モデルナワクチン異物混入問題 説明に矛盾はないか 時系列で整理する (随時更新)
(9月17日更新) 武田/モデルナの新型コロナワクチン(COVID-19 ワクチンモデルナ筋注)に異物が混入していたことが発覚し、8月26日、一部ロットの使用が見合わせとなった。
2日後には、接種後死亡事案として2例あったことを発表。接種との因果関係は不明としながら、このうち1例は、使用の見合わせの前に副反応疑いとして報告されていたことを明らかにした。
だが、厚労省は、一部ロットの使用見合わせを最初に発表した際「これまでに対象ロットにおいて本件に関連して発生したとみられる安全性上の懸念に関する報告は受けていません」と発表していた。なぜこの段階で1例目の報告がなされなかったのか疑問が残る。
大規模接種においてはミスや事故が起き得る。いうまでもなく安全性を軽視した接種が行われるようなことがあってはならず、何らかの問題があれば迅速に公表し、原因究明が必要だ。
異物発見から報告、公表に至る経緯について、判明した事実関係を整理する。
(冒頭写真:8月26日放送のNHKニュース9より)
これまで判明した事実関係(初報まで)
2021/8/11 男性C(49歳、そばアレルギーあり)が2回目の接種(ロット番号:3004734)。翌日朝、死亡。(厚労省 9/6)
8/13 埼玉県の薬剤師が4つの容器でワクチンの中に黒い粒子状の異物が1つずつ混入しているのを目視で発見(NHK 8/26)
いずれも白濁色のワクチンの中に、1ミリ以下の黒い微粒子が1つずつ、容器の底の縁についていて、外から触ってもとれず、薬液を動かすとふわふわと浮いたことから異物だと確信したということです。微粒子の形はさまざまで、薄く平べったいものや非常に小さい粒子状のものなどがあったということです。(NHK)
8/15 男性A(38歳、基礎疾患及びアレルギー歴無し)が2回目の接種(ロット番号:3004734)。翌日発熱、翌々日解熱。(厚労省 8/28)
8/18 男性A、自宅で死亡確認。(厚労省 8/28)
8/20 埼玉県内の別の薬剤師が15の容器で同じような黒い粒子状の異物を発見(NHK 8/26)
薬剤師からの報告を受けて、県はモデルナワクチンの流通を手がける武田薬品工業に連絡し、回収されたということです。(NHK)
8/20,21 東京都の乃木坂接種会場で、異物混入ワクチンを確認(時事通信 8/26)
8/22 男性B(30歳、基礎疾患及びアレルギー歴無し)が2回目の接種(ロット番号:3004734)。翌日発熱、翌々日回復。(厚労省 8/28)
8/23 茨城県内の薬剤師が、県立医療大学で容器のうち1つに黒や茶色の小さな粒が混入しているのを見つけ、使用を中止。(NHK 8/26)
8/25朝 男性Bの死亡確認。(厚労省 8/28)
これまで判明した事実関係(初報以後、8月まで)
8/26未明 【初報】厚生労働省が一部ロットの使用見合わせを発表
当該ワクチンについては、特定のロットについて、未使用の状態での異物の混入が複数の接種施設より報告されたことを踏まえ、武田薬品工業との協議の結果、当面の安全対策措置として、異物混入のリスクが否定できない下記の対象ロットの使用を見合わせることとしたものです。なお、これまでに対象ロットにおいて本件に関連して発生したとみられる安全性上の懸念に関する報告は受けていません。(厚生労働省)
8/26 【初報】武田薬品工業が一部ロットの使用見合わせを発表
当社は、特定のロットについて未使用のバイアル内に異物があるという複数の接種会場からの報告を受け、直ちに本ワクチンの製造を行うモデルナ社にこれらの異物・原因等に関する緊急調査を依頼いたしました。この調査は現在進行中ですが、接種予定の皆様の安全を第一に考慮し、厚生労働省に相談の上、8月26日より、下記のロットを対象に使用の見合わせを実施することにいたします。(武田薬品工業)
