品の言語化|下品とはどういうこと?


私、すげぇ輩みたいな人が嫌いなんですね。例えば、 釣銭をちょろまかして渡してくる人とか。
つまり、品が無いようなことなんですかね。
ただ、下品って結構モヤモヤしたものじゃないですか?例えば、「あの人がやると下品に見えないけどあの人がすると下品に見える」みたいに人によって変わったり。

そんな曖昧なものさしで、人を下品だなんだというのは少し心持ちが悪くって、
下品が何か明確にしてみようと思って調べてみると

下品
品格・品性が劣ること。
卑しいこと。また、そのさま。 「卑しい=がつがつする。欲望をあらわにして、さもしい。」←OK!

ふむ、じゃあ品格・品性ってなんだ?調べよう。

品性
道徳的基準から見た、その人の性質。人格。 ←OK!

品格
その人やその物に感じられる気高さや上品さ。品位。

ん?なんか...

で、案の定

気高さ・上品さ・品位のどれも、
「品格、気品があること」のような意味。

そんで堂々巡り。

そんな曖昧な「品」をもっとはっきりさせようよっていうのがこの記事です。

そもそもの前提のお話


そもそも人によって感じ方が違うので、下品だとか、物事の様子を表すような言葉は使われ方がばらついてくること。
例えば、ご飯を超速で食べることを、「下品だ」という人もいれば、「よく食べていいことだ」という人もいる。そう思えばそうだし、そう思わなければそうじゃない。

その上で、皆の「下品」にある程度共通することは何かを考える。

結論


品は、「道徳からどれだけ外れているか」「工夫、細工の有無(安直かどうか)」「欲望に忠実かどうか」
この3つの指標が混ざって決められている。
+品があると思うかどうかは受け手に依存する

それでは説明を始めます。


とりあえず下品の定義からわかること


定義から、下品には「卑しいこと」、「道徳的基準」が関わっていることがわかります。これは経験的に正しいんじゃないかという予想はつきます。
で、Oxford Languages から、卑しいこと=(食物などに)がつがつする。欲望をあらわにして、さもしい。
つまり下品には、少なくとも「道徳と欲望」の2つの指標が絡んでいるんじゃないか、ということ。

具体例から考える


さて、下品なことがどういうことか考えるだけで、数学の公式みたいに導くことはできません。こういう時は、色々な具体例に共通することを抜きだすことによって、下品の性質を探りましょう。

実験と観察→仮説です。

道徳と欲望に関わる例

例えば、お金持ちに取り入ろうとする、暴言を吐く、悪事を働くなどなど。
とりあえず、道徳と欲望が品に関わってるのは間違いなさそうです。

ただ、道徳のみの問題、欲望のみの問題ってのは無くて、常に2つが混ざり合ってるみたいな感じですね。欲がなきゃ行動は起こせないとか言いますし。

・3大欲求から考えてみる

欲が高じて、飯にがっつく、ぐうたら睡眠奴、あと下ネタもそうなのかな。

だったら、よく言われる、品のある人は周りのことを気に掛けるってやつは、自分の欲望を抑えられているから周りを気に掛けられる+周りに気を遣うのは道徳的に良いことだから品があるんじゃない?

上品と下品は相殺し合う

例えば、人助けをしたくてたまらない人(欲に満ち溢れる)を見かけた時、僕らは「下品だ」と思うでしょうか?思いませんよね?

逆に、人助けのために奔走しまくることを「上品だ」とも思わないでしょうけども

じゃあここで何が起こっているか整理してみます。
人助け=道徳的に良いこと(上品な部類)
~したくてたまらない=欲に溢れている(下品な部類)

そしてこの2つが合わさっている。その結果、
上品とも下品とも思わない状態になっている。
つまり、お互いに打ち消しあっているんじゃないか。

そこから発展させて、
上品と下品は相殺し合う。だから、上品に見える人がある程度下品なことをしても下品だと思われないのではないかということを思いました。

その他の例

ただ、道徳と欲望だけでは説明ができないこともあります。それは、
品のある顔立ちと、下ネタが絡んだ秀逸なジョーク(掛詞になっていたり、深読みをすると下ネタになるものなど)などです。
顔立ちに道徳と欲望は関係ないし、下ネタ絡みのジョークは、道徳的には良くない。

だったら、道徳と欲望以外に要素があるんじゃないかと考えるのが自然ですよね。

そして、これらのことに共通点がないかなーと探した結果、「細工、工夫があって安直でない(ように感じる)」というのが共通点じゃないかと思いました。

私はお金持ちの人がブランド品買いまくるのを見ると品がないなぁと思うんですが、これは、安直にブランド品を買うという行為に走っているからなのかもしれません。デザイナーに頼んでオーダーメイドで作ってもらいなさいよとか思っちゃいます。

不道徳なだけのジョーク、例えば、単純に差別的な発言をするなどのジョークは下品だなと思う人が多いはずです。じゃあここに工夫を凝らして、ダブルミーニングになっているジョークになると、下品がかき消されて、「なるほど、面白い」という風になるように思います。

↑の件と合わせて考えると、「細工」が「不道徳」という下品なものを消した、つまり、「細工」がある(ように感じる)っていうのは、上品の要素なのではないかとも考えられます。

