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「現状を変えられない」と諦めがちな人に試してほしい、いくつかのアイディア

VECTION

個人を責任の呪縛から解放する「同時編集」のススメ

「同時編集」という作業のやり方があります。

Google Docsなどで、一つの文書を、複数人がリアルタイムかつ同時に編集する方法です。ネット上で共有した一つのファイルをロックして、順番に編集するのとは違い、同じ文書の部分(例えば違う行)を同時に互いの許可なく編集できて、しかもお互いにその様子が見えます。

プログラマーの間では似た仕組みが盛んに用いられていましたが、コロナ以降、一般に人にも浸透しつつあります。

この手法には、従来の「タスクごとに責任を完全に分離する」という枠組みから解放され、一人で行き詰っている時間が減り、個人に対する責任の押し付けが起こりにくくなる等の利点があります。同時編集は単なるインフラに留まらず、思考の枠組みや仕事に向かう態度を変える可能性があるのです。

なお、詳しくは下記の記事で説明しているので、興味のある方は読んでみてください。

同時編集の実現を妨げる三つの弊害

一方で、「同時編集」には、(一つのタスクを複数人で担当するので)作業コストが増す可能性があり、誰もが限界まで忙しいような状況では採用が難しいかもしれません。

この「作業コスト増を許容できない理由」としては、次の三つが考えられます。

(1)どうしても減らせない仕事が実際にたくさんある
(2)どこかで中抜きしている人の分の仕事を、別の人がやらなければならない
(3)無意味な仕事を水増しすると利益を得られる人がいる

このうち、(1)はどうにもならないので、(2)や(3)を減らしつつ、「まともな仕事」を複数人で担当していく流れは作り出せないものでしょうか?

その問いへの一つの答えとして、「政府のクラウドファンディング化」というアイディアを紹介します。

「政府のクラウドファウンディング化」とは??

政府のクラウドファウンディング化とは、言ってみれば「特定少数の人間の恣意や私欲が、可能な限り入らないように事業企画・予算を決めることができる仕組み」のことです。


例えば、皆がコピーしたいような情報財は税金で公共財として作るとします。ですがその場合、何を作るのか、どういうものを作るのか、誰に作らせるのかということを決める段階で、余計な人が大勢出てくるので、大抵ろくなものができません。企画段階で、なんでそんな事業の公募をするんだ……とため息をついた経験のある人は多いでしょう。

その部分をクラウドファンディングで決める、つまり、政府・行政主導の事業企画から予算配分作業まで、全部をクラウドファンディング化してしまえば、そもそも市場が政府予算を分配しているのと同じようなことになるので、間に余計な人が入らず、少なくとも市場と同程度の効率性を保つことが期待できます。

しかし、例えば、100%クラウドファンディング化された政府では「市場に任せると消滅してしまうが必要な仕事」「長期的視野で取り組むべき仕事」「絶対に機密を守るべき仕事」などを存続させるのは難しそうです。

ならば何%なら実現可能なのか?この数字を具体的に考えるにはどうすればよいでしょうか?

「クラウドファンディングでは通らなさそうだけれども、長期的には(皆にとって)必要な事業」を、ここでは「市場の外部」と呼んでおきましょう。クラウドファンディングも市場(人気)による決定の一つですから、その外側ぐらいの意味です。

「何が市場の外部であるか?」は「(色々な意味で)選ばれた(市場に左右されず長期的な視点を持つ)人」が決める、というのが古典的な解決策でした。

しかし、それがどうもうまくいかない。「市場の外部に属さない事業」まで政府がやってしまう、もしくは、「誰も必要としていないし長期的にも必要がない事業」が、「選ばれた人」の周辺に生まれてしまう。また、「選ばれた人」も個人としての生活がある以上、私的な理由で決断を曲げることもあるでしょう。

このあたりから「何%までクラウドファンディング化が可能か?」という問いが派生してきているのです。

つまり、そもそも『「選ばれた人」は市場の外部を「集団」よりもうまく決められる』という前提はどの程度正しいのでしょうか? 

「選ばれた人」に頼らず、うまい具合に市場の外部を仕分けつつ、政府のクラウドファンディング化率や予算配分を見つけるうまい仕組みはあるのでしょうか?

そのあたりについて書いたのがこちら、「ミラーバジェットから弱いアナーキズムへ」です。一人ひとりが皆それぞれの国家予算案を投票するための方法を考えてみました。興味のある方は読んでみてください。


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