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カメラを持っているサッカーファンに向けて、素人からのアドバイス

内容はタイトルの通り、カメラを持っているサッカーファンに向けて、カメラで「もうちょっとだけ上手く撮影ができるようになるためのアドバイス」をまとめてみたいと思います。個人的な意見は出来るだけ取り除いて、一般のカメラに関する知識を中心に書いてみたいと思います。

レベルとしては「設定はオートで撮影をしているけど、ナイターになった瞬間にブレブレになって写真が撮れなくなってしまった」というような、カメラはとりあえず持っているけど細かい設定等は分からないという方を想定してます。

私自身もカメラにはそこまで自信がある訳ではありませんが、最近は自分の中で納得のいく写真も撮れるようになってきたというのと、こういう記事をまとめている人が少なかったので、せっかくならと思いこのnoteの執筆に取りかかっています。

カメラ好きの方からすると「おいおい、これも知らなきゃいけないじゃないのか」と思う部分もあるかと思いますので、コメント等で補足を加えていただけると有り難いです。



大事な言葉:「シャッタースピード」と「ISO感度」

まず、この二つの言葉は絶対に覚えておきましょう。この2つをざっくりでも理解しておくことで、サッカーの写真を撮る楽しさはさらに倍増します。

今回は細かいロジックには触れませんし、私も100%理解している訳でもないので、「こうしたらこうなる!」というようなざっくりした説明でまとめさせていただきます。


まずは「シャッタースピード」から。

シャッタースピード(「SS」と略されることもある)とは、簡単に言えば「写真がブレないようにするためのもの」です。

一応、以下にシャッタースピードについてのNikonからの解説も載せておきます。

シャッタースピードとは、シャッターが開いている時間のことです。
シャッタースピードは1秒、1/2秒、1/4秒・・・1/250秒、1/500秒のように表します。

https://www.nikon-image.com/enjoy/phototech/manual/04/03.html

シャッタースピードを速くすればするほどブレない写真が撮れます。上の解説で言うと「1/500秒」というような分母の数が多ければ多いほど速くなります。

色々な定説はありますが、サッカーの写真撮影において「1/800秒」以上のシャッタースピードが速くなれば基本的にはブレない写真が撮れると言われています。Googleで検索したらそう出てきました。個人的には1/600秒でもブレ覚悟であれば撮れるのかなという印象です。

そう聞くと「じゃあ、シャッタースピードは速くできるなら速くした方がいい?」と思ってしまいますが、基本的にはそうです。ただシャッタースピードを上げることで弊害も出てきます。それは写真が暗くなるということです。

シャッタースピードを速くすると、カメラの「カシャ」という撮影音が「カシャ!」というように間隔が短くなります。

※自分が持っているカメラで試してみてもいいでしょう。シャッタースピードを「1/80秒」で設定して適当な場所を撮ってみた時のシャッター音と、「1/800秒」で撮影した時のシャッター音は全然違うと思います。「1/80秒」の設定で撮影した時の方が明らかに遅くなるはずです。

写真をブレないようにするためにシャッタースピードを上げると、それに伴って写真も暗くなってしまうのです。

そのため、シャッタースピードとはこういうものだと認識してください。

「シャッタースピードは速くできるなら速くしたいけど、速くしすぎると写真が暗くなってしまうから、いい感じの数値で収めるもの(理想は1/600秒以上)」

実際の写真を見てみましょう。

1/640秒で撮影

↑シャッタースピードを1/600秒より速く設定して撮影をしているので、ブレずに撮影ができています。

1/1600秒で撮影

↑この写真はさらに速く1/1600秒で撮影したものです。日中で晴れていたこともあって、かなりシャッタースピードを上げられたので、走りながらハイタッチしている選手をバッチリ撮影することができています。

1/800秒で撮影

↑スタジアムが曇りがかっていてやや暗い時に1/800秒で撮影した写真がこれです。シャッタースピードを1/800秒まで速くした代わりに、写真が暗くなっているのが分かると思います。