8/26 スペインの製薬会社「ロビ」が「原因は自社の製造ラインの可能性」と発表。(FNN 8/28)
8/26 厚労省の情報として「最初に見つかったのは8月16日で、5都県にある計8か所で異物が発見されていた」と報道。(読売新聞 8/26)
※注 NHKは8月13日埼玉県内で発見された事例を報道(既述)
最初に異常が見つかったのは今月16日で、25日までに5都県にある計8か所の大規模接種会場や職域接種会場で、製造番号が「3004667」の39瓶に異物が混入していたことがわかった。会場側が国内の流通を担当する武田薬品工業に連絡し、同社が厚労省に報告した。(読売新聞)
8/27 河野太郎コロナワクチン担当相が、混入の可能性がある3ロット、約163万回分のうち50万回強が接種済みであることを公表。(記者会見動画)
実際に異物混入の報告があったのはそのうちの1つのロットです。それ以外の2つのロットについては、現時点で未使用の異物混入の報告はありませんが、報告があったロットと同様の製造工程中の異物混入のリスクが否定できないことから、安全が確認されるまで使用を一時見合わせることにしました。(河野太郎担当相)
この3つのロットの製造、充填が終わった後に、製造拠点で工程の改善が図られているということですので、その後のものについて問題はないだろうと思っております。(河野太郎担当相)
安全面で大きな問題があるというふうには報告を受けておりません。現時点で深刻な安全の問題があるということではないようでございます。供給面でも、この3つのロットは今、使用停止をしておりますが、その後のワクチンについては問題がないというふうに報告を受けておりますので、接種に大きな影響は出ないと考えております。(河野太郎担当相)
8/28 厚生労働省が使用見合わせロットのワクチン接種後死亡事案2例(いずれも30代)を発表。※9/1に調査結果発表
2件の死亡事例の報告のうち1例目については、使用の見合わせの前に、既に副反応疑いとして報告されていましたが、2例目については、見合わせた後に、新たに報告されたものです。
(・・・)本プレスリリースは、使用見合わせの対象ロットで複数の死亡の報告を受けたことから、ワクチン接種との関係は不明ですが、副反応疑い報告制度の透明性の向上等のため、公表することとしたものです。(厚生労働省)
※本記事では、1例目を男性A(38歳)、2例目を男性B(30歳)とする。
8/28 武田薬品工業が厚労省の発表についてコメントをリリース。※9/1に調査結果発表
(・・・)この悲しい事実に接し、尊い人命が失われたことを非常に深刻に受け止めています。お二人のご冥福を心よりお祈りするとともに、ご遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げます。現時点では、これらの死亡事例とモデルナ社製ワクチン接種の因果関係は確認されていませんが、今後、因果関係の有無に関する正式な調査を実施していくことが重要と考えます。(武田薬品工業)
8/28 6月時点で、埼玉県内で異物混入ワクチンが見つかっていた、と報道(日刊ゲンダイ 8/28)
県によると、6月から8月中旬までに確保した計7万2800回分のモデルナ製のうち、280回分から異物が見つかった。そのうち190回分は、7月末以降に供給された「3004667」。6~7月末に届いた90回分は全くの別物なのだ。
「『3004667』とは別のロットだったことは間違いないが、具体的なロット番号は把握できておらず、公表できない」(県ワクチンチーム)(日刊ゲンダイ)
8/28 沖縄県が見合わせ対象とは異なるロットのモデルナ製ワクチンの異物を発見。(共同通信 8/28)
8/29 沖縄県がファイザー製ワクチンの異物を発見。(NHK 8/29)
8/29 群馬県がモデルナ製ワクチン(未開封)の異物を発見。(時事通信 8/29)
8/30 男性Bの両親がTBSのインタビューに応じる。(TBS 8/30)
