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催眠術の棲み分け

連投でございます。ユウです。

今回は、前々回の無料で催眠術かけてあげるよおじさんの件なども含めて、ひとつ昔から思ってたことを書きます。

それは、催眠術業界における「棲み分け」の話です。僕は昔、マジックと並行して催眠術をやっている時、ふと考えてしまったことがあります。

それは、自分は「催眠術師」ではないのではないか。ということです。

僕はエンターテインメントとして、マジックショーの中に催眠術を織り交ぜることによって、より不思議体験を強いものにしています。
で、マジシャン兼催眠術師という肩書きを紹介していました。

しかし、僕はショーとしてはマジックが主体であり、催眠術オンリーでイベントをやることなどはほぼありませんでした。
つまり、必ずマジックショーのオマケに催眠術を混ぜるというあくまでマジックの一部のように扱っているわけですね。

そんな僕が、催眠術師と名乗っていいのだろうか。という思いがあり、さらにTwitterなどで関わる催眠術関連のこともいろいろありながら、次第に催眠術師を名乗ることが嫌になった時期もありました。

まず、催眠術業界はかなり多くの中分類が存在するということです。
・催眠療法
・エンターテインメント催眠術
・リラクゼーション催眠
・SM催眠
・エロ催眠
・通話催眠
・音声催眠
・脳イキ(ちょっとここに入れるには本当はいろいろ物議を醸し出すが)
などなど、もっと細かく分けたり、え、これとこれ一緒のことじゃねぇの?など、既にいろいろ思うことがあるかと思います。

で、僕のやるマジックショーと混ぜる催眠術は一応エンタメとして取り扱ってるのでエンターテインメント催眠術です。
で、今となっては「催眠術のみ」のショーもお受けするようになってきたので、エンターテインメント催眠術はさせていただいてます。

ただ、これだけの種類があるにも関わらず、催眠術を扱う人はまだまだ人口が少なく狭いゆえに、全てをひっくるめて、催眠術と称されることが多いです。
どのジャンルの人も基本的には「催眠術師」という肩書きを名乗ることが多いわけです。

さて、ここで前々回の記事、「催眠術かけてあげるよおじさん」の話題を引っ張り出します。

要はこれ、我々催眠術師たち本人の主観的視点からするとこんなおじさんと自分とでは、明らかに何もかも違うことしてるよ。と言っても、催眠術に馴染みのない一般の方からしたら、「同業者」だということなんです。

催眠術に対してのイメージが初めて催眠術に出会った人にとって、中分類で分けたどれかの催眠術に当たって、そう理解したらその人にとってはそれこそが催眠術という認識なんです。

テレビで面白おかしく、芸能人にかけてるのも「催眠術師」だし、通話催眠募集してる人も「催眠術師」だし、路上でマジックしながら催眠術かけてるやつも「催眠術師」だって名乗るんですよ。
無料で催眠術かけてあげるよって言ってくるおじさんも「催眠術師」って名乗ってくるんですよ。

療法とかに関しては「催眠療法士」などの呼び方もあるが、催眠を使って活動してる以上はおおよそ催眠術師という認識は勿論されている。

何が言いたいかと言うと、いかに「催眠術」という単語に対してのイメージが一貫出来ないかということです。

確かにどの中分類も「催眠」という技術を利用し、そしてその催眠の知識は大筋のぶっとい芯の部分に関しては皆、同じことをしています。
しかし、目的や結果、プロセスやそもそものテーマが違うことで、催眠術師達は「棲み分け」をしているんです。
ただし、「催眠の技術」を使うという点では、先程あげた中分類をたくさん兼任している人もたくさんいます。

ここで問題なのが、一般の方からしたら同じ催眠術師というジャンルなんだよなーってことなんです。

ちょうど、自分の働くホームセンターという業種が例に良かったので、引っ張り出してみます。

ホームセンターとはひとつの店舗ではあるんですが、中身は多岐に渡るジャンルに別れていて、また、従業員はそれぞれの部門分けされたジャンルを担当しています。
僕の働いている所は細かく分けられていて、木材部門から始まり、工具、金具、園芸植物、建材、日用品、文具、防災用品、ペット用品、車用品、インテリア用品などなど…。
これだけでもほんの大まかな一部なんですが、その部門それぞれに担当者がついているような業務形態です。
でも、全スタッフ同じ店舗のホームセンターの店員さんと考えたら、例としては荒いかもしれませんが似たような構図です。
まぁ、店長など責任者ポジションの当てはめが何もかもないくらいですかね。

で、例えば工具部門を担当してる僕がお客さんを怒らせてしまい、クレームになったとしましょう。クレームの内容も工具に関しての問い合わせ時に僕の接客態度が悪かったことだったとします。
と、なると本来はお客さんを怒らせた工具担当の僕だけが悪いイメージがつけばいいのですが、実際はそうはいきません。

