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山本太郎が語る入管問題・難民問題(国会編)

【山本太郎事務所編集】2018.3.23 内閣委員会「入管 地獄のお・も・て・な・し」

山本太郎(2:28~):
オリンピック担当大臣、よろしくお願いします。オリンピックホスト国において、日常的に人権が蹂躙されるようなことがあってはならない、そう思われますか。

鈴木国務大臣:
2020年東京大会を一過性のイベントで終わらせのではなくて、社会的な意義を継続してもたらすものであるとの認識で取り組んでおります。オリンピック憲章の理念、こういったものがしっかり根付くことが重要だと考えておりまして、東京大会の開催にあたっては、人権を大切にし合う共生社会の実現を図ることを目指し、東京都組織委員会はじめ関係機関と連携しながら取り組んでいるところであります。

山本太郎(3:15~):
非常にオリンピック担当大臣にふさわしいお言葉といいますか、やっぱり人権を蹂躙されることがあってはいけないと、オリンピック憲章にのっとってしっかりとこの国という、国のやり方というのも考えていくべきだ、そういう姿勢でオリンピックを迎えるべきだというような意気込みみたいなものを感じられました。ありがとうございました。

人権が蹂躙されるようなことが日常的に行われる社会であってはならない。これ、近代国家であるならば当然のお話ですよね。難民として庇護を求める者、在留資格の切れた者、在留資格外活動をしていた者、仮放免だったが再度収容された者、犯罪を行い強制送還される者などなど、様々な理由の方々が収容されるのが入管施設です。その入管施設での人々への取り扱いが驚くほどに非人道的であることが大問題になってます。全国の入管施設で昨年、自傷、自殺未遂の件数はどれくらいでしょうか。数だけ教えてください。

法務大臣・山下政務官:
昨年一年間に入国管理局の収容施設において発生した、被収容者による自傷行為件数は44件でございます。なお、この自傷行為というのは、被収容者が自ら自分の体を傷つける行為を指すということでございます。動機につきましては被収容者の内心に関わるものであるため、そういった件数をお答えすることは困難であるということであります。

山本太郎(4:40~):
ありがとうございます。自殺未遂も含まれますよね。施設に収容する際、出身地、言語、宗教、生活習慣などを考慮に入れて部屋割り、部屋割りをしていますか。

山下政務官:
入国管理局におきましては、入管法違反の外国人を収容する際には、委員ご指摘の国籍、言語、宗教など十分に把握しているところでございます。他方で、同一の国籍、言語、宗教の外国人同士を必ずしも同部屋に収容するということが、必ずしも良いことではない。といいますのは、違反事件の解明のために同時に摘発した者、これはやはり別部屋とする必要がございますし、また同一の国籍の外国人が集中し、規律違反を図るなどの保安上の支障が生じた事例などがあったりします。そういった様々な事情を総合的に判断し、居室を指定することとしております。

山本太郎(5:35~):
基本的に何か犯罪者扱いみたいなことなんですよね。これといった考慮もせずに部屋割りをした場合、いろんなトラブルが起こると。例えば、ある宗教の方が日の出前に室内の水道で水を出して体を清める、お祈りをする。お祈りの際、立ったり伏したりするので、音がうるさいとトラブルになったり、他に衛生観念の違いでも、例えば食事中に室内、他の収容者が食事をしている6畳ほどの部屋でトイレを使う。洗濯を定期的に行わないなどなど、すべての問題、これ元々に通じるのが、言葉が違う、コミュニケーションが取れずにトラブルになる。空港から直接長期収容施設に連れてこられた方などは、ほとんど日本の習慣も知らない上に日本語も全くできないので、コミュニケーションが困難。他にも出身国同士の関係が良好でない人たちなどを同室に入れるためトラブルになる。そりゃそうですよね。部屋の中で代理戦争みたいな話になるんですか。酷いことですよね、これって。

命からがら脱出、他国の庇護と援助を求めやってきたのに、鉄格子や施錠した室内に、出身地、言語、宗教、生活習慣を無視した状況で、5名一組ほどでごちゃまぜに強制的に収容。24時間監視体制のもと罪人のような取扱い。頼れる人はどこにもいない。なぜ長期間収容されるのか、なぜ仮放免申請を出しても出しても却下されるのか、いつまで収容されたままなのか、いつになったら出られるのか、何もわからぬまま、強制退去させられるかもしれないと怯えたまま、中には3年を超えて収容されている人もいたり、普通の精神状態を保つのが難しい状況といえます。

どのような理由、事情を持って収容されていようが、全ての収容されている人々の人権、人としての尊厳は守られるべきです。日本の入管施設では、どうやらそれが程遠い環境になっているようです。政務官にお伺いします。入国管理局では収容者の人権を無視するような行為が日常的に行われているという話は聞いたことがありますか、ありませんか?

