仮想現実(バーチャルリアリティ)が一般的な観光に替わることができるのか
バーチャル = 仮想
この概念はすでに一般化しているのではないでしょうか。昨年まではゲーム世界においてのバーチャル通貨ぐらいが主体であったように私は感じていました。今年はコロナ禍においてオンライン(ZoomなどでのWebを使用した)による会合が一般化しました。そんな中、部屋を映したくないなどの理由から使用されるようになったのは、バーチャル背景ではないでしょうか。別の所の風景やイラストを背景に使用したことのある人、またしている人を目にする機会も多かったかと思います。バーチャルというのは、現実には "無い" ものを "有る" と認識させることをいいます。
バーチャルリアリティ = 仮想現実
バーチャルリアリティと聞くと、映画『マトリックス』や、近年では『サマー・ウォーズ』などを思い出す方も見えるでしょう。フィリップ・ディックのSF小説にもよく取り上げられるテーマです。しかし実際にそのバーチャルリアリティの世界を体感しましたという方は、テーマパークがお好きな方、ゲームが好きな方に限られてしまうのが今の日本ではないでしょうか。
映画館での3D映画は仮想現実と何が違うのか
映画館の3D上映も一つのバーチャルリアリティの技術です。バーチャルリアリティに対する技術は、いくつかに分けられて開発が進んでいます。人の目が物を立体と捉えるためには、右目・左目の左右の目における視差を脳内で結合する際に、立体と認識します。この視差がなく同一と判断されたものは平面であると認識します。※だまし絵・アートトリックのように影をつけることで脳が立体認識するものとは異なる脳の働きです。話が混乱しやすい為、ここではだまし絵・アートトリックの話は持ち込みません。
映画館の3D上映も、この視差を用いて撮影した映像を専用の眼鏡を通して見ることで立体認識した映像として捉えることができるバーチャルリアリティの一つの技術です。
バーチャルリアリティ = VR のほかに・・・
バーチャルリアリティはVRと略します。このVRの技術の使い方により複数の技術名称で呼ばれています。
本来VRであるバーチャルリアリティ: 仮想現実は、リアル : 現実とは異なる視覚・聴覚・触覚などの五感をコントロールする技術の総称です。
しかし現代は技術開発を行っている最中であるため、その技術を享受できるツールや、開発したメーカーにより以下の技術概念にわけて呼ばれています。
VR(Virtual Reality:仮想現実) / AR(Augmented Reality:拡張現実) / SR (Substitutional Reality:代替現実)/ MR(Mixed Reality:複合現実)
xR (多様な新しい現実)
とはいえ、技術の話はここまでにしておきます。
実際にVRを体感するため、使ってみた
筆者は過去にもVRゴーグルを体感したことがあったのですが、その時は正直「まあこんなもんか」でした。画像を見ているという感じ(画面のぶつぶつが気になる)が抜けきらず、それなのに映像酔いが襲ってくるという嫌な印象でした。
今回2020年10月5日に販売されましたOculus Quest2を体験したところ、過去の嫌な印象は払拭されました。まず画像がとても綺麗。すっと中に入る感覚です。和室から庭を見回すことができます。和室の画面を見ているというよりは、和室にいて富士山を望む景色の中に居ると感じられます。
まさに仮想で作られた和室の中に、自分が居るという仮想現実を体感することができました。
この和室の中にいると、デジタルで作られた和室であることはわかるのですが、映像を見ているという押し付け感はなく、自然に "ほっ" と、落ち着く空間に居ることを感じているという印象です。
バーチャルリアリティで観光は出来るのか
現在いくつかの観光を意図した360度映像が配信されています。これはVRゴーグルをはめ、その映像を再生することで空、台地を含め周囲をすべて見回すことができる映像です。
その映像の中に居ることで、その場所に居るような印象を持つこともできるでしょう。しかし映像である以上、自分が興味を持った所に近寄るといった個人の意図を反映させることまでは出来ません。
まるで逆らうことの出来ないバスガイドの案内通りに、観光地をめぐっている状態になります。始めからバスガイドに案内をしてもらうツアーに参加しようと思いながら、その映像に入る場合には観光を最後まで楽しむことができるでしょう。
しかし個人旅行に馴れている人が、この強制的な案内ツアーに参加させられたとすれば、観光を最後まで楽しめない可能性もあります。
自由に動き回れる観光をバーチャルリアリティで行うには
このためには、自分の興味のある方向に動いても、それに対応できるように仮想現実の空間を作り込む必要があります。作り込みが必要である以上、少し開発難度があがってしまうでしょう。これだと観光地が容易に「今すぐにやってみよう」とは成りにくいアイディアです。
では逆に実際の空間で行動した中で、仮想のガイドを自由に呼び出し説明を聞くことができるようにしたほうが、とても楽しめるかもしれません。自分一人では案内板を読むぐらいしか説明を得ることは難しいです。現地のボランティアガイドを頼むほどでも・・・といった場合には、より知りたいと思ったポイントでガイドを呼び出すことが出来るとしたらどうでしょう。
その御当地にあったキャラが、その地を説明してくれるとなると、興味を引く人も多いのではないでしょうか。
操作性(ユーザーインターフェイス)の変化への対応
360度の仮想空間において、どのような操作性が望ましいのか。またどのような操作性を一般的になるのか。これについてはまだ模索中です。
しかし動画をスタートして、一時停止などといった、昭和時代に開発されたビデオデッキを踏襲する。また同じくゲームボーイなどのゲーム業界で標準にしてきたABボタンの活用など未だアプリにより混迷している状態です。
しかし画面の中で邪魔にならない、またより楽しめるようにUX(ユーザーエクスペリエンス)を配置することで、より観光を楽しめるアプリを開発する未来が近いと感じています。
観光の未来とは
「仮想現実(バーチャルリアリティ)が一般的な観光に替わることができるのか」をテーマにしてきました。観光に向かった時、その場に居るという感覚はとても大事です。今のバーチャルリアリティでは、視覚・聴覚を使用したリアリティです。
現実のその場に行ったときの匂い・空気を感じられるような仮想現実による観光はまだ未来の開発を待つことになるでしょう。
しかし未だ新型コロナ(COVID-19)における社会的影響がある中、新しい観光への取り組みの一つとしてバスガイド方式のバーチャルリアリティはすぐにでも導入しても良いものの一つといえるでしょう。
近い未来に、好きなキャラクターと一緒に観光を行い、そのキャラクターに説明してもらえる日も来るでしょう。
ことほむ合同会社では、新しい観光の形をこれからも考えていきます。
見出し画像は、VRの医学教育への活用を推し進める「Lighthaus Inc.」。VRクリエイティブディレクターのDanny Bittman、Anna Krasner両氏などによって共同開発された『COLOR SPACE』を、筆者が利用している画面を切り取らせていただきました。※塗り絵の途中です。
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