私はどこから出てきた？と聞かれアバウトにこの辺りと答えたら汚いと言われたやるせない話

どこまでタイトルに入るのかやってみたら、案外タイトルだけで完結することが分かった。

いやいや。それではあんまりなので、ちゃんとツラツラ書こうと思う。

お母さんの身体から出て来たばかりの赤ちゃんには、お腹の中の記憶があるという話を聞いたことあるだろうか。

胎内記憶というらしい。

証明はされてないが、言葉を話すようになってから、お腹から出るとき「狭かった」とか「暗かった」などと説明する子がいるという話。

んなことが、あるのかい？　なんて思いながら

はて、自分はいつの記憶（場面）まで遡ることが出来るかなぁと考えてみたら

3歳、4歳は無いから5歳か6歳。幼稚園に入園した頃だ。断片的だが記憶にある。

ひとつは、父のフミオに平手打ちをお見舞いされたこと。（超絶短気暴れん坊型父の話noteにも20エピソードほどを書いた。もしDVにトラウマある方は読むのやめてね。ぜんぜん生々しくは書いて無いけど念のため）↓

もうひとつは幼稚園での出来事。自分史上最も古い記憶だと思う。

私は走っている。
幼稚園の門から園庭に向かって。

周囲の何人か子供も同じように走っていた。競争でもしていたのか。といっても園児なので、可愛いものだ。

「わあああ、あははは」

そこへ背後から本気の音が聞こえてくる。自分小学生ちゃうのんか、みたいな身体のデカい男の子が、地響きドドドと一瞬に私を押しどけ

「こんな小さいやつに負けるか！　抜かしたる！」　　　　

と、駆け抜けていった。　

人間関係においては、こちらは何もしてないけれど一方的に敵意を剥き出しにされることがある

と、悟った最初の出来事かも知れないな。

話は飛ぶが、養老孟司さんがある講演で話していた赤ちゃん脳について。これが面白かった。

赤ちゃんは自分のママの母乳と、他ママの母乳、ちゃんと区別がつくのだという。

赤ちゃんの顔の上で、母親の母乳と他ママの母乳を付けた紙をヒラヒラ廻す。と、そのうち自分のママの紙だけに反応して、そこへ顔を向ける（紙を追う）らしい。

赤ちゃんの嗅覚と脳の関係かあ。なるほど。いつかもし、子を産んだら実験でもしてみよう。面白そう〜。

なんて、のんきに思っていた独身時代。

ところがどっこい

子を持ってみたら、想像を絶する疲労困憊の毎日で、養老先生を思いだすことなんて、レイコンマ1秒も無かった。

初めての新生児お世話。夜泣き、感の虫激しい系のお子と対面。目の前の処理だけに追われて生きた数ヶ月。

私は、早食いマンに変身した。

片手に抱っこ片手にご飯が続いた結果、気づくと、両手にご飯でも早食いマンになっていた。

人間て凄い、環境って怖しいね。笑う。

遅食いマンというワードで、地獄の給食時間を思い出す。子供の身体だってけっこうな個人差あるのに、全員が同じ量を食べさせられた給食。

私はクラスでも身体が小さく食細（おまけに好き嫌いも多し）だから、いちばん遅くまで席に座っている。皆が、帰り支度や終礼あとの掃除を始めても、先生が許すまで残された。

今ならこれ通報ものじゃないか。

食べ切るまで許して貰えないって。なんの訓練だ、飛ばしてたね昭和40年代。

そんな児童の机の棚や引き出し奥には、小さく固められたコッペパンが、いくつも詰まっていた。おそらく全国区で。

あや、また脱線。

てことで、私は赤子を育てることに精一杯にて養老孟司さんのおっしやってた実験はしていない。

で、やっとタイトルの話へ。

小学生になったばかりの彼女と2人でお風呂に入っているときだ。

やおら

「ねえ、ねえ、私はさ、ママのお腹から出てきたんでしょ？」

と彼女が言った。

「そうだよ」

と私が言った。

すると

「どこ？　どこから？　どうやってでたの？　ママさ、お腹切ったの？」

湯船から、矢継ぎ早クエスチョンが飛んでくる。

……うう面倒だ。面倒と思ってはいけないけど面倒だ。ワタクシ、ただいまシャンプー中。

それにだ。

まだそこんとこは、いろいろ具体的に知らなくてもよい年齢じゃないか？

しかもシャンプー中に簡単に答えられるもんでもない。

私は片手で、シャシャっと円を描いた。
そう。出来る限りアバウトに

「このへん、、かな」

すると返ってきた答えが

「ええええ！　キタナイ！！」

じゃっかん意義ありの気配を含んだ悲鳴が、狭い浴室にこだました。

確かに。

7歳の彼女にとってそこら辺はいつも大人から
綺麗に拭きなさいよ
とか
汚いよなどと言われてる場所なのだ。

まさかと驚いたのだろう。

しかしだな、その構造を造ったのは少なくともママじゃないのよ、汚いと文句言うなら神さんに言うてくれ。プイ。

私は無言でシャンプーを続けた。
彼女もショックなのか、無言のまま
私のそのへんをずっと観察していた。


どうせなら

「どこからって？　おまえはねブッダさんと同じ私の右脇から出てきたんだよ」

とでも言った方が良かったか。そこなら汚いと怒られずに済んだかも知れない。

終わり。