ファイナル相撲レジェンド マスラオ
「はっけよい!」
行司の掛け声と同時に、乙枯山の首が飛ぶ。
これではもう髷も結えまい。
「死んだら終わり」とはよく言ったものだ。
土俵に血が流れる度、土俵は鳴動する。4527人の力士の血を吸い上げた暁には、伝説の力士、横綱を越えし史上唯一の「縦綱」暗剛琉喪亜が蘇る…予言書にはそう書かれている。
本日最後の大一番、横綱倍胡座と大関升羅王の取組すらも予言されたものだ…そしてこの取組が終ったとき、そのときこそこの世界の終わり「千秋楽」が訪れるのだ。
行司が軍配を翻す。待ったなし。
「はっけ…」
その時!
BLAM!銃弾が土俵を襲う!狙いは…行司!
「キャアア!」
観衆が逃げ惑う!射手は…親方!
「これでよい。力士の血を吸い奴が蘇る。だが…力士おらずして誰が奴を倒すというのだ…そう、お前達なら」
そう言い残し、親方は自らの頭に銃を当て…。
土俵が鳴動する。世界の終わりが始まる。
そして人々は知る。
これは相撲ではないと。
十年前。
【続く】
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