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卵色素

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自由研究:違う種類のパックの卵を買ってきて茹で卵にして黄身をみてみよう。
オレンジ色が濃いものと、薄い黄色の黄身の写真をとって、2枚並べて家族や友達にどちらがおいしそうにみえるかアンケートをとってみよう。人間は色が濃いものをよりおいしそうに、好ましく感じる傾向があると言われているけれどみんなの周りの人はどうかな?
*なかなか薄い色の黄身の卵がみつからないという子供たちへ:"平飼い"など書かれた鶏卵は着色料を使っていないことも多くて黄身が薄い傾向にあります。

卵白には200種類以上のタンパク質が含まれています。赤ちゃん(胚)の発生や微生物から身を守るために使われます。人間や犬猫などの哺乳類は自分で外の環境で生きれるようになるまでは胎盤という臓器を通じてお母さんの血液から栄養分をもらいながら過ごしますが、卵を産む鳥は孵化まで卵の中の栄養分だけで成長していかなければいけないのでたくさんの栄養分を含んでいるのです。卵白から抽出されたリゾチームは抗菌作用を期待して目薬など医薬品にも応用されています。

黄身の色は卵によって違いますよね。オレンジで濃い色のものが美味しそうで栄養もたっぷりありそうにみえますが、実際はどうなのでしょうか。実は脂に溶ける色素(脂溶性色素)はお母さん鶏の消化管から肝臓に、肝臓から血中に乗って産卵までの間に卵黄にたまることが知られています。パプリカやマリーゴールドの粉末を用いて卵黄に色をつけています。そしてこうした色素の大部分の成分(ルテイン・ゼアキサンチン)はビタミンAとしての効果はなく色と栄養成分の間にはほとんど関係はありません。

ちなみに脂溶性の色素はVLDLというタンパク質と脂質の複合体にくっついた形で運ばれるのですが、哺乳類のVLDLは赤ちゃんの元になる卵細胞には蓄積しません。
参考
ムコゾーム点眼液0.5%添付文書,参天製薬株式会社, https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00055266.pdf(2021-7参照)
・中嶋 隆,海 外文一郎,・岡 村 由紀子,・國 松 豊,天然卵黄着色強化剤の産卵鶏の卵黄色に与える影響,1994,Jpn. Poult, Sci., 31: 417-422
・岩澤淳, 村井篤嗣,ニワトリ卵の生物科学-ヒヨコを生み出し,支える栄養成分,2021,生物の科学遺伝, Vol75, No.2

犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。