次に、品がある顔立ちについて。

一口に品がある顔立ちといった場合、汚い顔のことってないですよね。全部綺麗な顔じゃあないでしょうか。(顔のバランスが整っていたり)

基本的に、人間が関わってるもので綺麗だなと思うものっていうのは、何かしら加工されてる場合がほとんどです。
で、たまたま綺麗な顔立ちに生まれた結果、それを見る僕らは、何かしら細工や工夫があるんじゃないかと思って品があるように感じるんじゃないでしょうか。

モデルのウォーキングもそうだと思います。背筋はまっすぐ、足跡の軌跡が一直線になるように、どれだけ腰を揺らすかなどなど、ウォーキング一つとっても色々な工夫が感じ取れます。

受け手による「品」の変化


道徳観のバラつき
悪いことをした人にどんな言葉を投げつけてもいいと思う人、そうでない人など。


どれだけ欲深いと感じるか
ガツガツ料理を食べる人に対して、卑しいと思うか、健康的でよろしいと思うなど。


物事に内包されている工夫や細工に気づけない場合
ジョークの例で言えば、どの言葉がどう掛かっているのかに気づけない場合、単純に貶されたように感じることがある。
これは、あるジャンルに対する知識量の差によっても起こる。

形容(動)詞は主観に依存するので仕方ないっちゃ仕方ないです。


もっと詳しい結論


さて結論です。今回わかったことは、
品には道徳と欲望細工、工夫の有無や安直さが関わっている。
上品と下品は相殺し合う
受け手によって品のとらえ方が少しずつ変わる
ことです。


つまり、
下品の要素は
道徳的に良くない
欲深い
工夫もなく安直だ
(と受け手が思う)

上品の要素は
道徳的に良い
欲が抑えられている
工夫や細工が加えられている
(と受け手が思う)

そして、これらの要素が相殺し合って、その結果残ったものが上品寄りであれば上品、下品に寄っていれば下品となる。
つまり、
品は「道徳からどれだけ外れているか」「工夫、細工の有無(安直かどうか)」「欲望に忠実かどうか」
この3つの指標が混ざって決められている。
これでいかがでしょうか。


あとがき

ほんとに辞書は何のためにあるんだ、とは思ったものの、曖昧に定義されていることによって、色んな解釈が生まれて楽しくなることもざらだよなぁとも。小説の著者がわざわざ解説しないみたいな。

とりあえず、顔が良いからとかなんとかで贔屓目で見て、品の有る無しの判断をしないようにしようと再度思わされるきっかけになりました。ただ、私は「工夫の有無」に重点を置いて見たいですね。
いくら品が無いことをしていても、場の流れを汲んでいたり、普通から外して笑いを取ってきた時、そこに確かな思考と工夫があった時に、「ああ下品だな」と思うんじゃなく、「よくやった」と思いたいですな。

おまけ 今回の思考の過程


はじまり 
品がない人は嫌いだなぁ→つっても下品ってどういうことよ?そこを明確にしないとなんか気持ち悪い


とりあえず一般的な下品の例をば
飯にがっつく、忙しなく動き回る? →速さ=下品?
じゃあ、50m走は下品か?違う。とりあえず、速さは下品の1要素になりえるってことは分かった。

じゃあ、何が品の無い速さを生み出しているかを考える。
で、思いついたのが、欲望に忠実であるということ。
欲望に忠実=飯をバクバク食うだろう。好きなだけだらけるだろう。相手に取り入ろうとして着飾りすぎることがあるだろう。これは全範囲カバーした?


じゃあ次。どうしても部屋をきれいにしたい欲がある人(Aさん)は下品か?その人が整理し終わった部屋を見て下品だと思うか?これはちょっと難しい。いったん次。


下ネタが絡んだ秀逸なジョーク(掛詞になっていたり、深読みをすると下ネタになるものなど)は下品か?人によってかなり分かれそうだけど、下品だと思うより、「面白い、にやり」っていう人の方が多いような気がする。つまり、「何かしらの細工がある、安直でない」というのは、品があることの要素なんじゃないか?今回は、下品と品で相殺したと考える。
で、そう考えると、ウォーキングにしたって、背筋を張って、足跡の軌跡がまっすぐなるようにして、かかとから着地して、などなど、色んな工夫が感じられる。その他も同様。
(受け手の知識等によって、細工を感じ取れるかどうか変わるので、下品さはぶれる)


いったん整理しよう。「下品だ」と思うのは、いつも受け手。つまり、受け手に「欲望が見え透かされなければいい」し、「安直である」と思われなければいい。
じゃあ、整理し終わった部屋≠下品 
もしも、部屋を片付ける時に、Aさんが「これ片付けてよ。私汚いの嫌なんだから」といったら品がないといえるっちゃいえる。(品がないは過剰かもしれんが)


じゃあ、結論
「下品」とは、「欲望に忠実で、工夫のない安直な行動、言動をすること」
もっと厳密にいえば、「欲望に忠実かどうか(衝動を抑えているか)、工夫の有無」が受け手に感じ取られるかによって、「下品」かどうか決まる。
+定義を調べるのを忘れてた分


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