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“楽器を買う時”の選び方のポイント【無料記事】

楽器の選び方についてもよくご質問頂きます。つい最近僕も新しいチェロ買ったので、楽器選定のポイントをまとめてみます。

まず、激安楽器や通販など、どんな品質でもいいと割り切っている場合はよいのですが、ある程度のお金を出して、失敗したくない楽器選びをしたい時は、必ず“試奏”をしましょう。

評判や値段、カタログの文言、店員さんや先生の意見も大切ですが、それだけではわからない情報が試奏した瞬間にドッとわかります。

【店外でも試奏する】

そして、試奏した上で次に大事なのは、”よく響く楽器屋さんの音響”に騙されないということです。

楽器屋さんは、どんな楽器を弾いても、ある程度よく聴こえるように、適度な残響がある場合が多いです。

楽器を購入してから、残響の少ないところや、普段の練習場所で弾いてみて、あれこんなはずじゃ、、となってしまっては悔やんでも悔やみきれないので、可能なら、買う前にレンタルをすると良いです。

基本的に僕らミュージシャンが楽器を買う時は、一週間ほどレンタルして、ホール、スタジオ、路上、など色々な現場で弾きこんで、色んな要素をチェックしてから購入を決めます。

もしご自身でのレンタルが難しそうであれば、習っている先生にお願いしてレンタルさせてもらうのもありですね。

購入前にレンタルをして、自分の家、練習場はもちろん、レンタル期間内に“本番”があれば、本番のホール等で弾いてみることをおすすめします(注:壊してしまうと弁償なのでそこだけはお気をつけください笑)

特にアコースティック楽器は、ホールで聴いてみると楽器の良し悪しが本当によくわかります。あくまで大原則なのですが、良い楽器は遠くで聴いた時にいい音がします。俗にいう“遠鳴り”と言うものです。

【自分でも“聴く”】

そして、ちょっと注意していただきたいのですが、何台かの楽器の中で迷っているときに、知り合いに聴いてもらって、意見をもらったり、判断してもらうケースがあると思います。

もちろん全然よいのですが、他人に判断してもらうだけではなく、できればもう一つやってほしいことがあります。

それは、楽器を弾ける知り合いに弾いてもらい、”自分がお客さんの立場で聴いて判断する”という作業です。

他人に音の最終判断を委ねてしまうと、たとえいくら信頼できる方であっても、やはり最終的に人それぞれ、音色の好みが違うので、意外と後悔する事があります。

楽器と言うのは、この先、ずっと自分の耳元で音を奏で続け、自分の体と密着し続けるものなので、買ってから後悔すると本当に辛いです。

【離れて聴く】

しかし、”そんなこと言われても、自分が聴いてもよくわからないんです”

と言う声もよくあります。その時にオススメなのが、

他人に弾いてもらって、自分が”数10m〜100m離れたところ”で聴くということです。


例えば、尊敬する人や、ちょっと緊張する先生などに引き比べ演奏をしてもらって、それを直近で聴くと、どちらの楽器も大音量でなっていて、その音の洪水の中に自分がいることで、”ぶっちゃけよくわからない、てかどっちもすごくいい!w”ということになる場合がありますし、やはり演奏している姿などから、先生自身の好みや、見た目の情報などにも混乱させられる要因になります。


その場合は、できれば数十メートル〜100メートルくらい離れた、広いところで演奏してもらって、自分が離れて聴くと、上記のような、耳と目を混乱させるいろいろな要素が削ぎ落とされ、純粋に音について、冷静に判断することができるし、音の違いもわかりやすいです。

そして何より生楽器にとって、遠達性能、遠鳴りと言うのは、基本的にとても大事なものとなります。

遠鳴りせず、音が散っていきがちな楽器は、今後、人とアンサンブルをする時でも、人の音にかき消されてしまったり、苦しい思いをすることがあります。

【遠鳴りする楽器だけが優れているわけではない】

とはいえ、近鳴りする楽器(遠くで音が散ってしまう楽器)にもメリット、活きる場面があります。

それは、近くでマイクで録音する時です。

近くでマイクを立てて録音する時に、近鳴り、文字通り近くで心地よい、充実した音が鳴り、それをそのままマイクで拾ってもらうようなシチュエーションです。

こういう時はむしろ近鳴りする楽器の方が良い音で録れたりすることもあります。

【最後に】

原則的に言えば、遠鳴りする楽器の方が高価な傾向がありますが、用途や好みによって、どんな楽器とも運命の出会いがあるかもしれません。

とはいえ、迷った場合は遠達性能、遠鳴りするどうかを、広い場所で誰かに弾いてもらって、自分は離れたところで聞いてみて判断してみてください。

とまあ、いろいろ言いましたが、楽器は、人との出会いに似てるともいわれるように、細かいことがすべてどうでもよくなるくらいビビッとくるものに出会うことがあります。

そしてそんな出会いは、値段の高い安いに関係なく起こります。

そんな一目惚れ楽器に出逢えた幸運な方は、即決もありでしょう。迷ってるうちに誰かに買われてしまったというのも、かなり悔しいパターンです。

楽器購入の際は

・広いところで

・自分が弾くだけではなく他人に弾いてもらって

検討すると、失敗が少なくなると思います。
是非試してみてください。

西方正輝

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