「ブレない代わりに写真が暗くなる」というのがシャッタースピードです。


これらを踏まえて次は「ISO感度」を見ていきましょう。

「ISO感度」は「イソカンド」と読む場合が多く、人によっては「アイエスオーカンド」と読んだりもするそうです。Nikon公式では「イソカンド」と呼ばれています。

ISO感度は簡単に言うと「画像はちょっと荒くなるけど、明るさを得られるもの」という諸刃の剣のようなものだと思ってください。

「ISO(いそ)感度」とは、撮像素子で捉えるその光の量を数値で表したものです。よく、“ISO感度を上げる”という言いかたをしますが、それは撮像素子で処理できる光の量を増やす=電気信号が増幅されるということです。単純にISO感度の数値を2倍にすると、電気信号も2倍になります。

https://www.nikon-image.com/enjoy/phototech/cameralesson/lesson08.html

ISO感度は最低数値が100からが一般的で、上げていけば数万、十数万とかまで上げることができます。そして、ISO感度を上げることで写真を明るくすることができます。

先ほど出てきたシャッタースピードは速くすれば速くするほど写真が暗くなると言いましたが、それで暗くなってしまった分をISO感度で補正することができるという訳です。

Nikonの公式サイトが良い比較画像を作っていたので引用してみます。左の写真はシャッタースピードが1/80秒、右は1/1000秒。シャッタースピードは分母が大きければ大きい方はブレない写真が撮れるので、右の写真がピタッと止まっているブレのない写真が撮れていますね。

Nikon公式サイトより引用:https://www.nikon-image.com/enjoy/phototech/cameralesson/lesson08.html

ただ右の写真はシャッタースピードを速くしているのにも関わらず、右の写真と明るさがほとんど変わっていないことに気がつきませんか。これはISO感度で補正をして写真を明るくしたという訳です。

ここまで説明すると「じゃあ、ISO感度は上げられるだけ上げればいいじゃないか」と言いたくなる気持ちは分かります。その通りです。ただISO感度には「上げればあげるだけノイズが目立つ」という欠点があります。

実際の写真を見てみましょう。

ISO感度:3200/シャッタースピード:1/500秒

↑これはISO感度を3200という数字まで上げた写真です。拡大をしてみるとかなり粗が目立ちます。

拡大したもの

逆にISO感度を上げすぎてない写真はどうなるのかも見てみましょう。

ISO感度:400/シャッタースピード:1/1000秒

笑顔の田中桃子選手の写真です。素敵な笑顔。これを拡大してみましょう。

拡大したもの

その違いは明白ですね。スポンサーロゴも綺麗に見えています。選手の立ち位置の問題も確かにありますが、ISO感度はこういうものと捉えてください。

「ISO感度は上げれば写真が明るくなるけど、上げすぎると写真のノイズが乗るもの」

(補足:1)このISO感度については持っているカメラの性能によって大きく変わってきます。例えば、ISO3200で撮影してノイズがかなり酷くなるものもあれば、ISO12800まで上げてもノイズが目立ちにくい写真が撮れるものもあります。それは基本的に本体性能によって変わってくるものなので、エントリークラスのカメラだとISOを上げすぎると見てられないぐらいのノイズが乗ることがほとんどです。そのためISO感度の調整は自分の求める写真のクオリティに応じて出来るだけ抑えることは意識しておいても損はないと思います。

また、ISO感度を下げるメリットとしては「切り抜いても綺麗に見える」という点があります。サッカーの写真を撮影する時には、どうしても「よりアップにした写真に編集したい!」という場面がでてきます。

その時にISO感度を低く設定して撮った写真だと、切り抜きをして拡大した写真にしたとしてもノイズが目立ちにくくなります。


機材の話:レンズについて

さて、2つの重要な言葉を学んだところで簡単に機材の話です。

サッカーを撮影しようと思うと、最低でも焦点距離が200mm以上の望遠レンズが必要になります。大体はカメラを買った時に付いてくるであろうズームレンズがあれば、最初の段階は大丈夫だと思います。