8/30 群馬県の異物発見事案について、厚生労働省が容器のゴム栓の破片の可能性が高く、安全性などに問題はないとする調査結果を公表。(厚生労働省)
8/30 獨協大学(埼玉県)がモデルナ製ワクチンの異物を発見。(共同通信 8/30)
8/31 神奈川県がモデルナ製ワクチンの異物を発見。(共同通信 8/31)※9/1に調査結果発表
これまで判明した事実関係(9月)
9/1 関西学院大学(兵庫県)がモデルナ製ワクチンの異物を発見。(日経新聞 9/1)
9/1 厚生労働省が使用見合わせロットの異物について製造機器の破片(ステンレス)だったと発表。(厚生労働省)
粒子状物質の性質の初期評価
モデルナ社が委託した独立調査機関によると、ロット番号 3004667 のバイアル内から得られた粒子状物質を詳細に分析した結果、その粒子状物質が 316 ステンレススチールであると同定されました。これは上述の原因に関する調査結果と一致しています。316 ステンレススチールは、製造や食品加工の際に一般に使用されるハイグレード(高品質)のステンレススチールです。
医療上の安全性の評価
当社およびモデルナ社が医療・安全性上の評価を行った結果、モデルナ社製ワクチン薬液内にステンレススチールがごく少量存在したとしても、被接種者の健康・安全に過度のリスクをもたらすことはなく、また、ワクチンのベネフィット・リスク評価に悪影響を及ぼすことはありません。注射針を通過できる大きさの粒子状金属が仮に筋肉内に注入されてしまった場合、接種された局所における反応をひきおこす可能性がありますが、注射部位以外での副反応を起こす可能性は低いと考えられています。ステンレススチールは心臓の人工弁や関節置換、金属製の縫合糸やステープルなどの医療機器に用いられています。このことから、当該ロットで見つかったきわめて小さな粒子状金属が仮に筋肉内に注入された場合でも、医療上のリスクが増大する可能性は低いと考えられます。
ワクチン接種後の2件の死亡事例の調査
現時点では、これらの死亡事例とモデルナ社製ワクチン(ロット番号 3004734)接種の因果関係があることは確認されていません。現在のところ相互の関係なく偶発的に生じたものと考えられます。今後、因果関係の有無に関する正式な調査を実施していくことが重要と考えます。両死亡事例の調査は、最優先事項として緊急性および透明性をもって誠実に進められています。 (武田薬品工業)
9/1 武田薬品工業も使用見合わせロットの異物について調査結果を発表。(武田薬品工業)
ワクチン接種後の2件の死亡事例の調査
現時点では、これらの死亡事例とモデルナ社製ワクチン(ロット番号3004734)接種の因果関係があることは確認されていません。現在のところ相互の関係なく偶発的に生じたものと考えられます。今後、因果関係の有無に関する正式な調査を実施していくことが重要と考えます。(武田薬品工業)
9/1 神奈川県で発見された異物(8/31)について、厚生労働省が製品のゴム栓様の破片で、製造工程において異物混入が発生した可能性が高いと発表。(厚生労働省)
9/2 厚生労働省が異物発見時の対応について、使用見合わせは「同「一接種会場にて、同一ロットの複数のバイアルに異物の混入を認めた場合」のみとし、それ以外の場合は使用見合わせは必要ない、との方針を自治体に通知。8月31日までの報告事例について以下のとおり発表。(厚生労働省)
本年8月 31 日までに、バイアル内に異物が混入していた事例は、
・ファイザー社ワクチンでは未穿刺2バイアル(注)、穿刺済(コアリング)
80 バイアル(出荷数 約 2,316 万バイアル)、
・武田/モデルナ社ワクチンでは未穿刺 22 バイアル(注)、穿刺済(コアリン
グ等)44 バイアル(出荷数 約 282 万バイアル(使用を中止した3ロット
約 16 万バイアルを除く。))
