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玄鳥至~ツバメが来たよ!きみの地域の都道府県のレッドリストをみてみよう~

自由研究のヒント
・絶滅のおそれのある動植物の名前が記載されたのがレッドリスト
・全国を対象にした環境省版レッドリストと、各自治体がその地域の生息状況を反映した独自のレッドリストがある
・同じ種でもランクが異なることがある



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4月5日から4月9日までは七十二候の「玄鳥至(げんちょういたる・つばめきたる)」に入ります。
先週空を見上げていたら雀やムクドリやハトやツグミなど、この辺でよくみられる鳥とは明らかに違うフォルムのスマートな鳥の群れが低く飛びながら夕方の空を舞っていました。

胴体に対して羽が大きく滑空しながら高速で飛び回るあの姿はツバメ(Hirundo rustica)。。。に似ていますがいわゆるツバメより尾羽の切れ込みが浅いので、おそらくイワツバメ(Delichon  dasypus)でしょう。イワツバメはメジャーなツバメより少し早く日本に到着します。
イワツバメはツバメより少し小柄で、腰に白い帯の模様があるため低く滑空している時は判別しやすいです。

七十二候は現代の私たちの生活ではあまり目にしない動植物や現象を取り上げたものも多いですが、ツバメの仲間は身近に感じることができる季節の風物詩の一つです。

日本で繁殖するコロニーは東南アジアなど暖かい地域で越冬し、3月頃から日本に飛来し15日前後卵を暖めたのち26日程度の育児期間を経てひなは巣立ちしていきます。滑空しながらカやハエなど空を飛ぶ小さな虫を捕まえて餌としています。そして9月から11月にはまた冬を越すために暖かい地域へ飛び去っていきます

最近はツグミが土を穿り返して食べ物を探している様子をよくみかけるようになりましたが、イワツバメやツバメのように空を翔け採餌する鳥は空を見上げていないとなかなか気がつきません。

また、イワツバメは東京都の保護上重要な野生生物種2020年度版(東京都レッドリスト(本土部)2020年版)と千葉県のレッドリストに記載されている種類です。
レッドリスト・レッドデータブックというのはある地域に生息している動植物の数が減少し地域から絶滅する可能性が高い動植物の名前を記載したものです。絶滅(EX)、「野生絶滅(EW)、「絶滅危惧IA類(CR)、絶滅危惧IB類(EN)、絶滅危惧II類(VU)、準絶滅危惧(NT)、情報不足(DD)とランク付されています。
環境省も日本全国を対象にレッドリストを作成していますが、地域により生息する動植物の個体数には差があるため、独自のレッドリストを作成している自治体もあり東京都や千葉県はそうした自治体のひとつです。
イワツバメは環境省のレッドリストには記載されていない、つまり全国的にみると絶滅の危険度は高くはありませんが東京都では情報不足・準絶滅危惧で千葉県においては独自のランクですが一般保護生物、放置すれば個体数の減少が危惧されるカテゴリーに入っています。
情報不足というのは繁殖地が毎年一定ではないことやツバメの仲間ですがあまり軒下などを好まず橋の下など人目につきにくい場所に巣を作る性質などが正確な評価を難しくしているのかもしれません。
東京都の最新のレッドデータは東京都環境局のwebサイトに全ての種が記載されています(https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/red_data_book/redlist2020.html)
千葉県のレッドリストは千葉県環境生活部の生物多様性センターで閲覧できます(https://www.bdcchiba.jp/redlist_animal_2019)
まとめて各都道府県でもレッドリストのランクを調べることができるwebサイトもあります。(http://jpnrdb.com/search.php?mode=rank)

お子様やご自身のお住まいの地域のレッドリストや環境省のレッドリストをみながら野鳥観察してみるのはいかがでしょうか。

参考:
・Bird Research News Vol.10 No.9, 2013.9.27 http://www.bird-research.jp/1_newsletter/dl/BRNewsVol10No9.pdf
・レッドデータブック東京:https://tokyo-rdb.metro.tokyo.lg.jp/rdbtoha.html 2022/03/27参照
・環境省版レッドリスト2020年版:https://www.env.go.jp/press/107905.html 2022/03/27参照
・千葉県レッドリスト:https://www.bdcchiba.jp/redlist_animal_2019 2022/03/27参照
・日本のレッドデータ検索システム:http://jpnrdb.com/index.html 2022/03/27参照

犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。