山下政務官:
先ほどの問いと重なるんですけれども、入国管理局におきましては、入管法違反の外国人を収容する際には、委員ご指摘の国籍、言語、宗教など十分に把握した上で、ただ、その施設の物的な条件、部屋数であるとか、あるいは様々な事情によって、同室にするということが適当でない場合もある。そういったことから居室を指定することとしております。また他方で、先ほどご指摘のありました、収容が長期化しているという部分でございますけども、様々な事情がございます。例えば、訴訟の提起、あるいは難民認定申請、あるいは病気の治療を理由に身体の拘束を解く必要が生じたときにおいては、仮放免を請求する被収容者の情状や容疑事実、その他諸般の事情を総合的に考慮しつつ、人道上の観点から、これまでも弾力的な運用を測っているということでございます。従いまして、その日常的に人権侵害がなされているというふうなご指摘は当たらないかというふうに考えております。

山本太郎(8:47~):
弾力的な運用がなされている、そのような人権侵害が日常的に行われているような指摘は当たらないってことなんですけれども、じゃあ、どうして日本の入管収容については、これまでも、2007年、2013年に国連の拷問禁止委員会、2011年、移住者の人権に関する特別報告者の報告、2014年、人種差別撤廃条約委員会の総括所見でも、2014年、国連人権理事会などから再三懸念を示されるんですか?

(山下政務官に対し)いや、呼んでませんよ。頼んでません。あるいは改善に向けた勧告を受けてきたけれども、過酷な入管収容の現状に大きな変化は認められないっていうのが今までなんですよ。これもう実際に支援されてる方々に直接聞き取りをしています。国連の指摘を受けて、法務省入管が処遇を是正するっていうコメントとか文章、出したことないでしょう? 事実上、無視なんです。スルーを決め込んでるんです。

入管収容施設に入っている被収容者たち自ら、長期収容や再収容、職員による威嚇行為、まともな医療を受けられないなど、処遇の改善などを求めて、収容所内でハンガーストライキも行われている。2013年は大阪、名古屋で、2014年は名古屋と牛久で、2015年、16年は東京入管横浜支局で、2016年の2月と6月は大阪入管で、2017年5月には東京入管、名古屋入管で、毎年どっかの収容所で、劣悪な処遇を何とかしてくれという人たちからハンガーストライキが中で起こってんですよね。

彼らの訴えは何なのか。医師に会いたい、そう求めても何週間も待たされて、一向に改善の気配すら見せずに容態を悪化させていく被収容者が少なくない。何も教えられず、家族と引き離され、拘禁され続けている。電話もインターネットもできず、自分が難民認定にふさわしい人間であるという証拠すら集める機会を与えられないなどなどなど。資料の3。一国会議員の私のところにも同様の改善要望が届くぐらいなんですよ。

特に、医療につながりにくい、つなげてもらえない。これ、深刻な人権侵害ですよ。全国の収容所は17あるそうですが、そのうち24時間医師が常駐している施設は何か所ありますかってことをお聞きしたいんですけれども、先ほどみたいにその前のその前の問いに対する言い訳をされるたびに時間が削られるので、私がお答えします。ありません。17ある施設のうち24時間医師が居続ける施設はひとつもない。だいたい平日の9時から17時。資料の4。500人以上収容されている東京入管ですら週3日、午後だけ。

突然ですけれども、皆さんはくも膜下出血、ご存知ですよね。国立循環器病研究センターの説明によると、激しい頭痛はくも膜下出血の疑い。症状が百人百様と言っても、判断の鍵となる症状はわかっています。突然バットで殴られたような激しい頭痛が生じた場合は、くも膜下出血が疑われます、とあるんですね。東海大学医学部脳神経外科サイトでは、くも膜下出血に関して「突然強い頭痛を訴えたあと倒れた人を目の前にしたら、くも膜下出血を考えで救急車を呼ぶべきである」と説明しています。

