母の中学生時代の話

これはうちの母が中学生時代の話なので40年以上前の話なのだが、当時母はことあるごとに親戚に頼まれて日当数千円で近くの温泉施設で店番をしていた。

他に従業員はおらず中学生の母1人に店番を任せるのもすごい話なのだが昔はこれが普通だったのだろう。

温泉といっても矢継ぎ早に人がくるような感じではなく、バスに乗ってやってくる団体さん1組を出迎えてお茶を出し、ボイラー室に行ってお湯の温度を調整したりするのが母の仕事である。それ以外は受付に座って宿題をしていたそうだ。

お昼になると給湯室があるのでそこでお湯を沸かしてラーメンを作って食べたり、1人ながらもいろいろやっていたそうだ。

そしてある時、同級生のおばあさんがお客としてやってきた。
母はいつものようにお茶を出したがその時にテーブルを拭くのを忘れていたらしい。
テーブルを拭かずにお茶を出したのでおばあさんはそれを孫にチクり、学校で同級生から「あの子はテーブルも拭かんのかと言ってた」と言われたようだ。

それぐらいでチクチクいうおばあさんもちょっとどうかなと思う。私からしたら店番をしている中学生がいることが偉すぎて褒めたたえたいのに、その上お茶を出してくれるなんてありがたくて申し訳なくてテーブルを拭かなかったことなんてどうだっていいぐらいだ。

母は自分の実家に帰るたびに昔のことを話してくれる。

学生の頃の話を聞くと特に面白い。

いろいろと思い出して話してくれる横顔を見て当時の母の姿が見えたような感じがした。

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