インセンティブとコミットメント

日本では、スタートアップでも、ポジションや成果で差がつかない場合も多い。大企業から転職すると、すぐ管理職になれると思っている人も多いが、会社にもよるが、意外と管理職の登用に慎重な会社も多い。また、給与も営業が主体の会社は別だが、大企業を下回る給与で固定報酬のみで、赤字の会社も多いのでインセンティブなどもなかなか出せれない、ということも多い。

個人的には、固定報酬以外の短期の業績インセンティブと長期の株式報酬インセンティブは、幹部層、特に、執行役員以上では重要だと思う。固定報酬が必ずしも高くなくても、納得性も高い設計もできる。一方で、このあたりのインセンティブ設計が下手な会社もあり、デモチさせてしまうこともある。とはいえ、スタートアップでは、管理職の登用自体、悩ましく、加えて、その給与の設計は、どのタイミングで、どう設計するかは、難易度高めではある。

また、インセンティブをどの層まで出すか、というのも難しい。階層にもよるが、会社全体の業績や株価に影響できるのは、実際は取締役や執行役員クラスが限界で、その中でさえも自分の部署しか興味ない人もいるが、まして部長クラスに出す場合、その意味は難しい。もらえても、もらえなくても、ラッキーレベルで主体的にマネジメントすることは、会社の立場の問題もあれば、本人の意識としても遠い場合が多い。

ある面で、経営陣(取締役陣)で、全体の予算レベルのお膳立てをし、やや負荷が高いとはいえ、しっかりやってくれれば達成できる水準の業績目標を設定し、それを達成してもらうことで、業績賞与(短期インセンティブ)を出すと、取締役陣の戦略、予算の信頼性は高まり、業務執行の水準は上がる。

一方で、インセンティブ設計をするので、経営者と同じ感覚で主体的に考え、行動してほしい、と言っても、単独では成果に向かえず、そもそもの目標の納得性も低く、結果、未達成でも、そもそも経営陣がインセンティブを出す気がない目標をセットしただけだろう、と考えるだけで、形骸化し、2回目以降はほぼ意味がなくなる。株式報酬についてもほぼ同じ。特に、経営陣が会社の成長の閉塞感を幹部層に期待して、このような制度を入れても、実際には返って、経営陣と幹部層の溝が広がることも多い。

後、インセンティブは、最初の設計した時に、難易度やや高めでも、何とか、もらえる形に持っていかないと、次回以降の形骸化が進む。人は、一度もらったもの(インセンティブ)は失うのが嫌でまた、貰いたいというインセンティブは働きやすいが、一度ももらったことがないものについては、なくても同じという感覚になりやすい。成功体験を作れるタイミングで導入した方がいい。

ただ、どんなインセンティブの設計でも、最後は、「頑張ってね、成果が出たら、業績賞与出すから」、ではなく、部長以上に出すなら、その意味、本人のコミットメントをしっかり取らないと、意味がなくなる。制度を考えると、制度設計ばかり、細かく作ってしまったりするが、結局はコミットメントが先で、そのコミットメントをより強化する、サポートする制度としてインセンティブ設計をするぐらいが正しいのだろう。他の人事関連の制度も同じだけど。。。。

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