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「自助、共助、公助」が大原則。食の問題を自分ごとに!わが家の自給と地域の自給が国の自給につながる


おはようございます。
1月3日、朝8時前、きょうは嬉しい電話で飛び起きた。
秋田県由利本荘の有名な酪農家で、天皇杯もとった経営成績優秀な生産者であり、
地域および酪農連盟のリーダーでもある柴田牧場さんからであった。
夫人の誠子ちゃんとは仲良しなのだが、夫の輝じいの声だったので、
何があったのかと思って姿勢を正して聞くと、
「今朝の新聞読んだよ」であった。
どんなこと書いてるかと思って読んだら、そういうこと書いてたんだな。
うちも「由利牛」という和牛を東京のデパートで扱ってもらったりしたけど、
東京は大消費地だけど何かあるとすぐ取引が変わる、
地元の給食に牛乳を使ってもらえるように要請しているけど
学校側の理解も必要でなかなかとというような話だった(と思う)。

正月から暗いニュースばかりだったけど、全くその通りだと思って
嬉しくなって電話した、どんんどその調子で書いていけよーという嬉しい励ましの電話であった。
本当に嬉しく朝からやる気が出た。


日本農業新聞、年始恒例の「今年よみ」、今年も1/3付で載せてもらった。

新年を飾るお正月号ということで、東京大学のえらい先生やら他の執筆陣と並ぶこともあり、
毎月のコラムよりやはり気合が入り、
しめきりの近づく12月になるといつも頭を悩ませる。

去年のコラムを読み返し、去年言いたかったことと、
今年言いたいこと、わずか1年で変わるはずもないわけだが、
なんとなく今年らしさも入れないといけない。

今年は紙面だけでなく、WEB掲載もされたので、
ブログにも当日書いてもいいかなと思い、ここに内容を掲載します。

今年よみ2024 「今よみ」執筆陣が分析 / 日本農業新聞公式ウェブサイト2024年はどんな年になるのか。食料安全・・・

www.agrinews.co.jp

日本農業新聞1/3付「今年よみ」


農村強化が国を救う


ローカルな自給圏を構築

食料危機、国際情勢の不安、地球の限界、あらゆる危機の只中にわたし達はいる。
防災の大原則は「自助、共助、公助」と言われ、
まず自分を守る「自助」、次に地域で助け合う「共助」の順番が重要だ。
公に助けてもらうのを待っていては間に合わない。
これを農業・農村の生存戦略に置き換えればどうなるだろう。

「わが家の自給、地域の自給、国の自給」を50年前から唱えていたのは、
山形県高畠町で有機運動を牽引された農民・詩人で、昨年亡くなられた星寛治さんであった。

「大きくすると相手の存在が遠くなり、内容が薄まってしまう」として、
わが家と地域の自給によるコミュニティや絆を優先した。
市場も政治も大きくなると声が届かなくなる。(届きにくくなる)。
小さな絆をしなやかに結ぶ方が実は強い。
地域が自給力を付けて初めて、国の自給は成立する。つまり農村の強化が先なのだ。

中央への依存リスクが増大している今、「地産地消では儲からない」という古い体質は変えなくてはならない。
売り上げは小さくても、外部コストを抑えれば手もとに利益は残る。有利なのは小規模農家だ。その好事例が、学校給食を核とした地産地消である。
全国約2万の小学校区をローカルな自給圏にして、多様な住民が協力すれば、
コストもロスも削減できる。子や孫に食べてもらう喜びは、農家にやる気をもたらす。
大人達みんなが当事者となれば、環境との共生も進む。
教育を通して未来への希望も生まれ、地域全体が活気づく。
国が農村を助けるのではない。
農村が自給力を持てば、国を助けてくれるのである。


「農から明日を読む」~まほろばの里からのたより
星寛治さん 集英社新書2001年発行


「農から明日を読む」~まほろばの里からのたより

引用した部分は、
「私は十数年前からわが家の自給、地域の自給、国の自給」という下から上への自給論を提唱してきた。
まず農家自身が可能な限り豊かな自給を満たし、その延長線上で地域社会の自給力を向上させる。
単純なカロリー計算だけでなしに、できるだけ多品目を生産し、質の良い食料で住民の需要を賄う体制を創り出す。「身土不二」「地産地消」の実現である。
国家社会といえども、何千、何万の地域の集合体であり、一つ一つの地域が内側から変わればそのトータルでもある国も必然的に変容する。
地域間の連鎖、あるいは都市と農村の連携によって、しなやかで強靭なネットワークが形成されるなら、
下から上へ押し上げる自給論は現実味を持つはずである。
ただ、都市市民にとって自給とは何かというテーマについては、市民農園などの取り組みを拡大しつつ、
生産緑地を取り戻す施策が必要である。さらに、産消提携の実践を充実し、
畑と台所が直結する関係を創り出せば、少し遠隔地であっても、顔の見える農家の畑が自給菜園になる。

折に触れて農村に足を運び、援農などを通して市民が生産活動に従事することは、
個々の人生の充実と共に社会的実現に役割を果たすことになろう。
~「農から明日を読む」P171~172

