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ZN8 GR86で折角エンジンをアップデートさせてもECUセッティングがダメだとノーマルよりパワーが出ていないと言う現実。

HKSの2.5Lキットを組んで貰い、ECUもセッティングしてあるものの
乗るとなぜか遅いんですよね~と言う、赤いZN8 GR86オーナー・・・。

NAエンジンにおける排気量アップは
過給に頼らない場合の最大のアップデートであり
その分、部品も工賃も高額となります。

故にオーナーが期待するビフォーアフターは大きくなりがちですが
結局は、その排気量アップに応じたECUセッティングが出来ているか?
という事が一番重要であり
セッティングがダメな排気量アップエンジンは
時にノーマル以下のパワーを叩きだす事があります。

特に最近のECU制御におけるトルク制御の意味を理化していないと
アクセルとスロットルの比例度ばかりに気を取られてしまい
アクセル開度におけるトルク出力特性を考えないと言う結果に陥ります。

そう言った机上の計算のみでリニア化されたスロットル開度は
その後のトルク計算に悪影響を与え
ドライバーがアクセルを踏んだ
その踏み方に応じたトルク出力ではなくなってしまいます。

R35 GT-Rの様にアクセルペダル開度に対してのスロットル開度を決める
2次元的なマップなんてものは
もはや今どきのトルク制御のECUには存在しません
「スロットルマップは変更してありますか?
 アクセルにリニアにして欲しいんです。」

と言う要望をお聞かせ頂くことがありますが、そう言う意味では
スロットルマップなんてものは、もはや存在しません。
と言うのが正確な答えとなります。

それほど最近のクルマのECUに於いて
トルク制御と言う物は複雑でありつつも制御の根幹を担う物なんです。

っで、このHKS2.5Lを導入しECUセッティングチューンも施工してあると言う

GR86に乗って見ると、兎に角、巡行域のトルクが無い・・・。

通常であればアクセルを踏まずともクラッチワークだけで出ていける
店の前の上り坂で、普通にエンストしてしまいます。

クラッチを繋いだ後のトルクも極薄で
アクセルを踏み込んでも踏み込まなくても
トルク変わらない・・・?みたいな。

オーナーにより詳しく話を聞いて行くと、ECUチューン後
極端に燃費が良くなったとの事。

燃費が向上する事自体は悪い事ではありませんが
このトルク激薄な感じと燃費が向上したことを併せて考えると
トルク制御における
Desired torque 希望するトルク
Requested Torque 要求するトルク
Calculated Torque 計算されるトルク
この3つがおかしなことになっているのでは?と予想されます。

簡単に説明するとDesired torqueで
ドライバーがどのような加速を求めているかを判断し
Requested Torqueにて必要となるトルクがどれくらいなのかを求め
Calculated Torqueにてそのトルクを出す為の計算をする。

これらがチグハグになっていたり、適当な数字を入れてしまうと
アクセル開度に対してのトルクが薄れてしまい
故に必要とされる燃料も少なくなり、燃費が上がって行くんです。

これらの考察はアクセルを全開にしない、いわゆる街乗り領域の話ですが
目で見てすぐに分かる全開域のパワーがどうなっているのかも興味深い所。

オーナー曰く
「ノーマルの時より遅くなってる気がするんですけど
 パワーに慣れてしまったのかとも思いますし・・・。」

自分が乗った感じも遅いと思う、このGR86を

ダイナパックに載せていざパワーチェック!

その結果は・・・?

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