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クラウドファンディングを振り返る。 〜社長・後藤大介インタビュー vol.2〜

Vnoteヴィアティン三重・後藤社長のインタビュー連載第二回目。

先日、2ヶ月半に渡って募集が行われていたクラウドファンディング《東員町スポーツ公園陸上競技場・改修費用協賛プロジェクト》が終わり、最終的に816万円・316名のご支援を頂きました。またクラウドファンディング以外でのご支援を合わせると1,052万円・341名(個人・法人含む)に達しました。

ちょうどコロナ禍の始まりと同時にスタートし、緊急事態宣言が開ける頃に終了という、非常に難しい時期と重なったクラウドファンディングでしたが、ファン・サポーターのみなさんを始めとして、日頃からクラブを応援してくださっている方々、さらには他クラブのサポーターさんからもご支援頂いたこと、大変感謝しております。(公式でのご報告はこちらをご覧ください ⇒ クラウドファンディングへのご協力のお礼と結果のご報告につきまして

総額1,000万円を超える費用が集まることになったスタジアム改修工事・クラウドファンディングについて後藤社長にインタビューしました。

クラウドファンディングを終えて

Vnote編:クラウドファンディングを終えて。私たちの街に念願のスタジアムができ、スタジアムが何をもたらすのか?それととクラウドファンディングを織り交ぜてお聞きしたいと思います。まず、クラウドファンディング終えて、816万円(総額1,052万円)という成果、どのように受け止められてますか?

後藤社長:率直に嬉しいですね。過去にもクラウドファンディングはJFLに上る前にサッカーでやったり、ビーチサッカーでやったりと、いろいろやりました。サッカーに関して言うと、全社と地域CL(2016年全国社会人サッカー選手権大会・全国地域サッカーチャンピオンズリーグ)の時にやりました。あの時と比べて金額も、応援の人数としても、かなり増えましたので、やっぱりそこは嬉しいですね。

あれから4年経って、金額的にも人数的にも非常に多くの皆さんからご支援を頂くことができた。それだけ多くの方々に期待をして頂けるようになったのだと受け止めています。

3万円・10万円という金額設定からスタートしましたが、その設定金額も難しかったですし、途中で5千円と1万円というプランを追加し、リターン品にサインや応援メッセージという設定もしました。その他にも「リターン品は無くていいから1,000円からの少額プランを作ってほしい」とか「ヴィアティングッズを貰える方が人数が増えるのではないか」というようなコメント・アドバイスもいただいていました。そういった皆さんからの声は非常に参考になりましたので、今後の取り組みにも役立てていこうと思います。

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地域のみなさんと一緒に改修工事を実現する

後藤社長:このクラウドファンディングですが、当然「スタジアムの改修工事費用を集める」というのが目的でした。それは事実ではあるのですが、お金を集めるという主たる目的以外に、クラウドファンディングという手法で地域のみなさんに知ってもらい、改修工事を地域の皆さんと共に行うという意味をもたせることがポイントでした

そしてその証として「プレートを付ける」という非常にわかりやすい記念・記録を残す。

今はJ3に昇格されて先輩クラブになられましたが、JFL同期のFC今治さんが夢スタ建設の際に、記念プレートの募集をされていたので参考にさせていただきました。

東員町の陸上競技場をJ3規定に合うスタジアムに改修工事するというお話を進める中で、水谷町長と何度もお会いしました。その時に「クラブだけ、クラブ+スポンサーだけ、ではなく地域の皆さんと一緒に改修工事を実現していって欲しい。」とおっしゃられました。その言葉を改修工事のお話を始めた一番初めの頃にいただいていて、それがすごく頭に残っていたんですよね。

その水谷町長の想いに強く共感したこともあって、実現しなくては!と思いました。こんな話も今だから話せるのかもしれませんね。

Vnote編:私もその話は今初めて聞きました。

後藤社長:クラウドファンディングの説明文のところに書こうと思ったら書けたかもしれませんが、ネームプレートの記念碑について東員町から工事許可を頂くのに想定よりも時間がかかったり、町長のお名前を掲載するとしてもやはり諸手続きで時間が更にかかることもありましたため、掲載はしませんでした。

水谷町長がおっしゃるように「地域一体となって」というのが、簡単なようで難しいことだと思います。クラウドファンディングは終わりましたが、これからホームタウンのみなさんと共に作り上げて行きたいと考えています。

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名前入りプレートは募集を継続

Vnote編:名前入りプレートの募集はまだ残りが合ったと思います。プレートを貼り付ける土台の空き部分はどうするのですか?

