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研究ツールとしてのEvernote②

こんにちは。前回の記事ではEvernoteがどのようなものか、僕が研究の上でそれをどのように使っているのかご紹介しました。

ポイントは情報の一元化、そしてそれに伴う検索性にあります。Evernoteに雑多な情報を集めてしまい、タグ付けすることにより、Evernote内だけの検索で情報収集を済ませてしまおうというわけですね。

ところがこの「情報の一元化」というやつ、なかなか厄介で……。しかしまずは、別の話題から入りましょう。

〇一次資料を放り込む

「研究ツールとしてのEvernote①」では論文や書籍など、いわゆる二次資料をEvernoteに蓄積するのだということをかきました。

しかしもちろん、一次資料もEvernoteに放り込んでおくことで情報にアクセスしやすくなります。

画像は1935年の雑誌記事の引用。検索性を考えれば全文引用が望ましいのですが、なかなかそうもいかないので必要な部分だけ引用しタグ付けしています。

研究の方針にもよると思いますが、僕の場合作家が生きていた当時の雑誌記事を収集していくことが重要な作業の一つとなっていますので、読んだものの整理も兼ねてEvernoteに書き込んでいるわけです。

〇ネットの記事や書き込みを共有

研究に直接活きる機会は少ないですが、便利な機能として、クリック1つでEvernoteネットの記事や書き込みを共有できます。

※上の画像がネットニュースをそのままノートに取り込んだもの。下の画像はtwitterのつぶやき(日付をつけるの忘れてますね。これはダメな例です)

たとえばtwitterなんかには「いいね」や「ブックマーク」機能があるので気になったツイートは見返すことができます。でも、「いいね」なんかは膨大な数になるので数か月もたてばつぶやきもどこかに流れてしまいます。

それはそれで「タイムライン」、時間の流れとして表現されている線条的なTwitterのあり方として正しいかとは思うのですが、流れてばっかりでもどこにも行けないので、その流れから水を引いてためておく「池」みたいな場所も欲しい。それでEvernoteを使っています。

正直こうして収集したツイートやネット記事が役に立ったことはないのですが、まあこちらは手間をかけているわけでもないので、いずれ何かのプラスになったらうれしいな、というぐらいです。

ただニュースやブログをネットサーフィンして色々見ている人には、この使い方が一番有用かもしれません。自分でブログを運営している人には、重要なネタ帳にもなるでしょうね。

凡庸な言い方ですが、情報の価値は使い手によって大きく変わるのだということだと思います。

〇さらにEvernoteを活用するために

僕のEvernoteの使い道は大体今まで紹介してきたもの、一次資料や二次資料の整理・検索が中心なのですが、情報の一元化というテーゼをもっと突き詰めるなら、よりこのツールを活用する道はあるでしょう。

例えば、授業のノートはデジタルでとって(あるいはアナログでとったものをスキャンして)タグ付けし、検索するようにする。レジュメもPDFにしてノートに添付する。授業のレジュメに限らず、学会や研究会のレジュメも添付して検索できるようにしておく。

などなど、徹底して一つのアプリケーションに集約していくことで、データベースとしての価値は格段に高まるはずです。

ただ残念ながら、僕はそこまでできていません。1つは単純に手間の問題で、いちいちレジュメのスキャンなんてしてられません。毎日きっちりやれば1回1回は大した労力じゃなさそうですが、ちょっと溜まってきたら「もういいや」ってなりそうです。

そして一元化のテーゼを邪魔するもう1つの要因は、僕がアナログノートに馴染みすぎていることです。

〇デジタルノートとアナログノート

「一次資料を放り込む」で、僕が当時の雑誌記事などをEvernoteに入力して管理していることをご紹介しました。

一元化のテーゼから言えば調査結果はすべてEvernoteに入れることが望ましいのですが、なんと僕の研究ノート、Evernoteとアナログノートに分かれています。しかも特にこれといった法則性もなく、ただただ2つに分かれています(さすがに同じ雑誌のノートが違う媒体にあることはないですが……)。

※汚い字ですみません。

これは僕がアナログノートの方が好きだからというどうしようもない理由で起きている分裂です。大学院までずっとアナログのノートをメインで使ってきたせいか、アナログノートの方が気分が上がるのです。

研究において自分のゴキゲンというのは何よりも優先されるべきものですから、少なくとも短期的にはアナログノートの方が研究効率が高いのです。

これが私のデジタルノート一元化を阻む最大の要因で、要するに人間の方が技術に追い付いていないという陳腐な結論になるでしょう。

アナログ感覚で書けるデジタルノートがあれば、それが一番僕に向いているアプリケーションなのだと思います。そういうものを求めて、今後もいろんなものに手をつけていくつもりです。

〇まとめ

情報は1つのところに固まっているのがベストです。これは間違いありません。しかしそれを阻むものがあります。僕自身の怠惰と好みです。そして勝手な言い分ながら、それは誰しもにある程度共有されている問題なのではないかと思います。

ゆえに、われわれはデジタルとアナログの間で揺れ続けることになります。

自分のモチベーションを保ちつつ検索性も上げる。それを両立するためにも、いろいろなツールにアンテナを張っておくのは研究者としてとても大切なことなのだと思います。

ただ実際、書けば書くほど物理的に積み重なっていくアナログノートの気持ち良さには抗えないものがありますね。

僕が思うに、人間は数を数えることが好きなのです。

というわけでそのうち、「数を数えること」についての記事も書きたいと思っています。ただいま準備中。

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