「評価経済社会」あるいは「僕たちの洗脳社会」(レビュー)


これは良書であると断言できる本。我らがオタキング(岡田斗司夫)の傑作。そして、私の言語化力を高めてくれるきっかけとなった本。


未来予測をするとはどういうことか、その本質がこの本に書かれている!


しかも「僕たちの洗脳社会」は無料で全文掲載してくれている。


出典と紹介[「僕たちの洗脳社会」全文掲載]より
http://blog.livedoor.jp/okada_toshio/archives/51560970.html

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紹介とちょっぴり解説


大学での講義中、著者はある疑問を持つのです。「過去になされた未来予測はどうも的外れだ。なぜだろう?そして、今の私たちも、同じように的外れな未来予測をしているのではないか。」
そんなことを考えた時、今まで目にしてきた奇妙な未来予測が繋ぎ合わさり、未来予測の本質について迫っていくことになるのです。

以下1章の「百年前の未来」より引用 (画像は無し)


「十九世紀の終わり、アメリカ合衆国は最後のフロンティア・西部を開拓しつつありました。
下記の図は一八九二年に、そのアメリカで大ブームを巻き起こした新聞連載SF小説『フランクリード・ライブラリー』の表紙です。


当時の人々に夢と希望を与えた『フランクリード・ライブラリー』は世界最初の新聞連載SF小説といわれています。
「来るべき二十世紀は科学と技術の栄光に満ちあふれている」
その巻頭で『フランクリード・ライブラリー』は高らかに宣言しました。しかし、その来るべき未来の予測は今の目で見ると、とても奇妙なものだったのです。


ぼくたちの洗脳社会


まず主人公の少年フランクが発明したのは未来の馬車(!)でした。
高性能の蒸気機関で駆動されるこの科学と技術の奇跡「スチームホース」は、本物の馬の代わりにフランクを乗せた鋼鉄製の馬車を引っ張る、疲れず眠らず食べない理想の馬なのです。
フランク少年は西部の正義を守るために次々と新発明をしました。スチームホースの改良型、スチームマン(頭にかぶったシルクハットが煙突の役割)、蒸気機関の潜水艦、荒野仕様の大型馬車。
現実の世界では、蒸気機関のロボットや馬は結局、実現しませんでした。でも、当時のアメリカ人が科学や技術に対して持っていた夢や無条件の尊敬が読みとれて、微笑ましいといえます。」

「時は流れて一九〇〇年初頭。当時流行の科学雑誌には、こんな特集がよく掲載されていました。
「夢の機械化住宅——一九四〇年までにはすべての住宅にはエンジンが取り付けられ、主婦の仕事は編み物だけになる」
特集の中を見ると、まず派手なイラスト。
住宅の隣に設置された、その家よりも巨大なエンジンのイラストです。もちろん巨大なエンジンからは真っ黒な煙がモクモクと(!)噴き出し、一家の主と息子がその煙を頼もしそうに見つめている。
エンジンから伸びた巨大なシャフトが家庭の各部屋を貫き、高速で回転。シャフトに接続された複雑な歯車装置が、各部屋ごとの機械(掃除機とか皿洗い機、洗濯機、全自動編み物機)を動かす、という仕組みです。
で、すべての家事と編み物からも解放された主婦は、暖炉の隣の長椅子で小型エンジン付きタイプライターで母親に手紙を書いている。
「ねえ、お母様。最新型の機械化住宅って、とっても素敵よ」」

引用終


(他にも、当時熱々トピックであった「マルチメディア」に関する未来予測もありましたが割愛)
さて、これらの未来予測、何が変なのか。
それは、「できること」のみが変化して、「人々の価値観」には全く変化がないことだと著者は気付きました。
本来は、技術や科学など、社会に影響を与えるものが変化すれば、みんなの価値観も変わるはずなのです。しかし、今までの未来予測では、人々の価値観というものが全く論じられていない。「できる」と「したい」が違うのは、僕らが一番わかっているじゃないか。
「できること」ではなく、「人々のしたいこと」によって、社会は変化する。なぜなら、社会にあるサービス、施設、その他全ては、人々の需要に狙いを定めて供給されるから。
需要のないところに供給されることはない。もしくはされたとしても一時的なもの。
つまり、次第に人々の需要にあった形態へと変化していくということ。


(価値観には、人々が「したいこと」も含まれているから、そういった意味では価値観=需要と解釈して良いでしょう。)


つまり、今の若者の価値観を知ることで、約50年後の未来まで予測することができる。なぜなら彼らの需要が、株式会社だったり、サービスを作る人だったりの、今後の主なターゲットになっていくから。(経済活動に携わっていく主な要因となるため)
(そして、新たな革命がなければ50年後ぐらいに、再び価値観が変わり始める)
自分で、なぜオタキングが50年後まで予想できたのかを思いつけた!俺ってすごい!と思っていたんですが、がっつり本書に記載がありました。

以下、1章の「洗脳社会」より引用


「今から三十年後、現在の大学生が五十代になるころには、この本の中で述べる、新しいパラダイムが主流になっているはずで す。」

引用終


ショックです。愛で空が落ちてきます。


おしまいの話


「近未来では〇〇ができるようになる、使えるようになる」といった、「可能」の話は、質の低いかつ役に立たないような未来予測なのです。そんなものは、もはや未来予測とは呼べないほどお粗末なものです。
本当の未来予測とは、「近い未来、〇〇ができるようになる。その結果、人々がこのような考えを持つようになり、こんなことが起こる
人々の価値観(需要)の変化、そしてその変化によって起こることを含んでいるものが真の未来予測と呼べるのです。


んもぅ〜これが面白い面白い!「初めから終わりまでずっと面白いし、全ての文章に説得力がある。」良書の条件を見事に満たしています。そして驚くなかれ。この記事で述べたのは1章に書かれてあることのみです。本書は5章構成で、残りの4章は、1995年時点から約30年後までの未来予測についての考察が入っています。(現在2023年。ドンピシャです。)その内容を見事に言い当てており、ずっと読んでて面白い!
コース料理が全部肉なんです。
皆さん、読みましょう。というか無料だぞ!? 無料!


出典と紹介[「僕たちの洗脳社会」全文掲載]より
http://blog.livedoor.jp/okada_toshio/archives/51560970.html


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