後藤社長:金額では800万を超えたと言っても、プレートを貼る台が4台あって、まだすべて埋まっていないので再度募集をします。入りきらないぐらいお申し込みを頂いて、土台自体をさらに増やさなきゃ!というぐらいにしたいですね。

土台はまだ空いているので、どういう形でプレートの募集をしていくのか検討しています。追加での募集については追ってご案内する予定です。

スポンサーさんや法人会員さんに関して言うと、今はコロナ禍の影響で経営が厳しい状況にあると思います。もう少し先のタイミングなら支援できるとか、決算が何月だからとか、企業さんならではのタイミングというのがあるので、すでにそういう連絡をいただいてるところもあって、募集は継続していきます。

スタッフにとってのビッグブロジェクト

Vnote編:クラウドファンディングの運営や募集文章の作成はスタッフで行ったわけですが、大きなプロジェクトということもあって後藤社長自らが指揮を執ったのでしょうか?

後藤社長:いえ、スタッフに任せました。文章の内容にはもちろん目は通しましたけど、基本的には彼らに任せて、結果どこまで響くのか、どこまで伝わるのか。やはりスタッフも経験しないとわからないことがたくさんあります。失敗もそうです。ものすごい失敗されたら困るんですが(笑)失敗する前に全てアドバイスしてしまうと失敗経験も積めないし、逆に全てアドバイスした上で成功しても、それが成功体験とはいえません。

クラウドファンディングの募集文章ひとつにしても、90%以上我々が手直しして大成功したとします、それはスタッフ自信の成功とは言いにくくなりますよね。スタッフ自身でいろいろ経験して、成長・成功を自分の手で掴んでいく。そんな強いフロントを作っていきたいとは思っていますが、じれったいところもあります。

私自身でやった方が早いのか、私ならこうするっていうのが多々あるわけですけれど、そういったじれったい思いを抑えながら、私と椎葉(取締役)がいろいろやっているところです。

Vnote編:なるほど。そういう意味では、スタッフのみんなにとってもビッグプロジェクトだっただけに、終わってみてほっとする部分もあり、ここからだ!っていうとこもあり、クラウドファンディングに関わったスタッフにも話を聞いてみたいですね。

後藤社長:そうですね。一番はとにかくサポーターさん、コールリーダーの竜ちゃんの力が本当に大きかったと思います。

じゃあコルリ・竜ちゃんとの打ち合わせが、なぜあのタイミングになったのか、もっと早いタイミングで、もっとコミュニケーションを取れていたんじゃないかとか、やっぱり反省すべきところはすでに出ているはずです。竜ちゃんはじめサポーターさん達に色々な心配やストレスを掛けていたと思います。

スタッフもそこはこういう風にしたら良かったんじゃないかと考えていますので、皆さんと信頼関係を築き、共に歩んでいくために、今回の経験を必ず次に繋げていく必要があります。

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スタジアムの指定管理者になってわかったこと

Vnote編:以前の改修前の会見でもおっしゃられてたと思うんですが、地域にスタジアムがもたらすもの、ヴィアティンが考えているプラン、どんなものがありますか。

後藤社長:日頃からいろんな取材の機会でお話させてもらっている内容ですが、クラブ理念にある《子供たち、お父さん・お母さん、おじいちゃん・おばあちゃんまで、三世代が集えるスポーツコミュニティを作ろう》と、その一つの場所になるのは間違いないと思っています。

ホームゲームがあるときは、もちろんたくさんの人に集まって欲しいです。今季はそれが15試合中8試合しかないわけですが、通常通りホームゲームが15試合開催されたとして、残りの300数十日はどうるすのか?って話ですからね。

我々が指定管理者になりましたので、アサスタ(東員町スポーツ公園陸上競技場)が生きるかどうかは指定管理者であるヴィアティン次第です。

アサスタには陸上トラックもあるので、日頃から陸上の方たちが練習に来たり、そういうのは昔からあって、コロナの影響で閉鎖している期間にも「まだ開いてないんですか?」と毎日のように電話がかかってきていました(アサスタにはヴィアティンのスタッフが常駐)。

利用者の人数は別として、やはり日常的に使う人はやっぱりいるんだなと、指定管理者になったことで知ることができました。

隣に中部公園という大きな公園があっても、やっぱりちゃんとしたスポーツ施設の中で、練習したいと思うでしょうね。それが競技志向の人なのか、健康志向の人なのか、人によって違いますけれど、それは総合型クラブであるヴィアティンとしてやらないといけないことだと受け止めています。

