犬のプロピレングリコールの影響【中毒】
【犬のプロピレングリコールの影響】比較的安全な物質として化粧品や医薬品など広い用途で用いられている。名前が似ているがエチレングリコール より安全性が高い物質。大量に摂取すると犬に中毒を起こす。猫では赤血球に異常を起こすことから猫用ペットフードへの利用は禁じられている。
■原因物質
プロピレングリコール(PG)
■症状(徴候)
安全性が高いとみなされるPGだが大量に摂取し中毒を起こした場合に徐脈, 運動失調, 肝機能低下,発作,意識障害,電解質異常(代謝性アシドーシス),高浸透圧血症, そして 腎毒性に起因する徴候がみられる。
■中毒量
犬の半数致死量(LD50)は1kgあたり22gとされている。(名前が似ているエチレングリコール は6.6ml/kgで量がかなり異なる。
専門家間でコンセンサスが得られた犬の中毒量はまだ決定していない。
実験では影響が認められないNOELは犬では体重1kgあたり1日に約6mgとされている。
■中毒を起こす動物種
猫は犬よりも少ない量で,臨床症状はなく赤血球に異常(ハインツ小体の形成)を起こし赤血球の寿命が短くなったという報告がされている。猫用のペットフードに用いることは禁じられている。
■治療
プロピレングリコール中毒では血圧や血糖値の管理のほか支持療法で改善することもある。毒性の高いエチレングリコール の中毒キットではプロピレングリコールとエチレングリコール を区別できないことがあり,その場合はエチレングリコール の治療(血液透析など)を実施することもある。
■参考
・ジアゼパム添付文書 https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00059953.pdf
・WERLEY, Michael S., et al. Non-clinical safety and pharmacokinetic evaluations of propylene glycol aerosol in Sprague-Dawley rats and Beagle dogs. Toxicology, 2011, 287.1-3: 76-90.
・Blackwell's Five-Minute Veterinary Consult Clinical Companion: Small Animal Toxicology, Second Edition puts all the information needed to rapidly and accurately manage poisonings in small animal patients at the clinician's fingertips.
・FOWLES, Jeff R.; BANTON, Marcy I.; POTTENGER, Lynn H. A toxicological review of the propylene glycols. Critical reviews in toxicology, 2013, 43.4: 363-390.
・TILLEY, Larry P.; SMITH JR, Francis WK (ed.). Blackwell's five-minute Veterinary consult: canine and feline. John Wiley & Sons, 2015.
・プロピレングリコール 注射用添付文書 https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00059953.pdf 2023/03/17参照
・環境省ペットフード安全基準規格 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/petfood/standard.html 2023/03/17参照