もし予算に余裕のある方はもっと長い望遠レンズを買ってみてもいいかもしれませんね。

ISO感度:3200/ シャッタースピード:1/400秒で撮影

例えば、西が丘サッカー場を例に出すと、上の写真は焦点距離460mmで撮影しています。この辺りの長さのロジックは難しいので「そういうもの」と理解する方が早いと思うのですが、焦点距離が最長500mmのレンズを使うと逆サイドのピッチに立っている選手まで撮影ができてしまうということです。

逆に200mmというと選手がこちらのスタンドに挨拶に来てくれた時、目当ての選手がピッチの手前側でプレーしている時などのように、撮影の幅はかなり狭くなってしまいます。

180mmで撮影

だから、カメラ好きは沼にハマっていくんですね。

もし予算に余裕がある場合には、より遠くを撮影できるレンズを購入してみるのも検討ください。


実際に撮影をしてみよう

まず撮影をするにあたって考えたいポイントはいくつかありますが、まず重要なのが席選びです。

私は考えるのがあまり得意ではないので何回かスタジアムに行きながら慣れていくようにしているのですが、日光を背に向ける座席選びをするといい写真が撮れることが多い気がします。

カメラを持ってから一番最初に「光」とどう付き合っていくかみたいな部分はとても重要で、光に向かって逆光状態で撮るのか、光を背に向けて順光状態で撮影するのかで写真の出来栄えは180度変わります。

サッカーの写真においては被写体を目立たせる意味でも順光(光に背を向けるところ)で撮影するのが良いと思います。

また、実際の撮影に関しての構図や光の使い方みたいな部分については、Jリーグが出しているこのページが参考になります。

今回話題にしたいのは撮影シチュエーションと設定についてです。

まず、デーゲームなのか、ナイターゲームなのか、晴れているか、曇っているか、曇っているなら照明は明るいかといった外部環境。また、自分の持っている機材の限界のチェック(どこまでISO感度を上げてもノイズが目立たないか、レンズはどこまで望遠できるものかなど)等の内部環境の把握が必要です。

それらを複合的に計算して、その場にあったシャッタースピードとISO感度を設定しましょう。

あえてここで言うのですが、設定は「絞り優先モード」にしてください。

Nikonのカメラの場合は上部リングをAに合わせる

絞り優先モードにすることで、シャッタースピードとISO値に応じて「絞り」というレンズに深くこだわっている人以外には難しい&あまりこだわる必要のない設定を自動で最適なものにしてくれるからです。

あくまで今回はISO値とシャッタースピードを触って良い写真を撮れるようになることが目的で、さらにカメラに課金をしたくなったタイミングで絞りは勉強をすれば良いと思います。

興味がある人向けにNikon公式サイトの絞り値のページを貼っておきます。

さて、まず晴れていた時はISO値は100〜400ぐらいの数字に固定しましょう。そこからシャッタースピードを1/1000秒ぐらいに設定し、芝生などを適当に撮影して明るさが正常かどうかを見極めましょう。もし問題なければそのまま撮影開始、もし暗かったらシャッタースピードの速さを1/800秒を限度に落とすなどの対処をしましょう。逆に明るすぎたらシャッタースピードをさらに速くしましょう。

逆に曇っていたり、ナイターだった時が大変です。こちらは逆にシャッタースピードを1/800秒に設定して、そこから最適なISO感度に上げていきましょう。「適切な明るさかな?」と思ったらそこで打ち止め。もしISO感度を上げすぎてノイズが目立つようになってきたら、シャッタースピードを1/600秒、1/400秒と遅くしていって、ブレる可能性が高くなる代わりに明るさをとるという選択肢もあります。

以前の私のケースで考えてみると、こうなります。

西が丘サッカー場のナイターなので照明はあまり明るくない。そしてピッチの中央あたりは光があるものの、ピッチの端になると撮影が厳しい…。そして、手持ちの機材はあまりISO感度をあげられない(ISO3200を超えるとノイズが目立ちだすから)という状態だったので、ISO感度は3200で固定して、シャッタースピードを1/400秒まで落としつつ、動きのある状態はあまり撮らないようにしよう。

