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農業をコモン(共有地、共有財産、みんなのもの)として考える

11月に開催された「有機農業のこれまでの50年、これからの50年」のシンポジウムに参加して、感じたこと、考えたことを、書きました。


農業をコモンとして考える


基調講演で、心強い発言をしたのは、息詰まる資本主義から

「脱成長」を論じて、大ベストセラーとなった「人新世の資本論」著者の斉藤幸平さんです。

「農業というコモン」を説いた経済思想家で、今年から東京大学大学院の准教授を務める。


「息詰まる資本主義と暴走」と題した斉藤さんのスライド


・地球のありとあらゆるものを商品化したのが「人新世」

「人新世」とは、ありとあらゆるものを商品化した資本依存が地球環境を破壊した時代区分であり、

そこから自律性を取り戻すには、大量生産、大量消費の消費システムから距離をとれる農的生活と、コモンとしての農業、農に関わる人を増やす必要性を説きました。



シンポジウムの呼びかけ人代表は歌手の加藤登紀子さん。

夫であり、環境や有機農業推進の活動家として知られた故藤本敏夫氏が、

今から20年前、当時の農林水産大臣に提出した文書を紹介しました。

この建白書がすごい。

https://www.food-trust.jp/document/doc/0025.pdf


藤本氏が掲げていたのは、「農」を核とした「持続循環型」の地域づくり「里山往還型」の半農生活で、国も個人も「自給と自立」に重きを置くこと。
とりわけ注目すべきは、農家に加えて、国民・市民が趣味やレジャー、健康のために農的生活を楽しむ「ウェルネスファーマー」の拡大です。

一億農ライフを提唱するベジアナのわたしとしては、このウェルネスファーマーの関考えにグッときました!

「ウェルネスファーマー」とは、

心身の健康と社会参加、いきいきとした人生を目指した農的生活は、労働、福祉、教育問題の解決につながり、その延長線上に、農家の育成もあるというものです。

斉藤幸平さんは、
こうした藤本氏の先見性を「脱成長コミュニズムとして受け継ぎたい」と提言しました。
50万部の大ベストセラー作家の経済思想家が、共感を示すとは、なんと心強い~~!!



ミーハーと思いつつ斉藤幸平さんとわたし


「わたしも一億農ライフを広めようと言う活動してるんですよー」と名刺交換で話しかけると、「ノーライフ?NOライフ?そりや大変ですね」と、ジョーク⁉で返してくれました。

ま、それはさておき、



地球の限界(プラネタリーバウンダリー)は、化石燃料のここ60,70年の使い方を見てもわかります。

速さ、経済成長、生産効率重視の世の中では、地球が息詰まる。その上に暮らすわたしたち人間も。


シンポジウムでは、その論を後押しする市民側からのすてきな提案もありました。

「減速して自由に生きるーダウンシフターズ」著者で、匝瑳市で自給的ライフスタイル活動を展開する 高坂勝さんです。

高坂さんの提案は、

消費を減らし、

仕事を減らし、

収獲を増やし、

手づくりを増やし、

仲間を増やす。

国民みんなが「半自給的な暮らし」をする社会になれば、

あらゆる社会課題は解決し、1人づつの幸せは増大するという論。

なんと3万部も売れたという社会的インパクトをもたらした新しい考えの本‼︎

出されたのは2010だそう。


わたしの言いたい一億農ライフそのものではないですかーー。

今回のシンポジウムは、司会として参加させていただいたのですが、聴きながら感じたことは、

わたし自身のテーマでもある「産消提携」の関係。

産地と消費地提携とも訳されるし、生産者と消費者の提携とも言われます。


実をいうと、ベジアナと名乗って野菜づくりや農園ライフを発信しているのは、

自分がとれたて新鮮な野菜を食べたいからではない。

それはわたしにとっては、おまけの副産物で、最も言いたいことは、

野菜作りは楽しいよー畑には発見がある。感動もある。

みんな野菜つくればいいのにー。

農の入り口に立ってみることで、

生産者や産地、農村のことが少しわかり、感謝やリスペクトが生まれる。

わたし自身がそうだったように。

それが、生産と消費の間にある分断の壁を低くし、自由な行き来ができる関係になるはず。

つながることで、自ずと様々な動きが始まる、ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)だ。

有機農業の拡大といえば、有機農産物の生産性や消費者理解に議論が集中しがちです。

第三者認証制度(有機JASのような)は、確かにメジャーなマーケットには有効ですが、

SDGsの「誰も取り残さない」をより具現化しているのは、地産地消や参加型認証ではないでしょうか。

国際的な有機認証団体、IFORMでも実は小規模農家には参加型認証の取組を進めている。

国内では、「オーガニック雫石」というところが、地域の中で取り組み、IFORMの正式な認証を受けている。

費用は、有機JASの10分の1ほどだそうだ。

JASとPGSは何が違う - オーガニック雫石

IFOAM の参加型保証システム(PGS)とは - 農林水産省

わたしが、農ライフを進めるのは、自給自足しましょう、外国や他人の作ったものは信用できない、

外との関係をやめて、山にこもりって仙人的な暮らしをしましょうという話ではない。


国民みんながそれぞれの生活スタイルに合わせて農を取り入れ、自ら実りを実感すれば、理解は深まり、

売買の関係から、仲間というコミュニティが生まれ、消費者と生産者として分断されていた構造、関係性が変わります。


食料安全保障から、飼料、肥料、エネルギー問題まで共通して、今もっと推進するべきは、

「自給」的なライフスタイルやローカル自給圏への転換です。

狭義の自給自足ではなく、自然という地域資源を活かし、できる限りは作り、足りない部分は他から導入する。

国家間においても、地域や個人においても、まずはDIY精神で、互いの得意分野を尊重しながら感謝と敬意をもって取り引きすることが、組織にも個人にもこれから求められる優しさと強さではないでしょうか。

書きながら思い出したことがある。

関係障害論だ。

「関係障害論」とは、介護のカリスマ、三好春樹さんの著書。

すごくざっくりいうと、本当の問題は、障害者(高齢者など=介護される側)にあるのではない。

介護する者が、介護してあげようとする関係に障害(間違った決めつけという障壁)があるとするもの。

著者:三好春樹さんは著書の中でこう問いかける。

なぜ「関係障害論」なのか、“関係”のとらえ方と構造、

関係づくりのリハビリ、僕らは人間をリアルに見ているだろうか


健常者と障害者とか、強者と弱者とか、勝者と敗者とか。。。

グループ(チーム)を複数に分けたとたんに対立は生まれる。

いまのLGBTerがそうよね。男と女でさえ、その間には線は引けない時代だ。

0と1の間にも存在するものはあるし、

多様性、多文化共生、ダイバーシティだ。


話しが逸れましたが、「産消提携」を自分のテーマにしているのはそういうことかもしれないなと思う。

メジャーなマーケットから取りこぼされたマイノリティの存在、人権?を、言語化することなのかな。



「脱成長時代の食と農」自給ライフへの期待の高まりについて。

みんな自分の健康のために農的生活を

ウェルネスファーマーの拡大

心身の健康と社会参加を農ライフから

延長線上にプロ農家の育成も


誰も取り残さない有機農業とは

消費者教育の矛盾

売買の関係より同じチームの仲間に

産消提携

#自給的ライフスタイル

#ローカル自給圏

#狭義の自給自足ではなく地域資源をの活用

自給とはDIY

できるだけ作り、足りない部分は他から導入

そこに感謝や敬意が生まれる


一億農ライフ@ ベジアナあゆみ

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