「やる気を生む、魔法みたいな夢」を待ってちゃダメだと思う
担当:谷弘
現在、very50ではカンボジアにて高校生を対象にMoG(very50が提供するプログラム)を実施しています。このnoteは、谷弘がその参加者に送ったメッセージです。
1.何になりたいか?ではなく、何をしたいか?で考えよう
僕の友達で、今起業している人が以前MoG参加者向けに講演をしてくれた時に伝えてくれた言葉。
「夢は、何になりたいか?ではなく何をしたいか?で考えよう」
というのがあります。
これ、本当に重要なことだと思います。高校生というのは、「◯◯大学を目指せ」というように伝えられがちです。そして、もっとタチが悪いのが大学生になってから。
「◯◯株式会社に行きたい」という思考停止を促す言葉で、「◯◯になりたい」という言葉に従って、十分に考えずにキャリアを描き、やりがいを感じない人生を送っている人は多いと思います。
日本の大企業に務めること=幸せに過ごせる、という方程式が成立していたのは、1970年〜1990年ぐらいまで。今は、必ずしもそうとは言い切れない(もちろん、大企業に勤めたほうが幸せという人生が少なからずあるのも事実です)。
そんな中において、より正しい考え方は、「何になりたいか?」ではなく、「何をしたいか?」で考えることです。「◯◯になる」というのは常に「◯◯をしたい」というのが定まってからの手段です。
大学受験を考える時も「◯◯になりたい」ではなくて、「◯◯をしたい」で考えましょう。このクセをつけることが、意外と人生を活き活き過ごすコツだったりすると思います。
2.文系の学部だったら、どの学部に言ってもほとんどのことはできちゃう
だとすると、受験で考えるべきは、
①◯◯をしたいから学部を選ぶ
②難しい大学に行くべき?
という2つだと思います。
①について、これ、ぶっちゃけ文系だったら、「◯◯学部に行ったからできなくなること」というのがかなり少ないと思います。例えば、法律の勉強ですら経済学部言ってから法科大学院に行くとかも可能なわけで…「◯◯をしたい」という思いから学部を絞るというのはあまりベストな選択ではないと思います。
日本の大学生って割と自由な時間が多いし、その自由な時間を何に使うかが問われているところはあるので一層。
ちなみに、例えば「原子力の開発がしたい」とかであれば理学部物理学科にいかなければできない場合など、理系は、結構学部選択の際の縛りが強かったりします。
ただ、文系はそんな事無いことがほとんど。重ねてになりますが、どの学部に言ってもほとんど同じだと思います。
「哲学をディスカッション」はどの大学でもできると思う。というか、そういう場を求めているにも関わらず、「学校」に頼らないと「哲学のレベル高いディスカッション」ができないとしたら、むしろその力不足が心配。
どうやって、自分自身の力で「哲学のディスカッションをする場を獲得するか?」の力を鍛えるチャレンジに挑んだほうが、よほど将来のためになる気がします。
3.プロ意識と受験勉強
じゃあ、受験勉強する意味ないんですか?という話では一切ありません。
これが、②難しい大学に行くべき?というところです。
MoGなどのプロジェクトをやっていても部活をやっていても、何においても「自分が関わったからには全力を出す」という姿勢が本当に重要だともいます。
これは色んな所で色んな言葉で表現をされているけど、「プロ意識」とか「当事者意識」とか言われるやつです。
この「プロ意識」が高い人は、超弱小のサッカーチームに入っても、そのサッカーチームを優勝させようと一生懸命になるし、様々な理不尽なことがあったとしても、他人のせいにせず自分ごととしてがんばります。
1つのことを極めた人が割と他の事もがんばれるのは実は、それぞれの競技に対する才能と同じぐらいに、この「プロ意識」というのが重要だからだと思っています。
受験勉強というのは結構この「プロ意識」を鍛えるにはいい機会です。すごく理不尽だらけで、国から強制された科目をやって、大学に用意された方式で受験して、自分のことを点数を取っても数十分の面接だけで優劣をつけられる。
でも、この受験勉強というものに対してどういう姿勢で取り組むか?というのが結構その人の「プロ意識」の象徴だったりします。