というような感じです。シャッタースピードとISO感度を調整するだけで、どんなサッカー環境においても対応可能になります。

他にも持っているカメラがISO値をかなり上げても問題なさそうだったら、グイグイ上げて、ブレないようにグイグイシャッタースピードも上げてもらっていいと思います。それは自分の手元にある機材と相談して決めていきましょう。

そして試合が始まったら早速選手の写真を撮影してきましょう。ありがちなのが「選手が近くに来た!」と思ってカメラを構えてしまうことがあるのですが、これはあまり良くない判断だと思います。

選手は基本的にピッチの中央を向いていることが多いので、「選手が近づいてくるところを撮る=背中側しか撮影できないことが多い」ということになります。出来るだけ遠くの選手の写真を撮るようにすると、選手の表情を捉えられるような迫力のある写真が撮りやすいです。

あえて背中の10番を目立たせたい時などは、近づいた時を撮るのもあり

あとは選手を撮影する時に、背景がボケていた方がより被写体が目立って、お目当ての選手の写真がより綺麗に撮影できます。

ただ背景をボカそうとするなら、最も手っ取り早いのが「いいレンズを買う」となってしまうのですが、それだと元も子もないので撮影をする時の工夫を紹介します。

それは「選手と背景の距離感をとる」ということです。

例えば、この写真を見てください。

中央の選手以外が大きくボケているのが分かると思います。それでは続けて次の写真も見てください。

選手たちの背景があまりボケていないことが分かると思います。

この違いは「選手(被写体)とその背景との距離」がポイントです。

1枚目の写真は、ピッチ手前側にいる選手にピントを合わせたら、その背景はピッチを挟んで遠くにあるスタンドになります。

逆に2枚目の写真は選手たちが後ろを振り向けばすぐにタッチできてしまいそうな位置にある壁が背景になっています。

つまり、撮りたいものとその背景になる部分を遠くすればするほどボケやすくなると言うことです。

そのため、以下の図をご覧ください。

B地点から写真を撮影すると、背景が選手のすぐ近くの芝生になってしまうのでボケにくい、逆にA地点から撮影すると逆側のスタンドを背景にできるのでボケやすくなります。

そのため、よりピッチレベルに近いところから写真を撮った方が迫力のある良い写真が撮れます。だから、カメラ好きの人たちは最前列をどうしても取りたがる訳です。


編集をする

ぶっちゃけ撮影をミスっても、ここでリカバリーできることはかなり多いです。例えば明るさについても「シャッタースピードを速くしすぎて暗い写真が多くなった」「スマホに送信してみたら思っていたよりも暗かった」という時には編集でなんとかなる場合が多いです。

極端な例だけをお見せすると、「撮影した写真があまりにも暗かった!」という場合にも、編集をしたらなんとか見られる画像にはなりました。

編集:ビフォー
編集:アフター

他にもよりアップにする編集や画像の色味を調整したりなど……編集においては考えることがありすぎるので、私は逆に明るさを調整するぐらいの編集しかしていません。

個人的な意見ではありますが、この編集については好きなようにやるのが一番いいのですが、WEリーグの公式アカウントがやっているようなかなり個性的な色味は素人がやると安っぽくなるように見えてしまうので、最初はまず写真を明るくする編集から始めた方がいいんじゃないかと思います。

そこでよく使われるソフトといえば天下のアドビの「Lightroom」という写真編集ソフトです。

有料モードなどもありますが、ひとまずは無料の範囲内で色々とできてしまうので写真をここに取り込んでから、いろいろと触ってみるというのを繰り返してみてはいかがでしょうか。


最後に

こんな大雑把な伝え方をしてしまって、カメラ好きの方々に殴られてしまわないか心配ですが、素人のカメラ好きからのサッカーの写真撮影に重要なことは以上のポイントになると思います。

注意をして欲しいのはスタジアムによっては望遠レンズは使用禁止とされているところがあったり、リーグやチームによっては写真のアップロードが禁止されているところもあります。

WEリーグはこのガイドラインを定め、より多くの人にWEリーグを知ってもらえるようにと動画撮影は禁止、ただ写真は撮影・アップロードが許可されています。

こういった決まり事はしっかり守った上で写真ライフを楽しく過ごしていきましょう。

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