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スナック通いで知った経営者の「器」の話

スナックで経営者の話を聞くのが好きだった

若いときのこと。出かけた先の温泉でたまたまスナックのママと知り合ったのをきっかけに、ちょくちょく彼女のやっている地元の店に顔を出すようになった。

そこは小さなスナックで、地元の会社の社長だとかが足しげく通う店だ。私はそのスナックでママの手伝いと称して、お茶を出したり、フードを出したりしながら、人々の話に聞き耳を立てるその時間がとても好きだった。

彼らの会話の大半は、仕事の話だ。

「どこの会社は今こんな状況で勢いがある」とか、「あっちの会社は大変そうだ」とか…。あるいは社内の人材の悩み、取引先とのいさかいの話。

そのスナックに身を置いていると、少しだけだけど世の中を理解できたような気がして、まだ若い私にとって、わくわくするひとときだったことを覚えている。

もちろん、田舎のスナックだから集まる人は「経営者」とはいっても土木や建設、不動産のような中小企業の社長が中心だ。もしかすると東京の人が想像する経営者像とはちょっと違っているかもしれない。

親の商売の話を自然に聞いていた子ども時代

思い返してみれば、私は両親、とくに父の話を聞くのがとても好きだった。

私の両親は地元で建設業と不動産業を営む経営者で、日常の会話はおのずと仕事の話に終始していた。人間関係の話、資金繰りのこと、理不尽な法律について、これからの時代がどうなるのか…などなど。

小さなころから親とほかの会社の社長さんの会食に同席させてもらうことも多く、経営者の輪の中で、仕事の話をするのが自分の中では普通のことだったのだ。

少し大人びた考えをしていたからか、地元の同年代の子とはなかなか話が合わなかった。このことも、私がスナックに居場所を求めた理由の一つかもしれない。(幸い容姿にも恵まれていたので、お客さんたちにもよくかわいがっていただいた)

今でも、経営者の集まりの中で、何の気負いもなく普通に話せているのは、こんな経験があったからだろう。いろいろな経営者の方と分け隔てなく仕事の話をできる力は、私の財産だ。

チームを組まなければ会社を大きくすることはできない

地元の経営者の中でも、うまくいっている人、うまくいっていない人の差は歴然としていて、そこで私が気が付いたのは「同業者をライバルと思わず、仲間とした人ってすごく強い」ってことだ。

なかには同業者に対して「あの商売敵には絶対勝つ!」みたいな勢いがある人もいるけれど、普通に長く商売を続けていられる人は同業者を「仲間」という目で見る人だ。建設でも不動産でも、一緒になって地域のその業界を盛り上げようとするスタンス。

「あいつには絶対勝つ!」タイプの人は、自信があるようで、自信がないんだと思う。それで会社が大きくなっているのであればすごいと思うけど、はじめは勢いがあっても、人の力を生かしきれなくて、長続きしないことが多い。

一人でできることには限界がある。会社を大きくしようとするのであれば、いつかはチームを組まなければならない。天才タイプであれば、部下はトップの話をうんうんとよく聞いてくれる人ばかりが集まり、トップダウンで経営が進むんだろう。でもそんな天才経営者なんてそんなに多く存在するわけじゃない。

サンプル数は少ないかもしれないが、ヴェレ調べによれば、着実に企業として成長していけるかどうかは、社内に対しても、社外に対しても「助け合って大きくしていこうよ」いえる経営者の存在によるところが大きいのだと思う。

言ってしまえば「社長の器の大きさ」ということだろうか。

投資業も同じだと思う。横のつながりを大切にして、みんなでわいわいとアウトプットしながら、助け合って成長していきたい。

だから、「みんな仲良くしようや」というのが私からのメッセージ。

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