解離の症状を持ったまま働くには

最近、比較的調子がいいので、noteを書く頻度が増えました。(本当に単純な"わかりやすい"人間ですよね)
今日は、解離の症状を持った人間がどうしたら働けるかを自分の体験を踏まえて書いてみます。

解離とは

まず、解離といっても、いろんな症状があるので、ひとまず自分の症状がどんなものかを書きます。解離と聞くと、解離性同一性障害が思いつく方もいると思うのですが、私は多重人格ではありません。自分の症状は、現実感の消失と離人感です。自分の言葉で説明するより、こちらの記事が参考になるのでリンクをはります。今生きている世界が現実のように感じられなくなる瞬間が1日のうちで数回はあり、その際にものすごい恐怖感に襲われると、パニックで軽い過呼吸状態になります。加えて、自分に関する記憶が自分のものと感じられなくなります。解離状態のときは基本頭が回らないので、何も考えられなくなって、作業効率がガタ落ちします。実際、解離状態の時に書いたレポートの出来は、普段とはまったく違うものになっていて、自分でもその差に驚くことがよくあります。

正直、普通に生活に支障が出ているレベルなのですが、なぜかそう診断をされたことはありません。だから、表面上はそれなりに健康な人間としてのあつかいをうけています。

私は、今大学4年生で、いわゆる就活をしないといけないのですが、この状態で就活なんかできません。自分の状態が少なくとも健康ではないということを証明してくれるものが何もないので、就活時に配慮を頼んだり、それを前提として働ける会社を探すということができません。とはいえ、春からは社会人になって奨学金もなくなるので、就活をして、働く先を決めて生活を安定させないといけない、という状況に追い込まれてさらにパニックになったのが、今年の上半期でした。

かりに、就活ができない状態に追い込まれても、学校の友達みたいに就活を後回しするとか、みんなと同じ時期に就活しない、という選択肢があればいいのですが、それは、実家の存在がある人だけができる選択だと思います。普段、自分の境遇や生い立ちに関して、「こんな人生じゃなかったらいいのに」と思うことはほとんどないのですが、今回ばかりは、自分が里親家庭出身でなければ、社会的養護出身でなければ、と何回も思いました。

社会的養護出身者の自立支援の課題

里親家庭や児童養護施設を出た子どもたちが追い込まれる状況で一番厄介なのは、後回しや休むという選択をするのが難しいという点です。実際には、休んでもなんとかなるのかもしれませんが、休んでも生活がなんとかなるという確実な保証がない限り、私たちは休むという選択肢をそもそも考慮から外して考えます。

里親家庭や施設を出た後の方が、トラウマやフラッシュバックに悩まされる確率が高い一方で、実際にそうなったときの支援に当事者がアクセスできていないというのが現状です。だから、仮に在学中にPTSDになって、学業に支障が出るようになっても、休学をするという選択肢が現実的でないため、めちゃくちゃにしんどいなか学業を続けないといけないという状況に追い込まれます。実際、私はそのパターンでした。今でこそ、卒業に必要な単位もとれてなんとかなってますが、正直、すごくきつかったです。
加えて、仮に休学するとしても、その間の生活費や治療費は誰が出してくれるのか、という問題もあります。精神的にしんどいときは、すべてを放棄して休むのが一番なのに、それができない可能性が高いです。「社会的養護出身者は休めない」とは、そういうことです。

転機

話を戻します。
そんな自分が、就活をせずになんとか春から働き先を決めることができました。きっかけは、本当にささいなことでした。趣味として、HTMLとCSS(プログラミング言語)をちょっとだけ勉強して、簡単なホームページデザインをしたものを企業のIT部門で働く知り合いに見せたら、その企業のバイトとしてリモートで働かないかと紹介を受けたのです。
この話は、まさに渡りに船でした。解離の症状があってもなくても、どちらにせよ働くことにたいして明確なイメージを描くことができなかった自分は、よく知りもしない会社に履歴書を出して面接を受ける、という日本の就活スタイルに違和感がありました。実際、1次面接を受けた企業はいくつかあるのですが、どうにも馴染めなくて、全部落ちましたw 
そんな経験をしていたこともあって、働く前に、働くとはどういうことかのイメージをある程度は持っておきたかったのです。そんな動機もあいまって、その企業のバイト面接を受けたら合格したので、今年の春から週3でリモートバイトをしています。

