第5波で20代以下の重症化率は0.05％　大阪府が年代別に集計（10月4日更新）

　デルタ株が広がった第5波で若年感染者は大幅に増えたものの、重症化リスクはほとんど変わらず、極めて低い水準であることが、大阪府の年代別重症例の集計結果（9月24日判明分まで）でわかった。
　10代以下の陽性者は2万1403人で、重症化例は4人（死者1人）、重症化率は0.019％。20代の陽性者は2万5827人で、重症化例は21人（死者なし）、重症化率は0.081％となっている。
　大阪府では第3波〜第5波の約11か月間で、20代以下の陽性者は7万6千人に上っているが、死者は2人にとどまっている。
　年代別重症化例のデータは、大阪府が随時まとめて公表している。東京都は公表しておらず、全国レベルのデータもないため、貴重なものだ。
　現在新型コロナワクチンの接種対象は満12歳以上とされている。接種のベネフィットとリスクを比較するうえで、参考になるかもしれない。

　大阪府は、この集計における「重症例」を「『重症病床におけるICU入室、人工呼吸器装着、ECMO使用』のいずれか」になった場合と定義している。
　9月28日の新型コロナウイルス対策本部会議で公表された資料をもとに、表に整理した。欠落している情報は（公表資料では、重症例や死亡例のない年代の陽性者数が省略されている）、大阪府の担当者に直接聞き取りして補充した。

　いくつか留意点がある。
　第一に、第3波、第4波、第5波の時期的区分は大阪府によるものである。
　第二に、大阪府では、第4波で医療提供体制がかなり逼迫したこともあって、若年者を除く各年代の重症化率、死亡率が上昇したことである。
　第三に、重症例には「中等症」（酸素吸入が必要な患者）の人数は含まれていないことである。本来は酸素吸入が必要な中等症になる割合も見たいところであるが、大阪府は中等症者数に関するデータを出していない。公表している一部自治体のデータからは、重症者の10倍前後はいるとみられるので、留意されたい。
　第四に、ワクチン未接種者、１回接種者、接種完了者の割合は不明であるが、大阪府によると、接種完了後に発症した者の割合は非常に小さく、現時点で判明している感染者の大半が未接種者とみられることである。（大阪府の資料参照）
　第五に、第5波はまだ終わっておらず、今後、重症例・死亡例の追加発表により重症化率・死亡率が上昇する可能性が残っていることである。府の発表データが更新された場合は、すみやかに本文や表も更新する予定である。
　第六に、大阪府の用語に従って、陽性者数に占める重症例の割合を「重症化率」、陽性者数に占める死者数の割合を「死亡率」と表記した。

（9月21日、加筆・表の一部訂正。10月4日、データ更新による差し替え）

初報（9月19日）

　デルタ株が広がった第5波で若年感染者は大幅に増えたものの、重症化リスクはほとんど変わらず、極めて低い水準であることが、大阪府の年代別重症例の集計結果（9月6日判明分まで）でわかった。
　10代以下の陽性者は1万6872人で、重症化例は3人（死者なし）、重症化率は0.018％。20代の陽性者は2万2328人で、重症化例は17人（死者なし）、重症化率は0.076％となっている。
　大阪府では第3波〜第5波の約11か月間で、20代以下の陽性者は7万人近くに上っているが、死者は1人（20代）にとどまっている。
　年代別重症化例のデータは、大阪府が随時まとめて公表している。東京都は公表しておらず、全国レベルのデータもないため、貴重なものだ。
　現在新型コロナワクチンの接種対象は満12歳以上とされている。接種のベネフィットとリスクを比較するうえで、参考になるかもしれない。

（以下、同）

大阪府の年代別重症化率・死亡率

【訂正】「第5波」の死亡例合計、「第3波〜第5波の合計」の表の陽性者数・死亡例合計に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。表を差し替えました。(9/21)

【更新】大阪府が9月24日判明分までのデータを発表したため、「第5波」と「第3波〜第5波の合計」の表を差し替えました。(10/4)

大阪府の重症化率・死亡率の推移

大阪府の年代別人口（参考）

感染者に占めるワクチン接種完了者の割合（参考）

（大阪府新型コロナウイルス感染症対策本部会議の資料より）

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