見出し画像

野党政権に向けた共産党の大譲歩

【志位和夫×玉木雄一郎】立憲主義・格差是正・多様性と個人の尊厳を大切にしたい!

2019年12月23日、国民民主党の玉木代表がYouTubeの「たまきチャンネル」に共産党の志位委員長を招き、ふたりで特技のピアノを披露し合ったあと、ホワイトボードに書いておいた疑問点について質問しました。以下は、その一部の文字起こしです。

注:聞き取れないところは「XXX」と表記しています。間違いがありましたらご容赦ください。

キャプチャ

▼中国共産党との関係は?

玉木(6:42~):
日本共産党と中国共産党は、まさに兄弟関係みたいなもんではないんですか?

志位:
ないですね。兄弟でもなければ親戚でもない。やっぱり別々の党なんですけども、同じ共産党という名前がありますから、同じかなって思ってらっしゃる方いらっしゃるかもしれないけども、今の中国共産党、中国の政府の在り方、かなり厳しく批判もしてきました。

玉木:
あれは、党大会か何かで決めたんですか? 変えたんですか?

志位:
党の大会で綱領を一部変えまして、この前。中国は社会資本を目指す、新しい探求を始めている国だというXXXがあったんですけど、削ると。

玉木:
ああ、そういう記述をしてたところ、日本共産党の綱領ですか、綱領の中に書いてあるものを削るってことですか。

志位:
削るということです。つまり、社会資本を目指す、探求している国と見なす根拠がなくなったと。とくに2つの問題をね、僕ら、大きく問題にしているんですが、1つはやはり新しい大国主義、覇権主義って部分なんですよ。特に日本との関係で言いますとね、尖閣諸島の周辺に中国の公船を入れてきますでしょ。これは、2008年からずっとやってきたんだけど、今年調べますとね、2019年、接続海域に入った中国の公船の数、領海侵入も含めてなんですけど、1053回。で、去年の1.7倍なんですよ。1000回超えたのは初めてです。

玉木:
これね、よく国民のみなさんの中に誤解もあると思うんですが、いわゆる民主党政権のときに国有化してがっと増えていると。あるいはそっから始まったと。でも、その前からまずやっているというのが1つあるのと、あと、安倍政権になって抑えられて、特に安倍さん最近、「完全に日中関係は正常な軌道に戻った」とか言うんですけど、相当、だったらあんなになんで公船がね、1.X倍も来るようになってるっていうのは、これはたぶん、世の中の人が思ってる以上に、ある種の中国の海洋進出のペースっていうのは落ちてないんですよね。

志位:
特にね、去年言われたように、「両国関係が完全に正常な軌道に戻った」と言ったわけですよ。で、それが進んできたわけです。で、去年は一応ちょっと抑えたんだけど、今年は去年の1.7倍ですよ。だからね、そういうふうに言っておきながらね、そうやって力ずくで現状変更を迫るっていうのは、これはおかしいでしょと。あまりに不誠実だと。だから私たちね、中国の大使に、これやめてくれと抗議して中止を求めたんです。【以下略】

▼自衛隊はなくす?

玉木(17:11~):
自衛隊はやっぱりなくすんですか?

志位:
これはね、明日からなくすなんてこと、絶対ないから。私たち、自衛隊と憲法9条が両立するかってことを考えた場合に、私たちはやっぱり両立しないと。やっぱり憲法違反だと思ってます。ですから、解決する方法は2つしかないと。憲法を変えるか、自衛隊の現状を変えるか、この2つしかないと。どっちを選ぶかってことを考えた場合に、やっぱり9条っていうのは私たちは世界に誇る理想を掲げたもので、これはやはり大きな理想としてしっかり守っていくことが大事であると。

玉木:
陸海空軍その他の戦力は、これを保持しないと。

志位:
それも含めて守っていくことが必要であると。そうすると、この9条という理想に向けて、自衛隊の現状を一歩一歩改革して、理想に近づけていくと。国民の合意で。このプロセスだと思うんですよ。すぐにはそんなこと、一気にはできないんで、やっぱり一歩一歩やっていくと。で、まずはね、ですから、今、野党で、自衛隊と憲法の問題で一致してるのは、安保法制でXXXしてるじゃないですか。(集団的)自衛権の行使のね、あれはやっぱりなくしていこうと。そこで一致して協力すればいいんで、ですから、自衛隊とは私たちはかなり長いあいだ共存していくと。

玉木:
共存を認めるんですか。

志位:
共存は認めてます。

玉木:
ということは、逆に言うとですよ、安保法制を廃止というか、あれ以前に戻せという話ですよね。ということは、その以前の段階までの自衛隊だったら認めるってことですか?

志位:
あの、私たちは連合政権を作ろうと言ってますよね。連合政権としてはね、やっぱそれを認めるってことですよ。

玉木:
あ、そうなんですね。

志位:
そうです。要するに、安保法制を廃止するじゃないですか。それから集団的自衛権行使の閣議決定を撤回するじゃないですか。そうすると前の……

玉木:
個別的自衛権だけが認められてきた、旧三要件を満たす自衛隊については認めるってことですか?