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アサスタをスポーツに出会うきっかけづくりの場に

後藤社長:高齢者の人だけでなく、30代、40代、もしくはもっと若くても運動不足の人もいるわけだし、運動・スポーツが嫌いという人もいるわけですよ。だけれどスポーツの良さ、楽しさというのは、間違いなく自分自身が体を動かす楽しさがあるわけなので、スポーツ自体を普及させなければいけない、もっと普及したいという思いが強いです。種目を問わず同じ思いをもっています。

人と人のつながりが希薄化している世の中で、昔と違いSNS、リモートで知り合いが増えていく。ただ、そのような繋がりはどうしても「広く浅く」なってしまう。実際に顔を合わせることで本当の仲間が出来るはずですし、本当の絆が生まれてくると考えています。その一助になればと。

大切なことは、関わり方は色々あって良いんです。静かに観戦する、熱く声を出して応援する、ボランティアとして運営スタッフになる、スクールやイベントで体を動かす、クラブを応援する、好きな選手個人を応援する、など。スポーツへの関わり方は「する、見る、支える」と色々ありますから。
クラブとしては、サッカーだけでなく、色々な種目を応援してくださると嬉しいですよね。やはり総合型クラブが一番の特徴ですので。

その応援についても、サッカーとバレーが50:50の人もいます。人によって、90:10だったり、その逆だったり。僕は子どもの頃に初めて観戦したスポーツは中日ドラゴンズを名古屋球場で観戦したことなんですが、実は今でも年に1回ぐらいですが名古屋ドームに行っています。もともと応援しているチームも継続して応援しながら、ヴィアティン三重も応援する。みんな色々な人たちがいるからこそ、地域のクラブと呼べると思っています。多様性という言葉がありますが、参加の仕方にも多様性があるべきだと思います。

あとは、もともとスポーツ好きな人は自然と使いに来てくれるわけですけど、日頃スポーツをする機会があまりない人達に対して、何かきっかけを作りたいと考えています。

ランニングのイベントなのか、ウォーキングのイベントなのか、いろんな形で考えることができると思います。何か運動をやるきっかけになったらいいなと思っています。

特に高齢化が進んでいる中で、グラウンドゴルフをやっているおじいちゃん・おばあちゃんがいるじゃないですか、そういった方たちも何かしら新たな運動をヴィアティンを通じて体験して欲しいなと思いますし、健康増進、健康促進をやってきたいと。

学校行事や地域の日常に溶け込む活用プラン

後藤社長:他にも、まだ確認調査したことないですが、学校の運動会・体育祭を自分の学校のグラウンドではできない、広さの問題だったり、観覧スペースの問題だったり。じゃあ競技場を使って、客席もあって、きれいな芝生があって、学校や子供たちも喜んでくれるし、見学に来るご家族も喜ぶことになるし、そんなことも企画していきたいなと思います。

ヨーロッパだとサッカー場でライブ・コンサートを企画し、トレーラーが入ってきて、ステージを設置したり。当然お金もかかるでしょうけど試合以外のときにどのように充実させていくかを考えています。アサスタは改修工事をしたスタジアムですのでどうしても制限は出てしまうので、簡単に理想通りにはならないですが、将来的にはそんなこともイメージしています。

人が集まる場所というのは、サッカースタジアムがあって、隣にアリーナ・体育館があって、サッカーやって、バスケット、バレー、ハンドボールやって、プールで泳いでと、クラブ設立の時にはそんなことを思い描いていました。

カフェがあって、そこにはサポーターが集って、さらに商業施設もある、ホテルもある、高齢者の介護施設があって、上の窓からおじいちゃんおばあちゃんがサッカー見れるようなね、それで公園があって、そういう複合型が理想中の理想なわけですよ。それで駅から近かったら最高ですね。

一気にそこまでは実現できていないにしても、それにつながる大きな1歩目だと思っています。

全部満たして無いけれど、隣に立派な公園があって、いよいよサポーターズカフェとして「THE BOWL cafe」もオープンしました。ちょっとずつ、ちょっとずつ、イメージには近づいてはいるかなと思ってます。


次回は「社長・後藤大介インタビューvol.3 〜スタジアム改修工事・クラウドファンディングを振り返る・続編〜」をお届けする予定です。お楽しみに(^^)

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