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【スタッフの頭の中】震災から10年、生きる意味をもらってから10年

スタッフの頭の中
very50のスタッフは様々なバックグラウンドをもっています。そんな多種多様なスタッフの頭の中をちょこっと覗いてみるためのコラムが「スタッフの頭の中」です。

2回目の頭の中はこのnote運営を陰ながらやっている杉谷がお送りします。自分は特に国際協力やソーシャルと言われる活動に興味が強く、前職はマザーハウスという企業で働いていました。現在もvery50の業務の傍ら、シリア人道危機専門のNPOの理事をつとめています!

入社した時の記事はこちら↓

では、早速頭の中を紹介していきます!

目次
■震災で見つかった生きる意味
■今、使命をどれほど果たせているか
■生み出した希望はいつかきっと見える

■震災で見つかった生きる意味
 
あと数日で3月11日。この日が来るたびに、自分が高校2年生だった時を思い出します。被災直後、誰から言われたわけでもなく、この悲惨な状況のために自分は動かなければならないという思いから、募金活動を始めました。それまでの自分は貧困や紛争、災害など日本だけでなく国際社会における理不尽ともいえる状況に対して漠然とした興味は持ちつつも、何も動き出せないちっぽけな存在でした。
 何となくやりたいことはある。興味があることもある。でもそれは今じゃなくて良い、大学に入ってからゆっくり考えれば良い。そんな言い訳を自分に言い聞かせて、日々の高校生活を送っていました。
 そんな中起きた東日本大震災は、そんな言い訳をかき消して、「今動かなきゃいけない」「今やらないでいつやるんだ」と自分のことを突き動かしてくれました。


 そして、この募金活動を応援してくれた多くの方々のおかげで、300万円という大金を被災地に贈ることが出来ました。
「動いたことで何かを生み出せた」「自分の行動が誰かのためになった」
そんな自分の中で革命が起きたような感覚でした。このとき起きた小さな革命は、今も自分を突き動かし続け、様々な誰かのためになる活動の源泉になっています。

 被災者の方々にとって、震災はまさに悪夢のような出来事だったと思います。だから、被災者でもない自分が震災のことを語る、ましてや自分の希望を見つけたという形で語ることは無神経だと理解しています。
しかし、絶望に包まれていた当時の日本の中で、将来への希望を見つけ、今もなお自分のことを動かし続けているきっかけになった出来事のことを10年経った今、語らずにはいられません。
 10年前のあの当時から自分が意味をもらった分、一生を通して生まれた絶望の分の希望をこれからの未来に生み出していくことが使命だと思ってやってきました。


今、使命をどれほど果たせているか
 震災から早くも10年が経ち、あの頃は人生の大きなイベントだと思っていた大学受験が遠い過去のように感じられます。この10年間、思い返してみても、常に自分の心を動かしていたのはあの時感じた使命なのかもしれません。

 大学に入ってからは新興国というフィールドに魅せられて、様々な国、地域で「国際協力」という活動に従事し、国際協力の修士号までとりました。就職活動も周りのみんなが様々な企業を見ている中、マザーハウスのミッションに共感をしてろくに就活もせずに進路を決めたりもしました。そして今も2つのNPOで働いています。
そんな普通だったら理解されないようなキャリアには「未来に希望を生み出したい」という軸があったように思います。

 しかし、10年を振り返ってみたときに、今自分は未来に対してどれくらいの希望を生み出せているんだろうと疑問に、そして不安に思いました。使命を果たすという軸に乗っ取って生きてきた中で、それを果たせていない自分に意味はあるのかと。


■生み出した希望はいつかきっと見える
 実はここ最近はその不安、無力感が少し大きくなり始めていました。日々出会う高校生・大学生、そしてお手伝いしていただいている社会人の方や新興国の社会起業家たち。多くの方と関わりながらミッションに向かって動いているからこそ、その関わる方々に希望を与えられているのか、正直全く見えていない状況でした。

 そんなもやもやを抱えていた中、ここ数日で状況が大きく好転する2つのことが起きました。

 1つは高校、大学の後輩が生きる意味を見つけて大手企業を辞めて起業する決断をしたことでした。その後輩はいわゆる就活強者で、大手の有名企業に就職を決めました。大学院に行ったことで卒業の年が一緒だったこともあり、就活の話をすることもありましたが、その当時はきっと自分の目指しているものは伝わっていなかったように感じます。
 それでも卒業後も一緒に飲みながら話をする中で、就活をしていた時以上に自分がなぜそういう進路を選んだのか?何を思って働いているのか?について聞かれることが多くなり、段々と自分の生き方を理解をしてもらえているような気がしていました。
 お世辞かもしれませんが、退職を決意した彼から「人生の生きる意味を見つけて生きる生き方を自分も歩みたくなった」という内容のメッセージをもらい、少しだけですが使命を果たすことが出来たと感じることが出来ました。

 もう1つは一昨年引率したチームの高校生が卒業をきっかけにメッセージをくれたことでした。
 一昨年の12月にカンボジアで行ったプログラムで12名ほどの高校生と一緒に10日間のプロジェクトを行ったのですが、very50での初めての仕事で、目の前の高校生たちに対して何が出来るだろうと必死に考えていたのを今も思い出します。
 メッセージをくれた子は様々な働きかけをしましたが、プロジェクトの中で特に何かを持って帰ってくれたという印象の子ではなく、終わった後にもっと何かを伝えたり、希望を与えることが出来たんじゃないかと個人的に反省していました。

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 そんな子から来たメッセージの内容は「夢を与えてくれてありがとう」という内容でした。カンボジアのスラムを見たこと、ハードな体験をしたことで大きく人生を考えるきっかけをもらったこと、そしてそこに自分という人間がいたことが「夢」を見つけるきっかけになったとのことでした。

 年度末という節目の時期だからかもしれませんが、立て続けに自分が誰かに何かを与えらていたことを実感でき、使命を果たせているという感覚をもらえました。
 今は、ちょっと無力感を感じていたこの前が嘘のように、初心に戻って熱量高く仕事が出来そうだなと感じています。多くのものがそうですが、与えたものがすぐに形になって表れるということはありません。だからこそ、これからも希望を与えることに全力に、そしてその希望がいつかきっと現れると信じて、誇りをもって仕事をしたいなと思っています。

意味をもらってから10年、長いようで使命の結果を求めるには早すぎたのかもしれません。これからも変わらない使命に突き動かされながら、未来へと希望を与えていきたいと思います。

長くなってしまいましたが、杉谷個人とvery50の挑戦を応援していただければと思います。

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