「なんだ、この店の店員は」
と、なることが多いです。店舗全体の責任になってきます。
さらにそれがそのお客さんからクチコミで広がったら
「あの店の店員は態度悪い」
と、本来問題のない店員までもが同じ扱いをされるようになってきます。

そして、そんなエピソードが多方面のホームセンターで出てきて重なっていくと、ゆくゆくはホームセンター業界ってろくな店員いないよねー
というところまで発展してクチコミになるケースもあります。

適切に対応している店員が半数以上を占める場合であったとしても。です。
たった一人の店員の失態が店全体のイメージにつながってしまうわけですね。

何が言いたいかわかってきましたでしょうか?
催眠術業界も今、そんなイメージがかなりついてしまっているということです。

ちなみに「どのジャンルが」は問題ではありません。特定のジャンルを否定するつもりはありません。
どの中分類ジャンルでも催眠術を使って、何か人を傷つけることをしたり、人道に反することが起きたり、はたまた犯罪沙汰になったりすると、本来はその本人だけの問題なのに「催眠術業界ってやつは…」という印象を、一般の方には与えてしまうということです。

そして、それが多方面で同じような被害の話題が出てしまった時には、「また、催眠術で事件か…」と「催眠術」という単語に対してどんどん悪いイメージが広がっていってしまいます。

実際に、僕自身がストリートで催眠術パフォーマンスをする際、やっぱり一般の方からは良くないイメージをよく耳にします。
「催眠術って人を操るんでしょ」「洗脳ですか」「エロいことやりたい放題ですね」「怪しい」などなど。
催眠術に対して「良いイメージ」を一般の方から聞くことはあまりないです。
なくはないのでまだ捨てきった話ではないと思っていますが。

でも、世間一般の催眠術のイメージは良くは無いと言ったところでしょうか。

事実、前々回記事でもあったように催眠術業界はほんとにいろいろな良くない話を耳にします。
まぁ、別に催眠術業界に限ったわけではないんですが、催眠術業界に身を置く者として、催眠術を悪用した事例をってところですかね。

やっぱりメディア的に、「手を握って開かなくなる」などを筆頭に「操っている」イメージが強いことからコントロール系だというイメージ。
また、洗脳やマインドコントロールと強く結び付けられる事件。
強姦事件、などなど。

実際に悪用されてたり、伝え方に理解がなかったりと悪いイメージは加速する一方です。

まず、日本という国の「催眠術への理解」がまだまだ浅く、本質が浸透していないこともひとつ。
そして、実際に悪用するやつがいる。

最近ではYouTubeで面白おかしい催眠術を広げてイメージアップしてる部分もありますし、そういう活動は自ずと応援したくもなります。

で、ここで最初のほうの話を引っ張りますが、僕は「催眠術師」と名乗りたくないなぁの理由がここです。
自分は悪用もしてないし、エンターテインメント催眠術以外をしていないところから、一緒にされたくないなぁ感があったんですよね。

本当悩みました。
まずは催眠術師に代わる一発で何する人かがわかる上にポップな肩書きを考えましたが、ほんっとうに催眠術って言葉は難しかった。
いろいろ試行錯誤したところ、短期間だけ「催眠マン」という安直な肩書きを名乗っていたことがあります(笑)

まぁ、結局のところやっぱりお客さんに自分は何する人かを紹介するには「マジシャンであり、催眠術師でもある」というしかないところには来てて、そうなっちゃってます。

自分で一般のお客さんにやっている催眠術はエンタメとして楽しいし、お客さんも楽しんでいただけるしで続けたいんです。
ただ、時折くる「催眠術」という単語へのひとくくりのイメージがツライ時もあり、活動への影響もあったりするのです。

で、ずーっと思ってたのが「催眠術」の中の中分類ジャンル分けじゃなくて、それぞれの中分類がそれぞれ独立したジャンルとして確立してくれた上にその認知がされたら、大分楽だよなぁって思っていたのですよね。

もしくは、もう催眠術やってるけど「催眠術」という言葉にとらわれない新ジャンルの確立。

例えば、DaiGoさんの「メンタリズム」
ユリ・ゲラーさんの「超能力」

マジシャンたちもやっている同じスプーン曲げやフォーク曲げをDaiGoさんの場合だど「メンタリズム」、ユリ・ゲラーさんだと「超能力」としてやっているわけですよね。(超能力などが実在するかは置いといて)

それみたいに催眠術やってんだけど、他のわかりやすい新ジャンルを確立すれば、そうやって悪用する人たちと一緒にされることはないのかもなぁと思ったり。

まぁ、こういうことすると逆に批判というか「いや、催眠術じゃん」っていう引き戻しのご意見がたくさん来るようになるんですがね。

そんなこんなでいろんな方が四苦八苦している業界です。
最近だと、「催眠や洗脳の類ではなく、呪文のようなね」みたいな話するやつもいるし。

もっと、何も考えずに気楽にやりたいなぁっていうちょっとだけ面倒なお話でした。

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