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ある日、ドラッグストアの前で豊かさについて考えた
マスク価格が高騰したり、在庫が枯渇したりでたいへんなパニックだったのがウソのように今はリーズナブルな価格で店頭に並んでいる。真剣に2時間並んで7枚入りのパックを有難がっていたことも思い出すといささか滑稽である。
近頃は、日本有名某メーカーの箱入りマスクが商店街で1000円以下で販売されている。思わずどこで製造しているのか箱の裏面を見ていたら、隣にいらしたご婦人も同じことを考えていたようで顔を見合せて「やっぱりそうか!」と笑った。
ご婦人は待ち合わせまで時間があるようで、私に話しかけてくれた。とかく私は見ず知らずの人に道を聞かれたり、話しかけられることがよくあるので喜んで束の間お話し相手になった。
「あなたご結婚は?」
ああぁ...この手の話題か、困った。めんどくさいことになりそうだなと思いつつも。
「したいとは思わないです。」
とサラッと返した。ありがちな流れとしてここから、どうして結婚しないのか?結婚はイイモノなのにどうして?と尋問が続くと予想された。
ところが。
「うちの娘双子、どっちも嫁にいかないの。ねぇ、どうしてかしら?私、孫の世話する気満々だったのよ。ほら、私が娘たちを育てた頃は紙オムツなんてこんなになかったから、1日に二層式洗濯機で100枚布オムツ洗ったものよ。乾かないときはアイロンあてるの。今は便利になったものよね。」
ご婦人と2人で店先から、オムツコーナーに目をやったということは言うまでもなく。
聞けばご婦人はこれからその双子の娘さんと待ち合わせて街ブラを楽しまれるとのこと。
そこで私はそのご婦人に一言こういってお別れをした。
「青春してください♪」
ご婦人はすかさず満面の笑顔でこう言ってくれた。
「また会いましょうね!」
グローバル化がすすみ、モノは豊かになってお金さえだせばいろいろ便利なものが手にはいるようになった。日本がモノづくり大国だったのも、もはや過去形となりつつあるように感じる。ご婦人たちの時代にあって今は消えてなくなってしまいそうなココロやキモチのことを思う。
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