなくても、炭水化物から効率的にエネルギーを取り出せるためです。

しかし肉食で炭水化物をあまり摂取する機会がなく、野生での食べ物のほとんどを獲物(タンパク質の塊)から摂取していた猫ちゃん猫ちゃんでは常に一定のアミノ酸が分解され続けます。つまり、タンパク質を与え続けていなければいけないのです。

犬では4キロカロリーのフード重量に対して、タンパク質が18%ほど含まれ、脂質は5.5%ほど含まれるフードが必要です。

対して猫ではタンパク質26%、脂質9.0%ほど含まれるフードが必要です。

猫は犬とならんでペットの代表格ですが、犬と猫には必要とする栄養素の割合が大きくことなります。

猫は犬の1.6倍のタンパク質を必要としているのです。そのため犬用のフードはそもそもエネルギー源になるタンパク質が少ないのです。そのほかにも前の記事でも取り上げましたが、タウリン という栄養素などが足りていないなど様々な違いがあります。


参考:
『ペットフード・ペット用医薬品の最新動向』 有原圭三


環境省 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide_1808/pdf/3.pdf

犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。