なんらかの飛翔体 ver.1.08

このnoteを見ている皆さんはご存じないかもしれませんが、基本的に私の本業はアプリを開発することです。しょうもないアプリばかり作っています。ちょっと前に私の最新作である「なんらかの飛翔体」をバージョンアップしました。

https://play.google.com/store/apps/details?id=net.verylongunagi.missile2020

今回のバージョンアップの内容は、①一部ゲームモードの難易度を調整、②オプションに画質設定の追加、③BGMの2曲追加。という内容になっています。①は割とどうでもいいんですが、重要なのは②と③です。


このゲームでは画面の表示は全部ドット絵なんですが、ブラウン管でドット絵を見た時の見え方を再現するフィルターを作って、液晶画面でみてもブラウン管っぽく見えるようにしています。今回のアップデートではブラウン管風フィルターの画質を選択できるようにしました。あとついでに、よく見ないと見分けられないレベルの改善も入れました。
以前の記事でも書きましたが、ドット絵のゲームではブラウン管風のフィルターがあるのとないのとでは全然違います。例えば絵画や彫刻等では、図鑑で見るのと実際に美術館に行って見るのとでは全然違う、と言いますが、多分そんな感じだと思います。私は美術館とか行かないので知らんけど。まあしかし、ただギザギザなだけのドット絵も、ブラウン管風のフィルターをかけるとなんか奥行きとか質感が出てくるし、マウスで適当にポチポチ書いただけのドット絵でもなんか生き生きとしてしまうので、インディーゲームでドット絵のゲームを作るなら実装しといた方が良い機能だと思います。

次にBGM。2曲増えました。正直アプリ本体を作っている時間よりBGMを作る方が時間がかかっているので、もはやゲームのためにBGMがあるのかBGMのためにゲームがあるのか全く分かりません。
一応SoundCloudで聴けます。当記事の残りの文章はどうでも良い割に長文なので、これを聴き流しながら読んでください。

追加した2曲のタイトルは、「巡回セールスマン」と「宇宙平面説」。もちろん何の意味もありません。
というか曲を作るにあたって、何かテーマがあるわけでもなく、歌詞もないインストなので正直タイトルを考えるのは苦労します。なので私はタイトルに困った時用に使える適当な言葉のリストをネタ帳的な物に書き留めてストックしています。「巡回セールスマン」についてはそのストックから出してきたタイトル。この曲は「何となくスーパーマーケットとかホームセンターの店内BGMっぽいのが出来た」というところから出発して作った曲で、80年代終盤から90年代初頭の雰囲気が上手く出せたと自分では思ってます。
「宇宙平面説」の方は、何となく始まりと終わりの部分が宇宙っぽい感じになったと思ったので宇宙っぽいタイトルを考えた末に出てきた言葉がこれです。以前にこのnoteで作りかけのデモ曲として上げた曲の完成版です。これも最初のアイデアとしてはスーパーマーケットBGM的なショッピング気分のメロディが出来たというところから出発してますが、出来上がってみると案外スペーシーなChillsynthになってしまいました。

「宇宙平面説」という言葉は、Googleで検索してもちゃんとひっかからなかったので、多分まだ私しか使っていない造語だと思います。一応念のためChatGPTにも聞いてみました。

ChatGPTにこのように言われてしまうと、「マジでそんな説があるの?」って思ってしまいそうになりますが、相手はChatGPTなので8割方ウソだと疑ってかからねばなりません。
最新の宇宙論によると、宇宙は3次元や4次元どころの次元ではなく、もっと多くの次元から成り立っているともいわれているようですが、我々にはそのような高次元の世界を想像することは難しいです。しかし逆に宇宙が平面になっていて2次元しかないと言われても、それはそれで想像するのが難しいです。やっぱり3次元くらいがちょうどいいですね。
しかしこのChatGPTの回答はすごいですね。一流の詐欺師は、1から10まで全部嘘をつくのではなく、1から9くらいまでは真実を普通に言って、最後にここぞと言うところだけ嘘を混ぜると聞いたことがありますが、このChatGPTの回答はその方法論を見事にやってのけています。別にChatGPTは詐欺師の手法を再現する技術ではないとは思いますが。
ついでにもう一つ詐欺師に必要なテクニックとしては、「断言すること」があります。これもChatGPTは得意ですね。
考えてみれば、携帯電話やインターネットの登場は、詐欺師のビジネスを大きく成長させたわけですが、さらに暗号通貨やNFTの登場も詐欺師の皆さんには追い風となった出来事であり、世の中を変えるようなすごいイノベーションには詐欺師のビジネスを発展させる側面が付き物なのかもしれません。

