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1発、2発、3発…

私は学生の頃から、玉子を数えるときに「1発、2発」と数えるようになった。
中学生のときに男の子とプラモデルにはまって、戦記物をよく手に取るようになったからだろうと振り返る。
手りゅう弾とか、弾丸とか、果てはプロペラ機の発動機(エンジン)の数え方までもが「発」であった。

玉子が手りゅう弾に似ているからかもしれない。
「目玉焼き、何発食べるの?」と母までがまねしていた。
「ゆぬき(ゆで卵)を五発もってきたで」と遠足で。
「一発、食うたろ」

うちの玉子焼きは、「二発」でやる。少し豪華にしようとすると「三発」で、それ以上は私の手に負えない。
懇意にしている近所のお寿司屋さんの大将は、「六発のだし巻」が自慢だ。もっとも大将は「六個」とおっしゃるが。

だから私は、冷蔵庫に玉子のパックを「装填」するのだ。しめて「十発」のマガジンだ。これで一週間闘うのだ。

昨日、亡くなった父の法事で長岡京市の光明寺に参った。分骨されているのだ。
法然上人の御寺で、なかなか立派な本堂で、寺域も広い。
帰りに、JR京都駅に寄って、伊勢丹の食料品売り場を見て歩いた。
「御座候(ござそうろう)」を必ず買うことにしているのだが、お店の人に「あずき、六発」と注文してしまった。しかし、店員さんは「六個入りですね」と何食わぬ顔。

このように、玉子に限らず、饅頭なども「発」である。

「御座候」を「六発」も買ったのに、近鉄京都駅ホームで「赤福餅」が売られていたので、「八発入り」一箱を所望する。

カバンの中はあんこ満載だ。

新しいNHKの朝ドラ『カムカムエブリバディ』のヒロイン橘安子(たちばなやすこ)の和菓子屋の「絶品のあんこ」に触発されているのかもしれない。
「御座候」の粒あんも、「赤福」のこしあんも、私にとって「絶品」に当たるのだ。

前の朝ドラ『おかえりモネ』のロスはなかったが(あまり共感できなかった)、今度のドラマは「あんこ」ロスになるかもしれない。

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