志位:
そうです。だから政権としてはそれで対応したらいいというのが私どもの考えです。

玉木:
それは知りませんでした(笑)。そうなんですか。

志位:
自衛隊を将来的に国民の合意でなくしていくためには、日本のまわりが平和にならないと。やっぱり、絶対戦争なんて起こらないね、攻めてくる国ないねというふうになるような環境ができなかったら、国民の合意できませんよね。

玉木:
そりゃもう、(完全に平和)だったら、(自衛隊)いらないですよね。【以下略】

▼天皇制もやめる?

玉木(22:00~):
あと、これですね。

志位:
これはね、やめるってね、私たちの党の綱領に書いてあるのは、憲法1条も含めて、前文も含めて、全条項をきちんと守っていくという立場ですよ。で、1条には天皇制書いてあるんですよ。ですから、これはね、天皇の制度については、当面の私たちのプログラムの中で、天皇制廃止っていうプログラムそのものはないんです。

玉木:
あ、そうなんですか。

志位:
ないです。ただ、一番大事なのは、今の憲法のもとで、憲法4条に「国政に関する権能を有しない」というのがありますでしょ。この条項をきちんと守っていくことが大事で、天皇を政治利用したりするのはよくないという立場です。

玉木:
じゃあ、象徴天皇制ということを掲げている日本国憲法の1条なり一番最初の規定のいくつかは天皇に関することなんですけど、今おっしゃった4条も含めて、そういうことを満たす天皇制は否定しないってことなんですか。

志位:
そう、否定しないと。ただね、私たちの党の信条としては、やはり天皇の制度っていうのは、国民の中に、ひとつの、まあ、不平等ですよね。あるいは差別ですよね。そういうものをつくっていくというものだから、やはり我々の信条としては、民主共和制の政治制度を目指すという立場をとると。ただ、これを決めるのは国民ですから、国民が決めていく問題だというふうに綱領に書いてあるんです。

玉木:
まあ、天皇の地位もですね、国民の総意に基づくとなってるんで。

志位:
そうなんです。ここ、大事なとこですね、第1条に「天皇は国民の総意に基く」とあるわけですね。ですから、これは逆に言うと、国民の総意が変われば、この制度も変わるわけですよね。ですから、そこまで奥深くちゃんと憲法に書いてあるんです。

玉木:
なるほど、そういう意味では、ここもちょっと安心した。天皇制廃止なのかなと思ってたんでね。

志位:
大丈夫、大丈夫。【以下略】

▼大切にする価値は?

玉木(25:13):
どうしても党が違うし、綱領や思想信条で違うところもあるんですけど、逆に、一致できる価値っていうのはですね、今日的価値ですね、これはどういうふうな?

志位:
これはね、野党共闘、この4年間やってきましたでしょ。で、みなさんともずいぶん。今、国民民主党の国会議員さんの名簿を見てみたら、ずいぶん私も応援させていただいた議員さんも結構いるんですよね。それから、玉木さんにも、この前、応援していただいた。ですから、相互に応援する関係になっているわけで、野党のみなさんと、それぞれ野党、別の党なんだから、個性があって当たり前だし、違いがあって当たり前なんだけど、そういう中でも、3つぐらいはね、野党の中でも共有できる理念というかがあると思ってるんですよ。

玉木:
3つ。なんでしょう?

志位:
(文字起こし省略。まとめのみ)

1、憲法に基づき、立憲主義、民主主義、平和主義を回復する。
2、格差をただし、暮らし・家計第一の政治にきりかえる。
3、多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する政治を築く。

▼野党政権で共産党は閣内か閣外か

玉木(32:12~):
さっきの政権なんですけどね、 連合政権でしたっけ、 あの時に、ここも共産党さんの考えがどうなのかってけっこう訊かれるのは、一緒になって戦おうとなった時に政権を共にするのかしないのか、つまり……

志位:
閣内か、閣外か。

玉木:
そうそう、共産党さんっていうのはやっぱり、権力を行使するっていうか、そこには、権力には入らないで、倒すけど少しこう、まあ、閣外ってことなんですかね。 そのどっちか決めたパターンがあるんですか?

志位:
決めてない。

玉木:
決めてないんですか。

志位:
決めてない。だからこれは政権は、私たち連合政権を作ろうと言ってますけども、政権と言ってまして、政府とは言ってないんですよ。政府って言ってないのは、政権って言った場合は閣内協力も閣外協力も両方含みますよね。政府と言った場合は、どっちかと言うと閣内協力になりますよね。ただ、政権の場合は両方あります。

玉木:
あれ、だから、いわゆる連立政権という言葉を使ってないか、連合政府……

志位:
いや、連立政権と言っているんですね。だから、政府と言わないで政権と言っているのは、閣内もあるけど閣外もあると。

玉木:
あ、多様。そこは非常に幅がある。

志位:
私たちとしてはですね、どういうふうな状況になるかにもよるんだけども、共産党は閣外のほうがいいだろうと、皆さんもそういう意見で、我々もそういう判断をした場合は、閣外協力っていうことも私はありだと。それか、閣内に入ったらいいよねと、皆さんそういうふうになり、私たちもうそういう判断をした場合は、閣内もある。どっちでもいい。

