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ジャン・チャクムルを見守り続けて・・・

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トルコの若きピアニスト、ジャン・チャクムル(Can Çakmur)の存在を知って以来、第10回浜松国際ピアノコンクール(2018)での優勝を経てさらに成長を続ける彼を応援していま…
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#白鳥の歌

コロナの時代の音楽家—ジャン・チャクムルTVインタビューから(1)

新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、コンサートホールで聴衆を前に演奏することで自らの音楽を伝えることを主要な仕事とする音楽家たちが、経済的な問題からだけではなく、演奏を理想的な形で披露できる環境と、自身の音楽を生で聴いてもらい聴衆の反応を直に感じることのできる機会が奪われた厳しい冬の時代を過ごしてきたことは想像に難くない。感染拡大が落ち着きを見せ始めたヨーロッパ各国が正常化プロセスに入り、音楽祭やコンサートが再開されるようになった雪解けの喜びも束の間、再びロッ

若き思想家―ピアニスト、ジャン・チャクムル(5)

(※以下の翻訳は、「アンダンテ」誌の発行人・編集長セルハン・バリ氏の許可を得て掲載しています。また、質問に相当する部分は必要に応じ要約してあります) ――現代におけるコンサートホールの出入りの激しさという話に戻れば、あのような制限された時間の中でソリストと指揮者の効果的な関係はどうやったら築くことができるか、というのがすぐに頭に浮かぶ質問の一つです。大抵の場合それ以前に互いのことを知らなかった指揮者とソリストが、1、2時間という時間のなかで会い、共通の立場で理解しあい、同じ