リトアニア最大の本の祭典・ヴィリニュスブックフェア
リトアニア語翻訳者の木村です。
今回は、リトアニアの本に興味がある方に向けて、リトアニア最大の本の祭典・ヴィリニュスブックフェアについてご紹介します。
ヴィリニュスブックフェアとは
毎年2月にリトアニアの首都ヴィリニュスでVilniaus knygų mugė(ヴィリニュスブックフェア)が開催されます。LITEXPOという巨大な屋内イベント会場(東京でいえばビックサイトのような場所)で開催され、出版社や文化団体のブースが立ち並び、大小様々なステージで朝から晩までトークショーが行われ、出版関係者のみならず一般人も参加できる、まさに本の祭典と言うべき、バルト三国最大級のブックフェアです。2000年に初めて開催され、毎年(COVID-19流行期を除き)6万5千人以上の来場者で賑わいます。
魅力その1:作家さんにお目にかかれます
ヴィリニュスブックフェアでは、作家さんに直で会える機会が多く用意されています。
文化プログラムの合間などに作家さん本人が売り子をしている時には、買った本にサインをしてたり、少しだけ話をできたりして、一緒の自撮りに応じてくれる作家さんも中にはいたりします。大手の出版社のブースでは、ブース内にサインのためのテーブルと椅子を用意していて、ファンが行列をなしていたり。作家さんのいる時間帯はFacebookページで告知されていることが多いです。
何より、好きな本の作者が目の前を歩いていたり、出版社のブースで世間話をしていたりするのを見つけるのは、貴重な体験です。震えます。
魅力その2:なかなか見つからない本と出会えます
ブックフェアでは、国内のほとんどの出版社がブースを構えて自社の本を売っています。街中の書店でなかなか見つからない本も、出版社の在庫があるものであれば、高確率で見つかります。
レコード会社のブースの集まる音楽ホールでは、オンラインショップでしかお目にかかれないCDを見つけることができます。YouTubeやサブスクで聞いていたけど円盤が欲しいなと思っていた作品を探している時は、ブックフェアが狙い目です。音楽ホールにはステージもあり、流行のアーティストの演奏を楽しむこともできます。たまにミュージシャン本人がブースにいます。
また、一般の書店で買うよりも安く入手できることが多いです。
リトアニアでは、日本のように本の定価が決められているわけではなく、書店の本の価格は(出版社からの仕入れ値)+(書店の利益分)となっています。そのため、基本的には出版社から直接本を買うのが一番お得です(主要な出版社のいくつかは、自社の本を直販する店舗を持っています)。
ブックフェアでは、出版社の出店する各ブースで出版社から直接買えるので、出回っている価格では最安値で買えます。といっても、2€か3€程の違いですが、本をたくさん買う身には有難いです。
魅力その3:友達に高確率で会えます
ブックフェアはとにかく参加者数が多いので、その分かなり高い確率で知り合いや友人と出くわします。リトアニア語のサマースクールのクラスメイトとばったり出会ったり、一度だけ会いに行った大学の先生に声をかけてもらったり、色んな同窓会が一か所に集まっているような感じです。
参加方法と注意点
ヴィリニュスブックフェアは、出版関係者以外でも、文字通り誰でも参加できます。一般参加者は、事前に入場券の購入が必要です。チケットはオンラインで販売され、印刷したチケット/画面に表示したチケットのQRコードを入り口で提示します。
期間中はヴィリニュス市内とブックフェア会場を往復するシャトルバスが運行されます。会場のLITEXPOには広大な駐車場があるのですが、あまりに来場者が多すぎて、昼間に車で来たら結局入れなくて断念した、なんて人も。公共交通機関の方が入場しやすいかも。
楽しいブックフェアですが、食事に難ありです。
朝から晩までいると当然お腹が空くのですが、ご飯を食べられるところはかなり限られています。館内にカフェテリアがありますが、キャパオーバーで大行列ができています。屋外にはフードトラックが来ますが、2月のリトアニアは極寒なので(雪が降ることもあります)なんとなく屋内の隅っこで食べている人がちらほら見られます。朝から晩までずっといるつもりならば、シリアルバー等の栄養補給をできるもの持参がおすすめです。
リトアニアの名物料理を楽しみたい方は、一旦外に出て、市内で腹ごしらえをして、再び入場した方がいいでしょう。
次回のヴィリニュスブックフェア
次のヴィリニュスブックフェアは、2023年2月23日から26日に予定されています。テーマは「自由のための700行」です。自由のために戦うウクライナの英雄たちとヴィリニュス市700周年を記念した内容となる予定です。
ご予定が空いている方は、ぜひリトアニアに渡航して参加してみてはいかがでしょうか。