土台人 5
イ・ジョンキルのカリの張ったペニスがあたしの目の前にあった。
常夜灯の下でそれはゆらゆらと立ち上がっている。
「姐さん、また舐めてくれよ」
「はいよ。ここでこんなことばっかりしてていいのかな」
わたしは、つい冷めた口調になってしまう。
「いいやんけ。当分、表にはでられへんもん」
日本の警察がこの町内をマークしてきている。
今週に入って、一段と警察の目を感じるようになった。
「なあ、おかしいと思わへん?」
わたしは、亀頭を舐めていた口を離して、ジョンキルに問うた。
「何がさ」
「ポリ(警察)やん。あんた職質されそうになったやろ」
「マクドでな」
彼は、枕もとのタバコを取って、一本、咥えた。
「思うんやけど、あんた、尚子に接触しようとしたやろ」
「ずっと前のことやん。京都化学の山本とかいう社員に・・・」
ジッポのライターをカシャンと鳴らして、ボッっと火がついた。辺りが明るくなる。
ふかしながら、ジョンキルが続けた。
「その、横山とかいう姐さんのダチのことを聞いたんや」
「そやから、やめてって言うたやろ!」
声を荒らげて、わたしは起き上がった。ジョンキルのペニスはしなだれて、股に頭をもたせていた。
「ふん。そんなこと言うて、困んのは姐さんやで。大将(蒲生のこと)は、やる気やから」
わたしは、はっとした。
蒲生譲二が絡んでくるとは。
わたしと蒲生との関係は長い。
それなりに信頼も得ていたと錯覚していたのだ。
冷静に考えれば、わたしなどたくさんいる彼の愛人の一人に過ぎないのだから。
蒲生譲二は指定暴力団「琴平会」の会頭になっている男である。
日本人なのだが、ビジネスと称して北朝鮮と闇取引をしつつ多額の送金を行っていると言われている。
その筋からか、あるいは勘のいい尚子の方からか、捜査の手が伸びていると睨んだ。
「あんたな、明日からぜったいに外に出たらあかんで」
「ほな、姐さんとしっぽりやりまくろか」
「しゃあないな」
わたしは、面が割れてないから、買い物ぐらいは出ても構わないけれど、ジョンキルは前があるから、やばいのだ。
暴行致傷で二回も警察のお世話になっている。
そのうちの一回は婦女暴行や。
ジョンキルの性欲の強さはハンパない。
何度も求めてくる。
すぐ回復する。
再び、わたしは彼の頭でっかちのペニスをしゃぶりだした。
びくびくと別の生き物のように、それは頭をもたげ始める。
「あ、あ~、姐さん、うまいわ」
唾液を溜めて、たっぷりと滑らせる。
唇での摩擦も心地良いらしい。
わたしの厚い下唇が彼のお気に入りだそうだ。
そんなこと、蒲生にも言われたことがない。
わたしもかなり濡れてしまっている。
さっさとショーツを脱がないと、替えがないので困ったことになる。
わたしは片手で、ショーツのゴムを引っ張り、下にずらして、つま先で挟んでさらに下ろした。
ひんやりと外気に陰部が感じる。
「姐さんも濡れてんねんやろ」
「うるさいな。当たり前やろ」
「どれ、さわったろ」
「うん」
わたしは、体を上下入れ替えて、尻を彼に向けた。
「うわ、ねっちょねちょやん」
勝手に言わせとけと思った。
それより、一物をとろけさすのが当面のわたしの仕事だった。
「はうん」
とはいえ、声はでてしまう。クリをいじめられると、たまらない。
「しこってるで」
「もう・・・」
知らぬ間にシックスナインの形になって、ジョンキルの平板な顔にわたしの大事な部分が乗っかっていた。
べろべろべろ・・・
なんとも下品な舐め方でわたしを攻める。
「あ、いや。いくっ」
本当にこらえ性がなくなった。
「姐さん、かわいい声出してから」
「くっ・・・ああっ」
このまま逝ってもよかったけれど、やっぱりジョンキルのデカ棒を入れて逝きたかった。
さっと、体を引いて、彼には後ろ向きで悪いがそのまま挿入させてもらった。
「ああ、きついーっ」
「姐さん、いきなりやな。そんなにええか?おれの」
「いい、あんたの、いい」
確かに、蒲生のペニスもごつくていいのだが、ジョンキルのそれは硬さにおいて優っていた。
「姐さんのあそこ、めくれてるで」
「そ、そうかぁ」
陰唇のことを言っているのだろう。
わたしのは、ちょっとはみ出るように大きいのだ。
子宮にぐいぐい押し付けるようにわたしは尻を動かした。
上位を取るときは、主導権を握りたい。
ジョンキルは上を向いたまま、わたしのことなんかお構いなしに、またタバコをふかしている。
ただ、あそこは違った。
棒を膨らましたり、すこし突いたり、表情には表れないコワザを使ってくる。
「そろそろ、いこかな」
そう言って、彼はタバコをアルマイトの灰皿に押し付けて消すと、わたしを乗せたまま起き上がった。
背面座位の状態でしばらくお乳をもてあそんでくれた。
こういう抱っこのスタイルも好きだ。
男に抱かれている安心感を強く感じる体位だから。
抜かずにそのままバックになった。
わたしもすばやく四つんばいになり、頭を下げ、お尻を突き出した。
「うりゃ」
いつもの下品な掛け声で、狂気が始まった。
深い突きこみで、子宮を割られそうになる。
「うう・・・ああ」
ずぼっと抜ききり、また深く。
「ぎゃっ」
わたしは一度、いかされた。
だんだん早いストロークで攻められる。
深いところでいったん止めて、こね回すように変化する。
ポルチオ性感を味わったことがある女性ならわかるだろう。
腰が抜けるような快感が体の深部から湧き上がるのだ。
「ふーっ。あはーっ」
ぶしゅっ、ぶしゅっ・・・
粘液質の音が狭い部屋に響いた。
わたしは、朦朧とする頭で「この男にヤリ殺される・・・」と思った。
実際は、そんなことはないのだけれど、そうだったらいいのにとも思った。
蒲生譲二とのこともあんまり考えなくなった。
同胞との性交のほうが心底、逝けると思った。
蒲生は、しょせん、わたしには外国人なのだ。
「あ、あっ、出る、出る」
雄たけびをあげながら、ジョンキルはわたしのなかに放った。
いつもより長く。
わたしも何度目かのアクメを迎えたが、新鮮さはなかった。
ただ、隣人に聞こえたのではないだろうかと、心配になった。
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