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新型コロナウィルス感染拡大 4.1専門家会議が会見(書き起こし)+【追記】

【追記】BBC東京特派員のツイートにより<オーバーシュート>という用語が我が国だけにしか使われていない、すなわち和製英語とハッキリ確証がとれたのでそのツイートのリンクを貼っておきます。

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脇田座長より 3月19日の専門家会議から2週間が経ち、本日付で最新の状況にもとづき状況を分析し提言を行うとの前置きから会見が始まる。

(※なお、この書き起こした内容について同意しているわけではなく、あくまで記録の意味として残すことを申し添えます。日本の対応が世界の注目を浴びているなど、到底理解できません。バカにされているの意味で注目されているならわかりますが。)

〈YouTube リンク〉

以下 尾身 副座長:今日の提言は3つのパートに分かれています。

1~状況分析 2~現在の対応の問題点・課題、3~提言 の順で

【1~状況分析】

大事なことは都市部を中心に感染者が急増しているということです。こうした地域ではクラスター感染が次々と報告され、リンク(感染源)がわからない患者数が増加していることが特徴だと思います。実行再生産数ですが、これまで<1>を中心に上がったり下がったりということでした。3月21日から3月30日までの各データにもとづく推定値ですが、東京都で初めて<1.7>という数字を示しました。もちろんこの数字には今後とも注視していく必要があります。海外からの移入感染者ですが、3月の上旬までには全陽性者数に占める割合は単に数パーセントでありましたが、3月11日前後からかなり急激に増加し、3月22日、3月23日には<4割近く>を占めるようになっています。

以上の状況から、わが国では諸外国に見られているような爆発的患者急増はみられないが、都市部を中心にクラスターが次々報告され、感染者数が急増している。ここが大事なところですが、医療供給体制がひっ迫しつつある地域がでてきており、医療供給体制が近々の課題となっています。

ここで1つ強調しておきたいのですが、<医療崩壊>すなわち<爆発的感染・オーバーシュート>が同義語として理解される傾向があったに思います。実際には新規感染者数が急増し、クラスター感染が続発し、つまり<爆発的感染・オーバーシュート>が起こる前に医療体制のひっ迫、医療現場の限度を超える負担がかかって、医療現場の機能不全が予想されるということです。

ここで、<爆発的感染・オーバーシュート>の定義を再確認しようと思います。諸外国のような爆発的な感染患者数の増加のことを示していますが、2~3日の間に累積患者数が倍増することが継続してみられることとして我々は定義しています。

さて、東京都の場合は3月21日~30日までの10日間においては、<2.5日毎>に倍増しています。しかし、これには院内感染やリンク(感染源)が追跡できている患者も含まれており、これが一過性のものなのか継続して注視していく必要があろうかと思っています。

【2~現在の対応の問題点・課題】

これからの感染拡大を抑制するために乗り越えるべき課題について整理しました。大きくわけて3つを挙げます。

(1)地域ごとの対応・考え方

3月19日の提言で<3つの地域>にわけるということを申しましたが、各自治体から「自分達の自治体はいったいどの分類に属するのかハッキリわかるように書いて教えてほしい。」という要望が多数ございました。

(2)市民の行動変容の必要性について

①我々の専門家会議からも<3つの密>について再三再四申し上げましたが、我々の情報発信も完全ではなかったとも思いますが、市民の皆さんにこのメッセージが十分届かなかった、理解されなかったということが1つ。

②いわゆる<コロナ疲れ><自粛疲れ>ともいう状況がみられ、一部の市民の皆さんの間に警戒感が予想以上に緩んでしまったことがあったと思います。

③行動変容や健康管理についてアプリなどSNSを活用して、効率的かつ双方向の取り組みがなされていますが、もう少しやったほうがいいのではないかという感想をもっております。

④課題として、いわゆる重症者を優先する医療供給体制を地域で頑張って頂いてますが、まだまだ不十分。まだやるべきことがあるというのが我々の認識です。

【3~提言】

(1)それぞれの地域でどのレベルの感染が広まっているか都道府県が判断するための指標、インディケーターをある程度まとめました。

①<新規確定患者数> これは2週間前の状況を反映するということで、即効性はないけれど非常に重要なものです。

②<リンク(感染源)が不明な新規確定患者数> 

③<帰国者・接触者外来受診者数> これは早期に感染拡大の予兆をピックアップできる指標です。さらに帰国者相談センターの相談の数も含めるとよいと思います。

④<都道府県別PCR検査実績> 何例検査してそのうち何例が陽性だったか、その陽性率を加えるとよいと思います。

⑤<実行再生産数> 

⑥<医療供給体制> 地域でひっ迫しているのか余裕があるのか評価する指標を考えました。  

重症者の数、入院者の数、利用可能な病床数・その稼働率や空床数、利用可能な人工呼吸器及びECMOの数そして稼働状況、医療従事者の確保などを定期的に地域の医療体制を評価するための指標として使って頂ければと思います。

(2)地域区分のとらえ方について3つのレベルに名前をつけました。一番感染のレベルが広がっているところから申します。

①感染拡大警戒地域 ②感染確認地域 
③感染未確認地域

①感染拡大警戒地域…直近1週間の新規感染者数、リンクなしの感染者数が前1週間と比較して大幅に増加したことが認められる地域。もちろん、オーバーシュートには至っていない地域であります。帰国者・接触者外来の受診者数も同様に一定以上の増加が見られるということであります。医療供給体制の観点からも近い将来切迫性の高い状況であれば、このカテゴリーに属すると思います。

