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宇治&奈良を訪ねて③ 元興寺・興福寺編

 JR宇治駅から奈良駅まで電車で30分弱、相変わらず湿気が多く雨にならないことを祈りながら、タクシーで元興寺に向かう。前身は法興寺そして飛鳥寺ともいわれているようで、そういえば日本史で仏教伝来を習った時の記憶がかすかによみがえる。崇仏派の蘇我氏が物部氏との争いに勝ち、仏教の道が開かれ、飛鳥の地に初めて建立されたのがこの寺、そしてここを拠点に仏教が広まっていったようだ。奈良で最初に訪れた元興寺では、極楽浄土の世界を満喫することができた。
 
 元興寺を出て猿沢池のある公園を目指すとすぐに興福寺の五重塔が見えてきた。池の周りでは鹿が日陰で涼んでいる。観光で来ていたおばさんが鹿せんべいを購入し、鹿に食べさせようとした途端、立派な角を持った牡鹿たちが我先にとおばさんの元へ集まった。おばさんは圧倒されてゆっくりせんべいを食べさせる暇もなく、「キャー何よこの鹿たちは!」せんべいを投げ出して鹿から逃げまわった。噂には聞いていたが、鹿せんべいは買わないようにしようとあらためて思った。
 
 興福寺は立派で大きな寺だが敷地が広く、晴れ間が出てきた暑い中での移動は大変だった。藤原氏が栄えた中世には大和の国を支配する寺院だったため格式も高く、五重塔は勿論東金堂に阿修羅像などがある国宝館など見所満載。東金堂には中央にご本尊の薬師如来、人の災いや苦を除き、病を治し寿命を伸ばし、楽を与え正しい道を教えてくれるといわれている。その両脇には維摩居士と文殊菩薩、なるほど文殊の知恵とはここからきているのかと実感する。更にその両脇には薬師如来を補佐する日光菩薩と月光菩薩、そしてその周りに守護人十二神将立像が配置されている。東金堂を出て国宝館に向かう。夕方だがここでも修学旅行の高校生たちが暑い中境内を行ったり来たりしている。国宝館に入ると冷房が効いていて生き返った気分だ。阿修羅像や金剛力士像、そして様々な仏像が並んでいて実に見応え満載だ。中金堂は工事中で見学できず、北円堂と南円堂を外から見学し、最後に三重塔の写真を撮って興福寺は見納め。境内の芝生では鹿が草を食んでいて、小鹿が遊んでいる姿はとても可愛い、しかし鹿せんべいは手に持つまい。夕方17時半、今日の観光は計画通り終了。
 
今日はかなり歩いたし汗もかいた。興福寺北円堂の脇を抜けてアーケードのある商店街に入り、妻がお土産をゲットしている間、夕飯の場所を捜索したが、なかなか良いところがない。柿の葉ずしが第一候補だったが、昼食かお持ち帰り専用で夜は営業していない。早くビールが飲みたかったのと歩き疲れたのもあって、商店街の中の地元の野菜が食べられる串焼屋に決めた。サラダ、串焼き、生ビールに地ビール、地ビールのネーミングは「あおによし」と「そらみつ」、1本950円と少し高かったが、両方オーダーして味わった。料理もビールも美味しく満足できる夕食だった。徒歩でJR奈良駅に向かい西口のダイワロイネットホテルでチェックイン、天然温泉の奈良若草の湯で松屋吉野桜の壁画を眺めながら疲れを癒し、汗を流して1日を終えた。

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