資料の5。2017年3月、収容されていたベトナム人が、くも膜下出血で死亡した事案。資料の5ですね。収容者のサポートをされている駒井知会弁護士、移住者と連帯する全国ネットワークが発行する『Mネット』に寄稿されたもの。時間の都合上、エッセンス部分のみ紹介します。ベトナム人 N 氏は東京入管から東日本入国管理センターに移収。当初から頭痛などを訴えていた。収容から2日後、口から血を吐き、泡を吹き、失禁。ちょうど三連休の初日でした。センターでは当時、平日午後の13時から17時しか医師が診療しておらず、医師がいる時間帯は全体の12%にしか満たなかった。それまで収容されていたブロックからセンター内の別室で休養後、病院ではなく個室のある別ブロックに移動。連休後半も頭痛、頚部痛などを訴えていたが、外部の病院に運ばれることもなく、3月21日、施設の医師の診療によって、痛み止め、湿布などを渡されたあとも、激しい痛みを訴え続け、亡くなる日まで同じブロックに収容されていた。他の被収容者によると、痛い痛いと叫ぶ N氏に、見回りの職員はその度に「静かにしろ」と言うだけ。被収容者の方々は眠れなくなるほどずっとN氏の叫び声を聞いていたそうです。センターの担当職員は N氏による激痛の訴えを、うそ病気、すなわち詐病だと被収容者等に説明をしていた。N氏は3月25日未明、搬送先の病院で死亡が確認されていましたが、24日の段階で死亡していた可能性もあると言います。N氏と同じブロックに収容されていた被収容者も「24日午後10時頃に職員がN子に声かけをしても反応がない様子であった」と述べている。

ほかにも2014年11月22日、東京入管に収容されていたスリランカ人男性が死亡。男性は亡くなった日の朝8時前から激しい胸の痛みを職員に訴えていた。「私はクリスチャンだから嘘はつかない。病院に連れて行ってくれないと死んでしまう」と聖書を手に英語で叫んでいたとのこと。職員が彼を別室に連れて行く際、彼はようやく病院で治療が受けられると思って安心した表情を浮かべていたという。ところが彼が移されたのは病院ではなく収容所内の隔離室。そして13時過ぎ、別の収容者が動かなくなった彼の異常を認め。13時20分頃に救急車が呼ばれ、病院に運ばれたもののまもなく死亡が確認された。

2013年10月14日に亡くなったロヒンギャ難民の男性に東京に東京入管はどのような扱いをしたか。男性が体を痙攣させ口から泡を吹いて倒れたにもかかわわらず、医者も呼ばず40分間放置。救急車に出動要請をしたのは1時間後だったとのこと。病院搬送後、くも膜下出血による昏睡状態が続き、5日後、この被収容者は入院先の病院で亡くなった。職員たちは一向に医者を呼ぼうとせず、体温や血圧を測ったりするばかりで、同室の被収容者たちは早く医者を呼ぶよう再三にわたり職員に要求。ところが職員は「てんかんの発作だろう」「大丈夫」「医者は食事中」などと言って、医者を呼ばなかった。

資料の6。2013年10月、カメルーン人男性が成田空港に到着後すぐ入管施設に収容。同じ年の11月、東日本入国管理センターに移されたあと、施設内の診療を受けて、糖尿病など病気を患っていることを確認されていた。事態が急変したのは2014年2月下旬から。男性は繰り返し体の痛みを訴え始め、3月27日に血液検査。29日は胸の痛みと不眠を訴え、午後7時からは苦しみもがき始める。アイム・ダイイング、アイム・ダイイングと叫びながら、ベッドからもがき苦しみ一度落ちた。入管職員がやってきてもう一度ベッドに戻すが、苦しくもだえているのでまたベットから落ちる。で、また戻す。次に落ちた時、入管の人たちは面倒くさくなって、シーツを床にひいて彼を寝かせた。ところが彼はそこでももがき苦しみ、独居房をのた打ち回った。これを何時間も続けて最終的に動かなくなった。少なくとも夜7時頃から苦しみもがき始めて、夜中3時に職員が気付くまでそういった状況だったそうです。

こんな悲惨な死に方されてるんですよ。打ち合わせしてる場合じゃないんですね。弾力的に運用されてるって話じゃないんですよ。こういう悲痛な話が、その支援者だったり、当事者の方々から寄せられ続けてるんです。収容者支援をしてる方々によると、基本、医者に見せてくださいと言ってから2週間から1か月待ちということが本当に珍しくない状況だそうです。同じようなケースで次の死者が明日出てもおかしくない。