報告されている。(注:製品の品質には影響しないこと確認済)(厚生労働省)
9/4 男性Cの死亡事案について、企業から厚生労働省に一報。(厚生労働省)
9/6 厚生労働省が使用見合わせロットのワクチン接種後死亡事案1例(男性C)を発表。死因・接種との因果関係についてはいずれも「情報収集中」とした。(厚生労働省)
9/6 日本ワクチン学会が異物混入問題について見解を発表。
「異物が混入したワクチン製剤が納入されることやそのワクチンが接種されることはあってはならないことであり、本学会としては大変残念な事案であると受け止めます」「ワクチン接種後の死亡事例に関しては、剖検の結果なども含めて厚生労働省から因果関係の検討に関する詳細を早期に公開していただくことを要望いたします」などとコメントした。
異物が金属であった場合、ステンレススチールの微小片が接種されたとしても、接種部位の筋肉内でマクロファージ等の細胞に貪食されて炎症反応を起こし、その後は極めて小さな肉芽腫となって、全身的な症状を起こす可能性は低いと考えられます。これは、アルミアジュバントを含むワクチンを接種した際に金属であるアルミを貪食した細胞が残って肉芽を形成する場合があるという病理組織学的解析の研究から推察されます。
また、一般的に金属によるアレルギーは遅延型の反応であり、接種直後に認められることの多いアナフィラキシーの原因となる可能性は低いと考えられます。
異物がバイアルのゴム栓であった場合、アナフィラキシーとの関連が知られているラテックスはファイザー社製もモデルナ社製も製品として用いられておらず、やはりアナフィラキシーを引き起こす可能性は極めて低いと考えられます。(日本ワクチン学会)
9/7 武田薬品工業が使用見合わせ対象ロットの接種後死亡3例目の事案について、コメントを発表。
現時点では、これまでの死亡事例とモデルナ社製ワクチン接種の因果関係は確認されておらず、また、このワクチンが健康被害や重大な安全上のリスクをもたらすことを示す根拠は認められていません。
9/12 神奈川県鎌倉市内でファイザー製ワクチンから白色浮遊物を発見。(9/13 鎌倉市)
9/11〜14 神奈川県相模原市内でファイザー製ワクチンから白色浮遊物を発見(3会場、6接種分)。(9/14 相模原市)
9/15 大阪府堺市内でファイザー製ワクチンから白色浮遊物を発見。(9/14 堺市)
9/15 ファイザー社が白色浮遊物の発見事案についてコメントを発表。(9/15 厚生労働省)
コミナティを希釈する前の液に、製品の成分による白色 の浮遊物が見られることがございます。こちらは希釈し溶解した場合、問題なくご使用いただくことができます。 製品由来の白色浮遊物につきましては、安全性に問題ございません。
現在、ロット番号「FF5357」について、複数の自治体様より白色浮遊物に関するご相談をいただいており、当該バイアルをお預かりして弊社にて調査を行っております。本件につきましてはご心配をおかけしておりますので、調査結果は速やかに公表し厚生労働省にご報告いたします。
なお、本ロットにおける副反応報告の状況等から安全性への懸念は現時点で認められておりません。
9/17 ファイザー社は白色浮遊物の発見事案(相模原市、鎌倉市、堺市)について「製品由来のものであり、安全性に問題がないことを確認した」との調査結果を発表。(厚生労働省)
当社は、異物混入の報告のあったロットのほか、厚生労働省の判断に従い、同じ時期に同じ製造ラインで製造された2ロットを疑いのあるロットとして、計3ロットの使用を見合わせました。当社は、使用を見合わせた3つのロットにつき、9月2日より自主回収に着手しています。なお、現時点で、今回の不幸な死亡事例に関連するロットの製品については、未使用バイアルの粒子状異物に関する品質情報は報告されていません。(武田薬品工業)
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