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ツッコミの役割の言語化|どこに意識を向けてツッコめばいいのか?




お笑いとかバラエティーで上手いツッコミを見ると、「なんでこんなに上手いんだ、こんなツッコミしてぇ」って思いますよね。


今回は、そんなところから着想を得て、ツッコミの役割を言語化することによって、どういう意識をすればツッコミが上手くなるのかがわかるんじゃないかと思ってこんな記事を書きました。

結論 ツッコミの役割は、異常性(普通じゃなさ)の強調


結論から言うと、ツッコミの役割っていうのは、ボケのおかしさを強調することです。
つまり、ツッコミをする時は、「異常性をどう強調するか?」という方針を持つとやりやすくなる。

以下、例を交えて説明していきます。


そもそも僕らはどんな時に笑うんだろう? ①


そもそも上手いツッコミ=笑えるツッコミ なわけだから、僕らがどういう時に笑うのか、笑いの源泉をまず考えてみましょう。それが分かった時、ツッコミで何をどうすればいいのか明確になるはずです。


ということで色々考えた結果、僕らはいつも、「普通じゃないことが起こったと理解した時」に笑うという結論にたどり着きました。↓例
・・・①


大まかな全体図: 「変なことが起こる」→「それに気づく」→「変なことだと理解する」→「笑う」


例えば、いつもあなたが笑った時、それは普通のことで笑っていますか?それは違うでしょう。私達が笑うのは、日常か非日常で言えば間違いなく非日常の部分です。

例えば、「誰かが勢いよくこけたのを見た」、「友人が勘違いでバカなことを言ってきた」時に笑うことはあるでしょう。だけれど、常にそういうことが起こっているかと言ったら、それは違うでしょう。

決まり切った日常の中に笑いは無いんですね

より厳密に考えてみる ②

「普通」には、色々な指標が絡んでいる。(一般常識、想定、ネタの設定など)

例えば、「一般常識」の普通から外れたもの
「下ネタ」「品のない行動」・スタンドアップコメディの人種差別など、「差別的な言動」


人々の「想定・予想」から外れたもの
例えば、ダンス初心者がいきなり踊らされたらヘンテコな動きをしてしまうなど。
→本来の振り付けという「想定」からの逸脱。


その場その場の「常識」の普通から外れたもの
例 話の流れネタの世界観などから逸脱した発言、行動。

あと、全体図に「変なことだと理解する」って入れたのは本当に分からない例えとか出された時に笑えないよなって思ったからです。

上記のことを踏まえて

色々な指標が組み合わさって今の「普通」ができているのだから、人を笑わせる際には、今の「普通」がどこにあるのかに意識を向けて発言するべき。
・・・②


じゃあ、「あるあるネタ」って何よ?


これは、あるあると書いていてあるあるじゃないというやつです。オレオレ詐欺みたいなもんです。

俺だよ俺!(俺じゃない)


というのも、この「あるある」の部分っていうのは、「変な事例の中でもよくあること」っていう意味だからです。

例えば、ラーメン屋に入った時に、眼鏡を曇らせながらラーメンを食べてるサラリーマンがいるというあるあるネタがあるでしょう。(笑えるかどうかは別として)で、これが普通なのかって考えてみると、普通じゃないですよね。

というのも、店内全体で見た時に、眼鏡曇らせながらラーメン食べてる人が少数派であるからです。
つまり、あるあるネタの正体は、「変な事例の中でもよくあること」の紹介なわけです。

すると、あるあるネタというのは、割と頻繁に目にする変なことで、記憶されやすいものだから、みんなに経験があるおかしなことだから、笑えるネタとして成り立っているというわけ。(理解しやすい


ツッコミの役割とは? ③


そもそも、ツッコミっていうのは、相手(ボケ)に対して、「お前それはおかしい(普通じゃない)やろ!」っていうことを伝えるものですよね。(必ずしもボケがあるわけではないところがミソ)

その上で、「~みたいにおかしいねん!」→「例えツッコミ」
     「なんでやねん!」→「一番基本的なツッコミ」
などなど、といった感じです。


以上を踏まえて、ツッコミの役割って何だろう?と考えた結果、私は、
ツッコミの役割=異常性の強調だと考えました。
・・・③

異常なものをより異常に、そして、僕らにその異常さを届けるのがツッコミの役割なんです。


理解しやすくするために、以下の動画の視聴をおすすめします。

https://www.youtube.com/embed/QeSXpiKtj0A

Part1
0:46
千鳥ノブ「田中くーん、ジャンガジャンガ 見せて」
0:50
麒麟川島「Siriみたいに言うなよ(笑)」


Part1の解説
この場面では、一見すると普通に進行しているように見えますね。
つまり、この場に異常性っていうのはあまりなかった状態だったんです。
なんだけれども、川島さんの例えツッコミによって、周りに異常性が強調されて伝わって笑いが起こったんです。