玉木:
そこは柔軟なんですね。

志位:
どっちでもいい。どっちでもいいというか、XXXしたらってことですけどね。

玉木:
だから自衛隊の話も、ある種、共産党さんの考えを貫けばですね、閣内、中に入らないほうが主張がしやすいかもしれません。入ったら、入ったら、そこはさすがに、私は自衛隊は認めていただかないと。

志位:
入った場合は、うちから出した閣僚は、内閣の憲法判断に従うわけだから。

玉木:
あー、そうなんですね。

志位:
だから 、党として違憲という立場はあっても、閣僚を出した場合は、その閣僚は、その憲法判断は、政府の憲法判断に従うと。

玉木:
そんなこと、今までおっしゃってました?

志位:
言ってます。

玉木:
あ、そうなんですか。それは知らなかった(笑)。そうですか。

志位:
ですから、例えばうちから誰か……

玉木:
じゃあ、党としては自衛隊は違憲だと言ってても、誰か大臣に出して、政府ができた時は、その内閣の判断に従うと。

志位:
内閣の判断というのは、さっき言ったように、安保法制の前の憲法判断ですよね。

玉木:
だから、自衛隊の存在は基本的に認めるってことですよね。

志位:
そうそう。

玉木:
あ、そうですか。

志位:
そこまで割り切ってるんです。閣内協力でも、これ、障害にならないですよ。

玉木:
それは、でも、共産党のコアな支持者から嫌われません? それ。

志位:
私ちゃんと宣言して、もう実際話していますし。それがないとね、 安倍さんに「いや、志位さん、志位さんがもし政権に入って、自民党が『自衛隊、違憲ですか、合憲ですか』と聞いた時に、違憲って言うんですか、閣僚として」というような質問、彼、言ってきますよ。

玉木:
言うと思います。

志位:
その時に違憲ですと言っちゃったら、もういっぺんに、自衛隊関係の予算を組めなくなってしまう。 ですから、政権に閣僚として参加した場合は、その政権の憲法判断に従うと。

玉木:
(視聴者に対して)はい、みなさん、どうでした? これ、たぶん、若い人も結構見てるんですけど、共産党さんのイメージって、まあ、ある年代の方は正直いろんな思いがあると思うんですけど、今ふつうに聞くと、かなり柔軟な感じに思った方もいるのかなと思いましたけど、私も正直ですね、今日こうしてお話をさせて頂いて、ちょっと自分がまだ認識として持ってなかったこともあったので、コミュニケーションしていくことはやっぱり大事かなと。いや、もちろん合わないところもね、やっぱりこう、どうしても党が違いますしね。

志位:
僕はこの多様性っていう問題はね、政権の方向性っていうことと共にね、野党共闘の在り方も多様性が大事だと思うんですよ。つまり野党はそれぞれみんな個性があっていい、違いがあっていい。違いがあってもそれをお互い認めあってね、リスペクトし合って、一致点でしっかり組む。Unity in Diversityというのが一番いいと、野党共闘は。ですから、玉木さんの党には玉木さんの党の良さがあり、枝野さんの党にも良さもあり、れいわにもね、社民党にも、みんなある。みんな個性があるわけだから、それぞれの個性を大事にして協力したほうがいいんじゃないかと。

玉木:
じゃあ一緒にならないほうがいいと(笑)。

志位:
いやいや、そういう意味じゃない。そうじゃない、そうじゃないですけど、要するに今の話はそういう意味じゃなくて……

玉木:
確かにね、多様性っていうのは違いを認め合いながらやるっていう共存の知恵なので。

志位:
僕ね、ASEANの国、ずっとXXXしたときにね、ASEANの標語がね、Unity in Diversityなんですよ。

玉木:
ああ、標語が、キャッチフレーズが。

志位:
キャッチフレーズが。ASEAN って言ったら、発展段階がずいぶん違うじゃないですか。宗教も違う、体制までも違う。そういう国がみんなまとまってるじゃないですか。

玉木:
Unity in diversity って何かいいですね。

志位:
いいですよ。だから、それでここにUnity in diversity。

玉木:
書こうか。英語書けるかな。Unity in diversity。

志位:
これで野党共闘やろうと。

玉木:
これ、あれですか、ASEAN。

志位:
ASEAN。ASEAN の標語なんだけど、私、ちょっとこれ、いいかなと思って、借用させていただきました。

玉木:
Unity in diversity。なかなか今日はいろんなお話をさせていただきましたけれども、最後きれいにしまったということで、Unity in diversity ってことで、今日は日本共産党の志位委員長にお越しをいただきました。今日は本当にお忙しいところありがとうございました。

志位:
ありがとうございました。

キャプチャ2

(文字起こし&太字:Shino)

#共産党 #志位委員長 #国民民主党 #玉木雄一郎 #たまきチャンネル


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?