さすがは農民詩人の星寛治さん、単に地方の産地、農村の話しだけでなく、
そのロジックで都市を考えると、市民農園、生産緑地の活用で、市民も耕すことに加わることで、
完全自給ではなくても、範囲を広げて、顔見知りの農家から買う「提携」へとつながっていく一連の流れを示してくれている。
都市の問題、農村の問題、切り分けて考えがちなのが、学者や行政かもしれない。
詩人は繋がりを考えるのだ。


自分はきちんと言葉にできないまま、世田谷で体験農園をやっていることと、
農村問題をやっていることの、裏付けを頂いたようでうれしかった。

あらためてこうして書き起こすと、「アグロエコロジー」そのものである。
言葉こそ使っていないが、畑と台所の直結とはまさに
「FARM TO FORK」(EUのグリーンディールの中核をなす持続可能なフードシステム~農場からフォークまで)
「FARM TO TABLE」(アメリカ・カリフォルニア発祥の地産地消運動)



「今年よみ」日本農業新聞1/3付
WEBでお読みいただけます
https://www.agrinews.co.jp/opinion/index/203561

地域の自給の集合体にしか、国の自給は成立しない。

自給とは、自衛であり、自立。

世界や様々な情勢を受けて食料危機、食料安全保障が大事なのはわかる。

それにより、「国産」気運が高まっている。

外国産か国産か、という議論だともちろん国産を重視するのはわかるのだが、あんまり「国産、国産」と国の単位を持ちだすことに…、だんだん違和感を感じていた。


国単位よりローカル単位だよと、言いたいと思っていた。

それで

「自助、共助、公助」が大原則であると、足元、近所からが大事なのだと、

新年コラムに防災に絡めて書いたのだった。


そして元日に起きた大地震。

災害にもいろいろあるが、何かが起きると道路も県境も閉ざされ、移動や流通が制限される。

これまでにも大雪や大雨や不測の事態が起きるたびに一定のエリアが「孤立」する事態は起きている。


そのためにも、小さな地域やローカル単位で自給圏をつくっておくべきと考える方がむしろ当たり前なのではないか。 

それが自助であり自治のはじまり。


47の都道府県、

1718の市町村、

さらに全国には2万の小学校の校区がある。

体育館が避難所になることを思えば、学校給食で普段から大人達みんなの拠点にしておけば、不測の事態にも本領を発揮し、心強い居場所になる。


よく思うのだけど、ふだん

わたしたちは日本国民であります!と意識しながら生きてない。

せいぜい、◎◎県民です、とか、世田谷区民です、とか。

わたしの場合、東京都民という意識もあまりない。

だって区役所はたまに行くけど、都庁へ行ったのは…パスポートを取るために何年も前に一度行ったきり。

正確には都の出先機関だった。

都道府県単位でさえ遠いのにましてや国会や省庁なんて、まず普通の人行かない。。


ニッポンを応援する時、ワールドカップとか、オリンピックの時は「ニッポン!」だけど、

甲子園では、都道府県別とか、わが母校を応援するよね。

箱根駅伝でも、母校や関係ある大学を応援する。

身近なところ、つながりあるところは、みんな自然と応援するという関係。

それが絆。コミュニティ、エンゲージメントなどとよばれる。


はじめにローカルありき。

適地適作がいちばん強い~。


ローカル自給圏で行こうというのは、

なんでも「圏外から」買ってばかり、消費ばかりでいいのか、という問い。

(そしてこれは敵を増やしてしまうかもしれないのだが、極めていくとと)

消費者だけでなく、生産者にもいえる。

(農業資材を外部から)買ってばかりでいいいのか。

土地を生かす、土から恵みを頂くとはどういうことなのか。


もちろん100%自給がゴールなのではなく、できる部分はなるべく自給する、工夫をする、だからこそ、他の分野や他者への感謝が生まれる。

それがコミュニティであり、コミュニケーションであるはずだ。


毎日の自分の暮らしの安全と健康は、国や公に守ってもらうものではありませんよね。
基本は自立しないと。

だから自助、共助、公助の順番。
わが家の健康、命、暮らし、安全、生活は、セルフが基本です。

そして言いたいのは、すべてを自給しようというつもりは全くなくて、

できる範囲で自給しよう、手づくりしようとするから、

足りない部分を補ってくれる他者が現れた時に初めて、相手に感謝が生まれるということ。


はじめに「買う」ありきでは、この感謝や敬意は生まれない。

消費型からの脱却を、と言いたいのはそういうことだ。

世田谷にも体験農園があります。
野菜づくりしませんか。
仲間を募集中~~~
食べものの問題を自分ゴトにしませんかー。

世田谷目黒農業協同組合JA世田谷目黒(世田谷目黒農業協同組合)の公式ホームページです。当JAは、世田谷区・目黒区を管内としています。「一歩先行くJA」をスローガンに相談業務を中心に各事業を展開しています。

www.ja-setame.or.jp

ベジアナ農ジャーナリスト・あゆみ

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