暗号通貨とNFTの登場によって、一部の人々はそもそもの疑問を持ちました。「なぜこのようなデジタルなデータに価値が付くのか?」と。結局のところそれはただの共同幻想ではないのか?しかしその疑問は裏を返せば我々が普段使っている法定通貨にも言えるのではないか?ということになってきます。なぜこのような紙切れに日本銀行券とか福沢諭吉の顔が書いてあるだけで人々はそれをありがたがるのか?ちょうどサピエンス全史が出たころだったので、物分かりの良い人々は、「これは共同幻想やな」と納得しつつ、結局はビットコインより法定通貨の方が今のところよっぽど利便性が高いので割り切って納得しているんでしょう。ChatGPTについても同じような疑問をあぶり出すことになるかもしれません。我々が「知能」とか「会話」とか「コミュニケーション」と思っていたものは、実はそんな大層な物ではないのかもしれない。一生懸命考えて紡ぎだした言葉も、実際には確率に従って上手いこと並べられた単語の羅列と大して変わらないのかもしれないと。あなたが今読んでいるこの文章も多分そうです。人間が考えたかAIが考えたかによらず、適当にそれっぽい言葉を並べているだけなんです。特に関西人はこのことについて以前から自覚的なので、語尾に「知らんけど」をよく使うのです。知らんけど。

まあこんな感じで私は、ChatGPTについては変な回答させる遊びしかしていないんですが、しかしChatGPTに変なことを言わせるのはそれなりに面白いです。これは何か既視感があります。そう、初期のVaporwaveにあった変な日本語のタイトルです。あの当時のあんまり精度の良くなかったGoogle翻訳で出力された変な日本語の数々。いまはもうGoogle翻訳もだいぶ改善されて、そこまで変な日本語は出さなくなりましたが、それでもBarber beatsの諸作品では壊れてはないけども変な印象の日本語タイトルが見られます。

だいぶ話が脱線してきたんで戻しましょう。宇宙平面説ですね。このタイトルは、全然タイトルが思い浮かばずに困ってたところで、何日か考えたり考えなかったりしていた時にふと出てきたんです。マジでなんでもない瞬間にぱっと出てきたので、もちろん意味は無く、地球平面説の地球を宇宙に置き換えただけですが、自分でも地球の対義語が宇宙であるという認識もなく、なぜそこに宇宙を当てはめようと思ったのか説明できません。このタイトルが出てくるまでの思考過程はこんな感じなんですが、AIに考えさせたら何日もかからず一瞬で出てきたかもしれません。もうやっぱり初期のVaporwaveみたいにGoogle翻訳の変な日本語みたいなそういうやり方を最初からしておけばよかったんかもしれません。AIの使い方というのは結局そういうところに落ち着くんじゃなかろうかとも思っています。昔のミュージシャンが、アイディアが枯渇したときに薬物の力に頼るのと似たようなアレで。サンプラーという楽器が登場したとき、それは既存の楽器の音をデジタルデータとして再現して置き換えることを目的としていたと思われるんですが、そこから3~40年ほどたって、Vaporwaveの人々は昔の音楽を切り取ってピッチを落として繰り替えすという使い方に至っているわけです。正しい使い方ってなんでしょうか。実際のところはそれ以上に本来の使い方もされていると思いますが。まあサンプラーやメロトロンという楽器が登場した当時には、楽器奏者の仕事が奪われるという懸念があったという話もあります。あんまりAIに仕事が奪われるというような懸念は必要ないかと思っています。なぜならChatGPTが登場する前から別に我々の生活は楽でもなく、ブラック企業はブラック企業であったからです。

非常に脱線した記事になりました。この記事は1か月ほど前に書きかけていてほったらかしにしていたのを今頃思い出して加筆してたらとりとめもなく長くなってしまいました。いらない文章は削ろうかと思いましたが、削るのもめんどくさいのでこのままです。