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「自分の悪口を言ってみてください」

「自分の悪口を言ってみてください」
新卒で入社した会社の最終面接で、副社長に最後にされた質問です。

もうその会社は辞めてしまったし、その会社でやっていたことで多くのことを忘れてきましたが、
就職活動中というはるか昔にされた、たった一つの質問が今までずっと印象に残っています。

その時の私は当然猫をかぶっているうえに緊張しているので、
「うーん・・・、
自分で言ってたアレ結局できてないよね・・・とかですかね・・・」
という風に答え、副社長は
「それは悪口じゃなく指摘だね。優しいね。」
とおっしゃいました。

悪口って、何なんでしょう。

いろいろ私は考えましたが、悪口とは「批評する権利がない者の批評」だと私の中で定義づけました。
批評とは、「物事の是非・善悪・正邪などを指摘して、自分の評価を述べること」です。出典:デジタル大辞泉(小学館)

例えば、会社の同僚が仕事上で必要な連絡を忘れていたとします。
その際にAさんが「Bさん、連絡忘れてたらしいよ。」と別の同僚に話すとします。ここまではよくある会話かもしれませんが、
この次に「あの人ほんとに仕事できないよね。」等と続く場合、これは悪口と言えるのではないでしょうか。

物事について言及する時点では、ただ起こったことについて話しているだけですが、その権利がないにも関わらずその人を「評価」し、建設的なものにつながるわけでもないときにそれを悪口と呼ぶのではないかと思うのです。

先ほどのケースで「Bさんにはこのプロジェクトが難しいのかもしれない。上司に相談しよう」と言った場合、建設的な話し合いにつながる可能性がありますが、そもそもその評価や判断をする権限はAさんに無いので、これは「批評する権利がない者の批評」にもなり得るわけです。
一方、Bさんの上司が同じく「Bさんは仕事ができない」と批評した場合、仕事で求められる成果に対するBさんの実績を評価し、それが上司の仕事の一つである場合には悪口ではなくただ上司が自分の仕事をこなしただけとも言えます。

この定義で言えば、「自分の悪口を言う」ことは不可能ではないかと思います。なぜなら、自分は自分の評価をする権限があり、その後改善につながる余地がどうしても残ってしまうため、建設的な批評になり得るからです。

では、副社長はどういう意図で「自分の悪口を言ってみてください」とおっしゃったのでしょうか。
私はいろいろ考えましたが、「自分の短所を教えてください」を違う切り口で質問されただけなのかなと思いました。
もしくは、頑張っても悪口が言えない、思い浮かばないような清い若者であることを確かめたかったのかなと思います。

とここまでグルグルと考えてみましたが、今同じ質問をされたとしても、
私はプライドが高いので自分の悪口は言えません。

最後までお読みいただきありがとうございました。

Veni,


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