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山本太郎の『僕にもできた!国会議員』を読んで

山本太郎さんの『僕にもできた!国会議員』(取材・構成 雨宮処凛 2019年4月10日発行 筑摩書房)を読みました。とても興味深かったです。

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第1章では、具体的にどんな成果があったかが紹介されています。西本豪雨の際に「カジノよりも災害対応を!」と国会で訴えた結果、被災地に小型重機100台が入ったとか、女性活躍推進法の「附帯決議」にDV・ストーカー問題を盛り込むことができたとか。この附帯決議があるだけで現場の役所の対応が違ってくるという、支援団体の方の話も載っていました。

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第2章は「なぜ、小沢一郎と合流したのか? そしてなぜ、牛歩をしたのか?」、第3章は「山本太郎、今、改めて原発・被爆問題を語る」、第4章は「山本太郎、経済政策を語る」、第5章は「山本太郎が皆さんからの質問に答えます」、第6章は「木村草太氏と憲法を語る」です。

ここを読むと、山本太郎さんが過去に物議を醸した行動の理由、また、これからどんな政策を実現していきたいか、経済、エネルギー、財源、憲法などについてどう考えているかがわかります。とくに憲法については、木村草太さんとの対談で詳しく触れられていました。

草太 (略)自民党改憲草案に関しては、はっきり言って、条文のどぎつさに対して背景にある思想が薄っぺらすぎるので、議論しても生産的なものにならない。
太郎 コメントのパンチが効きすぎててこっちが怖いです(笑)。
(p.165)

こんな感じでユーモアをまじえながら、安保法制の違憲性や、お互いの好きな条文(木村さんは「学問の自由」、山本さんは「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」)、共謀罪や秘密保護法について語られています。

この対談でなるほどと思ったのは、経済の縮小によって日本人の自尊心も縮小しているという木村さんの話。自尊心が縮小しているからこそ、アベノミクスで株価を上げたり武器を買ったりすることが人々の自尊心をくすぐり、高め、満足させている側面があると語られていました。

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最後の第7章は「山本太郎と愉快な仲間たち」ということで、山本さんの6人の秘書の方々が紹介されています。中でも印象に残ったのが、私設秘書の岡田歩さんのこの言葉です(「議員」というのは山本さんを指しています)。

 議員については、本当に繊細な方だと思います。
 質問作りの時とか、真剣に取り組んでいる姿を見て、こんな国会議員は他にいるだろうかと思いました。
 議員は当選した時も無所属で一人でしたが、今も一人だな、と感じることはあります。見ていてちょっと寂しくなることもあります。
 結局、本当に命懸けで政治家やってるのは、山本太郎しかいないんじゃないかっていうのはすごく思いますね。
 議員に期待することは、もうこれ以上は期待できない。なので、周りが成長していかなければならないと強く思います。頼ってばかりじゃダメなので、自分たちも同じ土俵に上がれるくらいになるまでモチベーションを上げていかなくちゃいけないですね。
(p.180)

十分がんばっている山本さんにこれ以上は期待しない、というのは、山本さんの知人である災害支援団体の方も言っています。

 太郎に期待すること? あまりないかな。健康で、太郎が思ったことをやってくれれば。太郎に期待する人っていっぱいいるんだけど、それぞれがやることをやっていかないと。太郎にお願いだけじゃダメじゃない。そうじゃなくて、太郎、一緒にやっていこうぜって人をどう増やしていくか。太郎一人がカリスマになるんじゃ変わらないもん。太郎もそれを望んでないと思うし。今、十分やってるしさ。
(p.28)

2019-12-18の新宿の街宣で山本さんは、入管施設の外国人に対する非人道的な扱いについて「なんとかしてくれ」と全国から手紙が来る、と述べています(文字起こし参照)。おそらくこの問題だけでなく、別のさまざまな問題に関しても、彼のもとには助けるを求める手紙やメールが山ほど届いているでしょう。

でも、当然ながら、それだけ多くの問題を山本太郎という人間ひとりで解決するのは無理な話です。本のあとがきは、いつものこの言葉でしめくくられていました。

 あなたがいなきゃ始まらない。
 国を変える力を結集するには、あなたがいなきゃ始まらない。
 あなたの力を貸してくれませんか?
(p.189)

(レビュー:Shino)

▼追記

そういえば、参議院議員時代、与党議員がこっそりアドバイスしてくれることがあった、という話も載っていました。もっとこうふうに言ったほうがいいとか、三役を呼ばなきゃだめだとか、別の部署だったら答えが変わるかもしれないとか。ここを読んだとき、与党議員にも多少の良心は残っているんだなとうれしかったです。

「なんでお前もっとこう言わないんだ?」ってアドバイスしだすんですよ、与党側の人が(笑)。
(略)
ひどい政権だしひどい政治が行われているけれども、みんなそれじゃまずいよなってことは、表立っては言わないけど、突っ込んでいるやつに対してアドバイスしたりはしてくれる。
(p.47)

#山本太郎 #れいわ新選組 #僕にもできた国会議員



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