「基本、詐病、仮病と考えろ」といった職員への教育、行われてるんですか、これ? 行われてるとしか思えませんよね。極力病院には……(山下政務官に対し)ちょっと待ってくださいね。さっきの悪い記憶があるんですよ。遡っていろんなことを言い訳されて、しゃべる時間削られたら困るんですね。……としか思えないんですね、さっき、話戻りますけど。

基本的に苦しんでる様子があったとしても、それ、嘘かもしれんってことを前提にしてなかったら、こんなに連続でこんな悲惨なこと起こってないんですよ。何度も手遅れになっていながら、収容者を殺していながら、やり方変えないって、これもう人間じゃなくて鬼ですよ、はっきり言って。

こういった事故が起こる背景には、入国管理局には潜在的に、難民申請者や非正規滞在者などの収容された人々に対して、間違った差別意識を持っているということが根本的な原因ではないかと思います。難民を受け入れる意思もほぼない。外国の労働者は都合よく使い捨て。残念ながらこれが美しい国の実態なんですって。クールジャパンどころか、これ、コールドジャパンって呼ぶんですよ。

外国人実習生の奴隷労働や入管施設での虐待、拷問について、これ、世界中が冷ややかに見てますよ。人間をどういう扱いにしてんのか。こんな日本に触れた外国の方々、日本のこと大嫌いになりますよ。一生恨みますよ。反日勢力みたいな言葉がありますけど、その勢力になり得るような人たちを作り出してるのは誰ですかって。国じゃないか、政治じゃないかって話なんですよ。

これ、何とかしてくださいよ。この入管の中に閉じ込められてて、この先全くどうなるかもわからないような状態で、3年間も暮らし続けてる人もいる。いつまでいるのかも分からない状況の中で医療にも繋がれないってことが実際にあって、国連からもずっと言われてるじゃないかっていう話なんですね。こんな対応しかできないなら、日本は一切、移民難民を受け入れない、間違ってもそんな目的で来ないでくれよって、これ、世界に向けて発信したほうがいいんじゃないですか。そっちのほうが私は誠実があると思います。

法務省にね、聞きたかったんです、本当は。すぐに医者にみせる、病院に連れて行くってことに、なんでそんなに嫌がるんですかってこと本当は聞きたかったんですよ。これ、改善……(山下政務官に対し)いやいや、答えてもらわなくていいです。長くなるの分かってるから。しょうがないじゃないですか、だって。収容者の人権保護、待遇の改善ができていないっていう認識、おそらく法務省は全くお持ちじゃないんですよ。

で、これは、これからオリンピックを迎える日本としては、このような状況が世界中に知られる、全くその改善もしていないっていうことになると、本当に恥ずかしい、あまりにも。胸を張って「日本人です」って言えないですよ。オリンピック担当大臣、この日本の恥ずべき部分、なんとか是正できるように、入管施設の収容者に対する処遇の改善、ホスト国として前進していけるように、法務大臣とも是非お話をしていただきたいんです。これ、オリンピック担当大臣ですけれども、これはオリンピックを迎えるホスト国として、そしてその担当大臣として、日本の中で非人道的な行いが日常的に行われているっていうことに関して、改善をしていく。「良かった、オリンピックが来るためにいろんなことが改善できたね」ってことにつなげて頂きたいんです。ぜひ法務大臣とこのことについて話し合って、処遇の改善に一歩前に進めるような話し合いしていただけませんか。いかがでしょうか。

鈴木国務大臣:
入国管理の政策については法務省が所管をしているということで、今、政務官からいろいろお話があったと思っております。私といたしましては、冒頭述べました通り、オリンピック東京大会、オリンピック憲章に沿ったものにしなければいけないと強く思っております。オリンピック憲章の中で人権にかかわる部分がございます。そこを読ませて頂きますと、「このオリンピック憲章に定める権利及び事由は、人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会のルーツ、財産、出自、その他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない」。これがオリンピック憲章の人権に関する部分でございますので、こうしたことが、こうした理念が具現化されるように、法務大臣も含め、関係大臣と連携をして参りたいと思います。

山本太郎(21:18~):
ありがとうございます、本当に。内閣法の一条を体現していただける。みんなが責任を持ってやっていくんだということを、鈴木大臣がですね、お言葉で示していただいたと思います。是非お願いします。ありがとうございました。

(文字起こし&太字:Shino)

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