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【スタッフの頭の中】社会に縛られたツマラナイ自分に向けて

スタッフの頭の中
very50のスタッフは様々なバックグラウンドをもっています。そんな多種多様なスタッフの頭の中をちょこっと覗いてみるためのコラムが「スタッフの頭の中」です。4月のテーマは「新しい季節を迎えて」

4月に入り2週間が経ちましたが、新生活には慣れましたでしょうか?4月もnote更新を続けていきますので、ぜひご覧ください。
4月のテーマは「新しい季節を迎えて」ということで、新しい挑戦を応援するような内容を書けたらと思います。

4月のトップバッターは最近登場回数が多いのですが笑、副代表の望さんです!

目次
■元気のなかった元インターン
■感受性が壊されているかもしれない
■自分の感受性くらい、自分で守れ、新入社員よ
■自分の感受性は守れているか
自分の感受性くらい

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

茨木のり子詩集「自分の感受性ぐらい」(1977刊)所収

■元気のなかった元インターン
 先日、この春から就職をした元インターン生とオンラインで話す機会があり、新卒入社1週間の様子を聞きました。
インターンをしている時は元気で明るい印象でしたが、この日はなんだか元気がない様子で、日本のビジネスルールや慣習に嵌め込まれる堅苦しさを話してくれました。

 彼女の浮かない表情をみながら、自分の新卒時代のことが鮮明に思い出されました。


 念願の会社に就職した私は、1日フライングで始まった3月31日の入社式をうけて、飛行機で一度も行ったことがない四国の研修施設で、数ヶ月にわたる新入社員合宿というものを受け始めました。
・髪は短髪、色は黒
・上司は、えらい
・社長は、もっとえらい
・お客さんは、もっともっとえらい
・業務中のイヤホンは論外
・納期は絶対
・ちゃぶ台返しはある程度堪える
などなど

 いま振り返ると、社会で仕事をしていく上でとても重要なことばかりで、いろんなことを吸収できた時間だったなと思います。
 一方で、翼をもがれるような激しいストレスも感じていました。これまで自分の中で大切だと思っていた個性のような凸凹を、無理やり削り取られることが本当に苦しかったのを覚えています。
有無を言わさない様子を、「同化政策のようだ」とよく愚痴っていました。

 その日は、そんな自分の昔話をしながら元インターン生を慰めてZOOMは終わりましたが、つい最近Twitterで冒頭の詩に出会い、本当はこちらを伝えたかったなと思い、今回の頭の中で紹介することにしました。正直、この素晴らしい詩が全てを伝えてくれていると思うので、おまけのように私が思うことを付け加えさせていただきます。


■感受性が壊されているかもしれない
 新卒で入社するということはすなわち日本のビジネス社会の中に飛び込んでいくことです。つい数日前まで自由に大学生活を送り、青臭く正義を語っていたりしていた大学生からすると驚くような堅苦しいルールや制限ばかりで本当に苦しい時間だと思います。

 でも、この一時の苦しさよりも本当に怖いのは多分その先で、入社して段々と自分の個性が削られて、一つの部品として歯車になって働くことに慣れてくると、おそらく12月ぐらいにはかなり苦しみがなくなり、心地よささえ感じるようになってきます。
 その時にふと気がつくと、学生時代には好奇心を持てた物、課題意識を持てた物、情熱を持てた物がびっくりするほど、無味乾燥になって心を動かさないものになっていると思います。茨木さんの詩に合わせていうと、感受性が壊された状態です。

 この威力はすさまじく、学生時代にいろんな感受性で世界を捉えることができていたオモシロイ自分が、一気にツマラナイ自分になっていきます。そして、そんなツマラナイ自分に課題意識を感じる感受性すら、徐々に壊れていくのでどうでもよくなってしまいます。
 多くの人から反感を買ってしまいそうな話なのですが、個人的な経験上こういう方はとっても多いと思います。

■自分の感受性くらい、自分で守れ、新入社員よ
 新卒で社会に馴染んでいくことや、たとえそれが苦しくてもとてもいい学びにつながるということを私自身、経験しました。だからこそ、新入社員の皆さんには、今は苦しいと感じていても4月から約半年ぐらいは、身が焼けるような想いをして社会になれていって欲しいなと思います。

 でも、だからと言って魂まで社会に捧げよということではありません。私の経験上、これまで本当に多くの人たちが社会のルールを知っていく中で、知らぬ間に自分の感受性を壊してしまってきています。だからこそ、社会のルールに苦しみながらなれることと同時に、自分自身の感受性を守ることに全力で立ち向かわなければいけないと思っています。

 この2つのバランスを取っていくことはとても悩ましく、途方も無いように思いますが、実は解決方法というか、ちょっとしたTIPSは世の中に意外と溢れています。
・会社と関係ない人とあって話す
・本を毎週1冊はよむ
・会社外に尊敬できる人を持つ
・月に1万円はどこかの団体に寄付をする(これは、私がやっていました)
・芸術に触れる
・だれにどんな感受性を委ねているのか俯瞰して認識できるようにする
(仕事については一先ず会社に感受性を委ねつつも、人生の感受性は別にあることを常に忘れない)
・分野ごとにどの組織(誰、どのメディア)を信頼するのか見直して更新する

 様々なところで言われていることですが、意外とその重要さに気付いて実行をしている人は少ないなと感じます。感受性を守るために、いろんなことを学び、吸収していく時間も持つことはなかなか大変だと思いますが、ぜひ気合を入れて自分の感受性を守っていただきたいです。

■自分の感受性は守れているか
 新卒社員にばかり発破をかけるようなちょっと偉そうな内容になりましたが、詩の内容も含めて、感受性が壊されているということは、どんな世代の人にとっても胸に刺さる部分があるメッセージではないでしょうか。

 感受性が壊される1番の原因は、受け身の姿勢にあると感じています。そして、現代は情報で溢れかえっている時代だと言われるからこそ、逆に私たちは知らず知らずのうちに自分が好んだ情報源の占有率が高まり、そこからの情報を妄信して一方的に受け取っているような状態になってしまいがちです。

 NewsPicksを読んで、そこで流れている風潮が世界の全てだと思ってしまっていたり、敬愛する人の意見を丸呑みにしたり、スッキリをみて世論はこれだと決め込んでしまっていたり。

 私自身も自分の受け取っている情報が、いつの間にか主体的に選び取ったものではなく、神から与えられたような絶対的なものになってしまっている部分があるなと感じます。
 こうやって、世界を狭くして、ツマラナイ自分が出来ないことを人や環境のせいにしてしまうようになるんだなと少し恐ろしい気持ちにもなったりします。

 感受性を守り、オモシロイ自分であり続けるためにも、いつまでも世界を広く捉えられるような主体性を持っていたいなとこの記事を書きながら改めて思いました。

 新卒社員のみなさんも、明日の自分も、そして記事を読んでくれたみなさんも、世界を広く、自分の感受性ぐらい自分で守っていきましょう!

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