どんな業務をしているのか

リモートバイト先の会社は、教育サービスを展開しています。私は、その会社が提供するデジタルコンテンツの品質を管理するチームにいます。といってもイメージが湧きにくいと思うので、具体的な仕事内容を書いてみます。例えば、①企業が新しいアプリやサービスを公開する前に、そのサービスがユーザーにとって本当に使いやすいものなのか実際に使って確認してみたり、②そのサービスにいわゆるバグがないかを調べたりしています。チームの仕事内容としてはこんな感じです。

今でこそ、なんとか馴染んで働いていますが、入社からなにから、全てがオンラインなので、はじめのうちは結構苦労しました。

会社での働き方

本社が今住んでいる地域とは遠く離れているため、フルリモートで仕事をしています。加えて、所属する部署がフルフレックス制度を採用しているため、フルリモート・フルフレックスです。ちなみにコロナの前からそういう働き方をしているそうです。

この働き方の良い点
「調子のいい時間帯は働き、調子の悪い時は休む」ができることです。常に解離している日もあるのですが、解離というのは基本断続的に起こります。だから、調子の悪い時間帯と良い時間帯というのがはっきり現れます。しかも、自分の場合は、あまりにもささいなことでそのスイッチが入ります。たとえば、カーテンをあける、電気をつける、スマホを見る、着替える、椅子に座る、料理をする、音楽を聞く。こんな些細なことで解離のスイッチが切れたり入ったりします。そして、それを予測できないので、仕事をしていて、急に現実感がなくなってパニックを起こす、ということもあります。でもリモート兼フレックスのおかげで、そういうときは作業を中断して休むことができます。加えて、解離が終わった後、座ることもしんどいほどのひどい脱力感に襲われることもあるのですが、そういうときは、頭は回っても動くことができないので、布団にもたれかかって作業をしています。解離の対処法として、姿勢を変える、というものがあるのですが、リモートワークだと、人の目を気にせずに好きな姿勢で作業ができるので仮に急に解離の発作が起こってもすばやく対処できます。

良くない点
ここからは、もはや解離じゃなくて一般的な話になるのですが...
会社の人とのつながりや、コミュニケーションがうすくなることです。でもこれは会社側の配慮と、本人の努力次第でなんとかなる点だと思います。
①会社側として望ましい配慮
・作業で不明点がある場合にいつでも質問できる場所を用意しておく
具体的なツールとしては、SlackDiscordなどがおすすめ。メールはやりとりに時間がかかるため推奨しません。LINEは公私混同してしまうのでこれもおすすめしません。)
チームのメンバー、もしくは上長が積極的にコミュニケーションをとるよう心がける
リモートワークをしている人が孤立感を感じないように、少なくとも2週間に一回は30分程度話す時間を設ける、など。こうすることで、相互理解が深まります。また、そのリモートワークをする側の働くモチベーションの維持にもつながります。

②本人の努力
・チームのメンバーに積極的に絡む
緊張してしまうのはわかりますが、オープンマインドでいきましょう。私は、どちらかというと人見知りをするタイプなのですが、リモートワークでその特技?を発揮してしまうと、確実に詰むと判断したので、チームのみなさんに積極的に話かけ、興味を持つことを心がけました。初対面で自分に興味を持ってくれる人を嫌う人なんてほとんどいません。だから、相手に興味を持つ(興味がなかったとしても興味を持っているフリをする)ことが大事だと思います。また、メンバー全員とある程度親しくなったほうが、チームで仕事をする際の仕事のやりやすさが全然違います。
・今から何をするのか、何をやっているのか、何をやったのかをできるだけ報告する
報告は頻繁にした方がいいです。そうすることでミスも減りますし、チームのメンバーとのやりとりも増えます。また、わからないことは絶対そのままにせず、質問することが大事です。わからないまま仕事をしたり、勘違いしたまま仕事をすると、そのひずみがあとになって地震を引き起こすことがあるので、どんな些細なことでも聞いておいたほうがいいです。

まとめ

つらつらと書いてしまいましたが、この記事で伝えたかったことは、
①社会的養護出身者は、精神疾患をわずらっても休めないことが多い。そしてそのための支援が不足している。支援はあるかもしれないけど、当事者はそのことを知らない。
②精神疾患があっても、リモートワークという働き方がある
③リモートワークで望ましい会社からの配慮、リモートワークをする側の心持ち

です。

ここまで読んでくださってありがとうございました。

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