先日、「very50の人って結局みんなちゃんと受験勉強してますよね?」という話をしていましたが、まさにここがポイントです。
合格不合格の時に学歴は一切意識をしていません。でも、「当事者意識」が高くて「理不尽も学びにかえ」「何か起きても一生懸命仕事をやり遂げる」性質を持っている人を選んでいくと、そういう人たちは多くの場合、受験勉強というやたら理不尽なものに対しても一生懸命向き合った人である可能性が高いということなんだと思います。単純に確率の問題です。
つまり、「今の時代に日本で生まれちゃった。受験勉強しなきゃいけないのか~。でも、やるからには俺はプロ意識もっているから、最高の成果を目指すぞ..!」というマインドセットが重要ということです。
これが、本当に本当に本当に本当に重要です。なので受験でちょっとでも上の大学を目指すことは意味があることだと思う。
※たとえ落ちてしまったとしてもせっかくのこの機会を「プロ意識」を持って本気で頑張ることが重要。
なので、受験から逃げられないとなっている段階で、少しでも偏差値の高い大学を目指すことは自分を鍛える良いチャンス。
※ちなみに、副作用として、受験マシーンになってしまい「なにがしたいか?」を考えない人材を作ってしまうことがあるのでここには気をつけて。
4.「自分で決める人間」か、「人に決めてもらう人間」か
その上で、最後は自分で決めることが大切です。
以前かなり活躍されているというあるビジネスマンの方とお話したときに印象に残った言葉に、
「人間には2種類いる、自分で決める人間と、他人に決めてもらう人間。自分で決める人間は人口の5%もいない」
というものがありました。
ついつい悩んでしまう、難しい決断、自分との対話というのは、「自分の人生を自分で選択する」ことのとてもいいトレーニングになります。せっかくの機会を、人にアドバイスを求めて人の言葉で決めるというのはもったいない。
人生というのは、たかだか高校生ではまだまだ出会ったこともないような困難な選択をしなければいけないことが多いです。
むしろ、間違えてはいけない重要な選択というのは、大学受験のあとにこそ沢山訪れるでしょう。
そんなときに、大学受験の選択に「孤独な中苦しくても自分自身と向き合う」というトレーニングをしないで成長をしてしまっていたら、肝心な時に間違える。もっと悪いのは、肝心な選択から「逃げる」ということをしてしまうと思います。
苦しいと思うけど、ギリギリまで自分自身で悩みまくること、すごく大切で尊い時間だと思います。
人に意見を聞くもの良いけど、最後の最後は、「俺の選択です。もし間違っても俺が責任取るんで。」といえるところまで持っていかなければいけないことを忘れずに!
5.受験勉強のやる気が出ないのは、「自分のやりたいことが定まっていないから」ではない
MoGで個人的に話をした多くのメンバーが「勉強のやる気がでない、将来のやりたいことが決まっていないから」という話をしていたけど、これほんとうにそうでしょうか。
やる気が出ていない人にとっての「受験勉強」というのはどちらかというと、「◯◯がやりたいから勉強をしなければ行けない」というよりは、「◯◯大学に入らないと行けないから受験勉強をする」というものになっていると思います。
つまり、今勉強していることが直接将来の「◯◯する」につながっていないケースが多いということです。皆が受験勉強をするのは、「受験勉強というある種のスポーツに巻き込まれているから」という感じが強いと思います。
ここは切り分けて、いつかやってくる、「やる気を生んでくれる、魔法の将来の夢」を待たずに、受験勉強と向き合ったほうが将来に役立つものになるかなって思います。
6.結論
どうしても◯◯大学に行ったら実現できなくなってしまう夢(◯◯したい)がある場合は、慎重に考えよう。そうじゃなくて、受験勉強をすると決めたなら、やるからには高いスコアを出すために全力を尽くそう。それで失敗しても得るものは多いはず。
今回このメッセージを伝えた2019年冬MoGの参加者たちと。
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