Yale大「Listening & Speaking」クラス  プレゼン最後に「意味不明」の笑い

   講師のマイクのやり方と相性が悪かったのか、ReadingとWritingのクラスについては変更をお願いした私ですが、「Listening & Speaking」のBクラスはとても楽しめました。「Listening & Speaking」のBクラスは12人ぐらいだったでしょうか。私はplacement testでそのど真ん中ぐらいの成績だったようです。
 「Listening & Speaking」クラスの最初の授業で担任のジョンが自己紹介を兼ねて自分の子供の頃のエピソードを話してくれました。自然な速さで話していたと思います。話し終わるとジョンは私ともう一人の日本人受講生「田中くん(仮称)」を指名して、ジョンのエピソードから聞き取ったことを話せと言います。「なぜ私?」とドギマギしましたが、以下のような理由でした。
 Bクラスは成績上位と成績下位で聞き取りの点数にとても大きな開きがあったそうなのです。で、私と田中君は大きく開いた点数分布のちょうど真ん中にポツンといたので、先生としては私たち二人を中央値として扱い、上位にはやや易し目で、下位にはやや難し目の内容を組もうとしていたわけです。なので私たち二人の聞き取り能力を自分で見たかったようです。
 正直言って先生の話は大体は聞き取れていました。でも、それを英語で自分の言葉で再現できるかというとなかなか難しいものがあります。「文法の間違いもあるだろうし」と躊躇していると「文法のクラスではないから気にしないで話して」とジョンに催促され、仕方なく聞き取った内容の大筋を「あー」とか「うー」とか言いよどみながらどうにか話しました。田中くんはもう少し上手にまとめていたような気がします。
 これでクラスの「中央値」の実力をはかったジョンは、私たち二人を指名した上記の理由を初めてクラスに話し、Bクラスの進め方の難しさについて説明してくれました。一般的なクラスはは成績データの真ん中あたりに学生がたくさんいて、上位と下位はごくわずかな人数ですよね。でもBクラスはその真逆とも言える学生分布だったわけです。私が先生でも「やりにくい」と感じると思います。

「Listening & Speaking」クラスは期間中に二度のプレゼンテーションをするのが軸で、できるだけ色々な機会に英語を聞いたり話したりできるよう「体験型」の内容も加味されていました。この「体験」についてはジョンが受講者たちから「誰と話したいか」「どんな経験をしてみたいか」といった希望を聞いて、実現できそうなもので構成していきました。ちなみに私は「大統領と話してみたい」とリクエストしました。ジョンは面食らいながらも「現役は無理でも前の大統領ならチャンスはあるかも」と言っていました。でも、残念ながら実現はしませんでした。

この体験型活動で印象に残っているのは、New Heavenにある裁判所にクラス全員で行って裁判を傍聴し、その法廷の後で裁判長と話したことです。はっきり言って裁判の内容はほぼ分かりませんでした。考えてみれば、私は日本の裁判だって傍聴したことなんてなかったので、法廷のその場の雰囲気に飲まれていたのかもしれません。

でも、法廷の時間が終わり、裁判長が個人的にその場に残ってくれて私たちの質問を受け付けてくれました。それらの話は比較的分かりやすくて嬉しかったのを覚えています。でも私を含めアジア系学生は下を向いてほぼ無言でした。質問するのはもっぱらヨーロッパや南米系の学生たちでした。イタリアから来た学生が「ちょっと前にマルコムXが話題になりましたね。人種問題といえば、ずっとキング牧師の名前が出てきていたのに、どうしてですか」と聞いたのが印象的でした。かっこいい。

この体験クラスは担任のジョンにとってもおもしろかったようで、「裁判の間はあんなに無表情だった彼女(裁判長)が、個人的に話すとあんなに人間味があって活動的なんだね」と言っていたのを覚えています。

2回のプレゼンテーションについては、1度目は自由な内容でよかったのですが、2度目は自分が知らない内容をリサーチしてその結果をまとめたものをプレゼンするよう求められました。

私は一度目のプレゼンテーションは「得意」の折り紙について話しました。アメリカで文化交流しているわけですから、折り紙は必須です。プレゼン時間は3分間。先生がプレゼンの様子をビデオ撮影していて、事前に「3分経過したら、プレゼンの途中でもビデオをオフにしてしまうから時間厳守を」と言われていました。私は最初のプレゼンテーターでした。与えられた3分を使って、折り紙の簡単な歴史や現代人と折り紙のかかわり方、そして折り紙の仕組みなどを実物を見せながら紹介しました。やはり折り紙の実物は効果絶大ですね。折った鶴などを見せながら「もともとはたった1枚の紙ですよ」と広げて見せるとクラスメートたちは興味津々で見入っていました。我ながらけっこういいプレゼンだったのですが、あと2-3の文章が残っていたのに無情の終了ブザーが鳴らされました。あせった私は、プレゼン最後の締めくくり「ご清聴ありがとうございました」を言うこともなく(だってビデオは切られているんだし)、恥ずかしくて下を向いてしまいました。そして「しまった!時間内の終えられなかった」という気持ちから、照れ笑いとも苦笑いともつかないような笑いを浮かべてしまいました。

後日、撮影したビデオを確認した上でジョンがフィードバックをくれました。ちょっとした発音の間違いの指摘はあったものの、かなり評価してくれている内容でした。でも最後に一言。「プレゼン最後のあの『意味不明』な笑いは何ですか」だって。

え?アメリカ人は照れ笑いも苦笑いもしないのお?「意味不明」ってどういうこと?とショックを受けた私です。しかも3分で切っているはずのビデオ撮影が続いていて、苦笑いまで撮っていたなんて。それならそれで、状況を見れば苦笑いだって分かるはず、ですよね。プンプン。

クラスメートたちのプレゼンもとても楽しくて、台湾からの受講者の上手なイラストには見惚れてしまいました。彼らはどんなコメントをもらったのでしょうね。

次回は第2回目のプレゼンテーションのトピックにも選んだ「Yale大学のSecret Society」について書きます。お楽しみに。

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