こうなったときの自治体の首長にお願いしたい例としまして、これらが全てを網羅しているわけでありませんが、市民啓発は当然に期待されるところであります。具体的にいうと<期間を明確にした外出自粛要請>。地域レベルであっても10名以上が集まるイベントは避けて頂きたい。家族以外の多人数の会食は行わないで頂きたい。地域内の学校の一斉臨時休校(尾身氏は 臨時休業と言っている)も選択肢として検討してよいのではないかと我々は考えています。

②感染確認地域…直近1週間の新規感染者数、リンクなしの感染者数が前1週間と比較して一定程度の増加幅におさまっている地域。帰国者・接触者外来の受診者数もあまり増加していない。三つの密については徹底的に回避して頂きたいですが、屋内で50名以上が集まるイベントは控えて頂きたいと思います。

③感染未確認地域…ここは屋外でのスポーツ及びスポーツ観戦、イベント等については感染症に対する適切な措置を講じたうえでそのリスクを考慮しながら注意して実施して頂ければと思います。

(3)学校について

現在の知見では、子供は地域において感染を拡大する役割をほとんど担っていないというか、そういう情報、エビデンスを私達は得ております。従って学校については、県という大きな括りではなくて、地域や生活圏ごとの状況をふまえて判断していくことが重要だと思います。もちろん子供について新たなエビデンスがでてくれば適宜だしていきたいと思っています。

(4)行動変容の必要性

<三つの密>を避けることは自身の感染リスクをさげるだけでなく、多くの人の重症化をくいとめ、命を救うことに繋がることは再三申し上げているところであります。前回まではあまり協調しませんでしたが、<三つの密>のなかで特に大きな声をだすことや、大きな声で歌うこともまた1つのリスクであることが”最近”になってわかって参りました。<三つの密>が特に濃厚に交わるところをやや具体的に申しますと、夜間から早朝にかけて営業しているバー、ナイトクラブ、接客を伴う飲食店業への出入りをなるべく控えて頂きたい。カラオケ、ライブハウスも感染が起きていることはわかっております。いわゆるジムや卓球、これは吐く息が激しくなるということで注意して頂きたい。

1つ新しいこととしてICTの利活用を今回の提言に含めました。感染を急速に収束に向かわせているアジア諸国の中には携帯端末の位置情報を中心にパーソナルデータを積極的に活用した取り組みが進んでおります。我が国においてもプライバシーの保護や個人情報保護法制の観点を十分ふまえつつ、感染拡大が予測される地域での<クラスター・感染集団発生>を早期に探知する用途に限定して、パーソナルデータの活用も1つの選択肢となりうると考えました。ただし、さまざまな懸念が想定されるため、一般市民や専門家を巻き込んだ議論を早急に開始する必要があると思います。

(5)地域医療供給について

オーバーシュートが起こる前に医療のひっ迫が起こることが懸念されています。特に東京・神奈川・愛知・大阪・兵庫 は医療供給体制がひっ迫しており、今日明日にでも抜本的な対策を講じる必要があります。地域における医療資源が一丸となって、都道府県と十分な連携を行って、どの医療機関がどの役割を果たすのかというのを早く決めて実行に移して頂きたいと思います。

いずれ感染が拡大して参りますと、軽症者は<自宅待機><自宅療養>して頂くということも考えています。そこで施設での療養の選択肢も是非用意してほしいと思います。

(6)医療崩壊にそなえた市民との認識共有

我が国は幸い今のところ、諸外国のような<医療崩壊>は生じていません。今後ともこういう事態を回避するために、政府や市民が最善の努力をはかっていくことが重要であります。諸外国の医療現場で起きている厳しい医療実態を踏まえれば、さまざまな事態を想定し、人工呼吸器など限られた医療資源の活用の在り方についても、市民を巻き込んだ議論をしていく必要があると考えます。政府にもとめられる対応としましては、これから一般病院も感染者を受け入れることになって参りますので、そうした場合の医療機器・人材、財政的支援が極めて重要なのでそれを求めたいと思います。

何度も申し上げておりますが、前々回3月9日にも前回3月19日も提言して参りましたし、3月28日の国からの方針からも述べられていますように、≪クラスター潰し>のサーベイランスをやっている保健所等がかなり疲弊をしてきています。そのためにクラスターの発見が遅れています。都道府県にもいろんなところから人材サポートをお願いしてきたのですが、なかなかうまくいっておらず是非宜しくお願いします。治療薬等についても今研究者が頑張っていますので、国も全面的にバックアップして頂きたいということろであります。

【終わりに】

実はいま皆さんご承知のとおりに日本でも感染者が急増していますが、他のヨーロッパのような国のようにはなっていないわけですよね。いま日本の取り組みについて世界の注目が集まっています。今までは第一波とも呼んでもいいと思いますが、中国からの感染流入についても持ちこたえることができたと思っています。一方で世界的なパンデミックが拡大する中で、政府・各自治体・関係者が今まで以上の強力な対応をすることが求められていると思います。市民の皆さんにも行動自粛に取り組んで頂いて感謝申し上げますが、そのうえで、法律で義務化されていなくとも<三つの密>が重なる場所を徹底して避けるなど社会を構成する一員として、社会を守るためにそれぞれが、役割を果たしていこうではありませんか。というのが我々の最後のメッセージです。

(※この二ヶ月何をしていたのかと腹がたってきたので書き起こしはここまで。質疑応答は割愛しました)

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