で、これよくよく考えると、ノブさんみたいに人にお願いすることってあまりないですよね。(幼稚園児が友達にお願いするみたいに)
その小さな違和感から、(Siriを知らなければツッコメなかったかもしれませんが)異常性を見出せたのかもしれません。


※↓これは例えボケでした。
0:05~
天龍源一郎「お前ら、今日は集まってくれてありがとう。くぁwせdrftgyふじこlp.... 」
0:21
上田信也「誰がどんなことおっしゃってたと思います?」
0:23
麒麟川島「いやぁそれはMrプロレス天龍源一郎さんがぁ...なんか、なんかわかんないすけど、
エスプレッソマシンのモノマネしてました?」


じゃあボケの役割は?


こういう風に考えると、ボケの役割っていうのは異常を作りだすことでしょうね。
普段から普通じゃないものに対する意識を向けていると、良いボケができるようになるかもしれません。


ツッコミの種類について ④


今までのことから、ツッコミをするときはとりあえずどうすればいいのかというと、
「物事の異常性をどう強調するか?」という方針を持てばいいということです。
・・・④
そして、ツッコミの種類っていうのは、全てこの方針から生み出すことができます


最も基本的なツッコミ 「なんでやねん」


言わずと知れたツッコミです。相手に、「おかしいやろ!」と強調して伝えることで、笑いを誘います。


例えツッコミ


わかりやすい例えを使うことによって、そのものが持つおかしさを、理解しやすいものにして強調するツッコミです。
あるあるネタ同じですね。


例 再掲 千鳥ノブ「田中くーん、ジャンガジャンガ 見せて」
     麒麟川島「Siriみたいに言うなよ(笑)」
___________________________________________________
     (店外に大量のロケ見物人が...)
     千鳥ノブ「すぅごい!ウォーキングデッドぐらいおるな!」


ボケツッコミはツッコミではない


本記事の解釈に従うと、ボケツッコミは、ボケに当たるでしょう。何も強調してないわけですから。むしろ異常性を作り出しています。


※ボケツッコミだけ検索に引っかからなかったので、私が例を作りました。

例 A「昨日怒りに任せて課長をひっぱたいちゃったんだよ。こんなことしなきゃよかった。(落胆した様子で)」
  B「ほんとだよ!なんで殴らなかったんだよ!」

みたいな感じでずれたところにツッコむやつです。


その他のツッコミについて


その他のツッコミに関しては、一度、ボケを受け入れてからツッコむ「ノリツッコミ」など、数えきれないぐらいあります。
ので、「物事の異常性をどう強調するか?」という方針をもとに、相手にどう伝えるのか、ボケの処理の仕方など、どこに重点を置くか考えることによって、新しいスタイルのツッコミを生み出せそうです。

例 かぶせツッコミは「タイミング」に重点を、ノリツッコミは「ボケの処理方法」に重点を当てています。


笑えるっていうのは、自分が生存に有利であることの証明なのかも?


笑える=異常性の検知ができる、つまり、変化に気づくことができるということであるならば、それは生存に有利に働くでしょう。絶えず変化する生態系の中での些細な変化を感じ取れると、より早く、致命的な変化に対処することができる。
だから、笑うという行為には、ドーパミン等の報酬が支払われ(血行も良くなる)、よく笑う人の周りには人が集まるのでしょう。

...という妄想です


まとめ 


  • ①人々は、異常なことが起こったと理解した時に笑う

  • ②「普通」というのは、その場の状況によって変わるので、見極めることが重要

  • ③ツッコミの役割=異常性の強調

  • ④ツッコミをするときは、「どう異常性を強調するか」を意識すると少し楽になる。


ということで、今回はツッコミの役割を言語化してみました。
以下、新たな動画を埋め込みますので、どれがツッコミでどれがボケなのか、意識しながら見てみるとより面白いかもしれません。それでは。

https://www.youtube.com/embed/0NWhstykajI https://www.youtube.com/embed/39kYpD3gUw8

まだ言語化が済んでいないこと


上品な言動や行動などは、全体で見れば異常なところに位置するはずなのに、間抜けなこと、バカなことよりも笑う機会が少ない。(もちろん、異常だからといって全て笑えるわけではない。残酷なことなんかはほとんど笑える部分なんて無いのだけれど、上品⇔下品という同じベクトル上の反対の位置にあるのに、笑える機会の差がなぜあるのか?)


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