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広島PCR検査の集中実施なぜ失速?~それでも「広島県の大規模PCR検査を応援します」

以前の投稿より・広島市80万人全員検査のゆくえ

ここに昨年11月からの広島の出来事と政府とのやりとりをまとめているので、まずはこちらのリンクをご覧頂きたい。11月下旬の秋の紅葉シーズンの3連休の人出から2週間後、広島の新規感染者数は人口10万人あたり東京都のそれを1.5倍も上回っていた。(詳細は以下リンクへ)

広島が先陣をきるかたちで地方自治体によるPCR検査の集中実施が行われる予定ということで、市民としても誇らしく思っていたし、何よりこれが全国モデルになって「いつでも・どこでも・だれでも・なんどでも」が実現することを期待していた。しかし、急転直下その計画が失速した経緯を記憶をたどりながらネット記事も参考にふりかえってみる。

広島PCR検査の集中実施「今なぜ必要、説明尽くせ」

【2021年1月29日】湯崎知事はなぜ無症状者も含めたPCR検査の集中実施が必要か会見を開いて1時間19分にわたって丁寧に説明した。知事がデータ推移にもとづいて説明した内容は以下の項目。大規模PCR検査実施により医療費19億円節約できるとの試算を提示した。

感染状況/これまでの取組(検査)/PCR検査の集中実施の意義・目的/専門家の意見/県民の皆さんへお伝えしたいこと/基本計画案/メッセージ

【2021年1月30日】地元・中国新聞より

実施するスタッフや会場の確保問題/人員はワクチン接種へ優先すべき/陽性者への隔離施設の確保問題/検査精度「偽陰性」の不安(これはデマ)/費用対効果問題/感染が収まりつつあるのに本当に必要か/一般に広く検査するより医療従事者や保健医療施設を優先すべき

このような意見は広島県議会でも知事に向けて質問が飛んでいた。ローカルニュースの放送を見ていても、広島の医療業界専門家からも否定的な意見がでているようにも見え、一筋縄ではいかぬかにも思えた。

広島県議会・PCR検査予算可決

【2021年2月4日】東京新聞より

この日の広島県議会のことが全国各紙にとりあげられており、注目度の高さを感じる。広島市中心部(中区、西区、南区、東区)新型コロナウイルスの無料PCR検査費用10億3800万円の予算はなんとか承認された。

広島PCR検査アンケート・希望者の割合

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【2021年2月5日】湯崎知事は地元ローカル番組「イマナマ(RCC放送)」に生出演して視聴者からの質問に答えた。質問内容はテレビにも登場する検査抑制論者の言説に似て、検査に懐疑的なものが多かった。番組が独自に行った調査で検査を希望する人:14.8%、検査を希望しない人とまだ決めかねているがそれぞれ残りを半々に分ける結果。これには湯崎知事も「あまり希望者が少ないとなると…」と少し寂しげであったし、番組を視聴していた私もショックだった。

広島PCR検査実施延期の検討

【2021年2月8日】予算可決するも、県内の陽性者が減少傾向にあることから、実施時期については湯崎知事は延期を検討すると発表した。たしかにこの日の新規陽性者数は1桁にまで抑えられている。

広島大規模PCR検査8千人規模に縮小

【2021年2月9日】とりあえずは広島市中心部の中区のみに限った極めて限定的な検査に規模が縮小された。住民6000人+事業所従事者2000人を想定。


なぜ、ここにきて広島がトーンダウンしてしまったのだろうか?

政府の動きについて書いた記事リンクを以下にいくつか集めてみた。


広島県が国から受けた仕打ち

【2021年1月14日~1月16日】「一斉PCR発表」の直後、広島市は「緊急事態宣言に準じた措置」の対象地域該当せずと西村大臣にひっくり返されて、ハシゴを外されたことは私のnote前編でもしっかりと記録している。飲食店等の休業補償から国からの補助は撤回され、県独自の支援でやりくりすることを余儀なくされた。

【2021年2月3日】改正特措法公布。2月13日からの施行。これをもって、PCR検査陽性者が入院拒否をすれば行政罰・過料50万円以下が課されるというとんでもな内容が立法根拠をもたぬままに世にでることとなった。これをもってPCR検査を積極的に受けようとする人が減ってしまい、逆に感染を蔓延させるであろう悪影響は野党や良心的な専門家からも指摘されていたところである。広島市民の意識も少なからずこれに影響をうけたのでは。

【2021年2月9日】西村大臣の会見で、「東京・大阪」の無症状者を対象に1日あたり1万人規模でPCR検査を行うと発表した。これは、まさに広島がやろうとしていたことでは。

どうもこのあたりから、政府分科会の尾身会長「無症状者に検査必要」と態度を変えた模様。『羽鳥慎一モーニングショー』でも玉川徹氏がそのことについて分科会メンバーを番組内で問いただす場面があった。

まだ政府は東京五輪開催を諦めていないとしたら、IOCのルール「選手団に4日に1度のPCR検査を実施する」そのための検査キットをケチりたい半分、東京が予行演習する必要がある半分といったところか?

ならば西村大臣の会見も、尾身会長の翻意も整合性がとれるというもの。

要は、政府のメンツありきで、地方の独走は許さんということではないだろうか。私にはそう思える。

【2021年2月9日】首相が会見の場で直接、広島のPCR検査を牽制した。これは政権から明に暗に圧力がかかっていたとみて間違いないだろう。

どうする広島、負けるな広島!


 

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